アメリカのスポーツ/カルチャー誌「The Red Bulletin」でジェイムズ・ヘットフィールドとラーズ・ウルリッヒのインタビューが掲載されていました。管理人拙訳にてご紹介します。
元の記事ではフォトセッションの様子を写した映像も掲載されていて実にメンバーが楽し気です。サウスパークの一件についての詳細は関連記事からどうぞ。
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メタリカがナップスターを訴えてから早14年。
−昨年11月にあなた方の最新アルバム『Hardwired...To Self-Destruct』が世界中のチャートでトップを飾り、6番目のNo.1アルバムとなりました。これだけ全ての成功を収めた後、あなた方はまだ何かを始めるんですか?
ジェイムズ・ヘットフィールド
あぁ・・・確かに!でも奇妙でとても驚くべきことだね。年を重ねるほど、No.1アルバムを手にすることは特別なことになっている。(メタリカ結成から)35年経ってまだこんなことが起きているんだ。すごいことだよ。
ラーズ・ウルリッヒ
メタリカが、人にとって重要なレコードをまだ出すことができるっていう事実が素晴らしいよ。ハードな音楽がまだみんなにとって重要だということが素晴らしい。俺はロック・グループはマイノリティーになっているような気がするんだ。世界規模でうまくいっているバンドはとても少ないから、そのひとつになっているというのは特権だね。メタリカでいられてよかったよ。
−『Hardwired...To Self-Destruct』はあなた方自身のレーベルBlackened Recordingsでリリースされた初めての(スタジオ)アルバムです。他と比べて今回は何が違いましたか?
ジェイムズ
そんなに違いはないよ。俺が言っているのは、自分たちのレーベルということで−まぁアメリカで俺たちのレーベルってだけで他の国ではまだユニバーサル(・ミュージック)なんだけど−時間をかけて締め切り無しで曲を書くことができた。誰も「ちょっと、ここまでに必要なんだけど」とは言ってこない。
ラーズ
(自主レーベル設立のための)契約交渉に入る時、狙いは常に過去の作品を自分たち自身の手に最終的に取り戻すことだった。自分を解放してくれる分離と原動力っていうのは素晴らしいよ。本当にやりたいことを自由にできるからね。(自主レーベルであることの)大きな違いはレコーディングじゃなくて、完成した翌日に起きることなんだ。10年、20年前には他の人たちがほとんどの仕事をやっていたのに対して、今の俺たちは自分で90%の仕事をする必要があるからね。俺たちには今やもっと大きなインフラがある。
−あなた方はよく本音をさらけ出すバンドですが、過去の作品を振り返って「俺たちは一体何を考えていたんだ?」と今思うような時代はありませんか?
ジェイムズ
いくつかのアルバムで変更したいものもあるけど、それを変更できないほどの特質がある。バンドが過去の名作をほぼ同じ曲で再レコーディングして、オリジナルのアルバムに取って代わらせるのを見るとちょっとイライラするんだよね。あれは歴史の一部を消しているよ。こういうアルバムは人生のある時期の産物であって、歴史のスナップショットでもあり、バンドのストーリーの一部でもある。そう、だから『...And Justice For All』でもう少しベースを効かせていたら、『St. Anger』でスネアドラムをもう少し抑えていたらって、(言われるが)でもそういうことによってあのアルバムが俺たちの歴史の一部になっているんだ。
−メタリカはアナログ盤が王様だった(今とは)別の時代に始まりました。あなた方は今、ドイツにレコードのプレス工場を持っています。なぜなんでしょう?
ジェイムズ
俺たちはアナログ盤と共に育ったし、大好きなんだ。(レコードは)体験であり、イベントだった。触れてわかるというか。レコードを手に持って、ジャケットから取り出して、針を溝に落とす。半年前に俺はLAにいたんだけど、高校の旧友を訪ねてカンザスとかそういうレコードを囲んで聴いたんだ。箱に目を通したり、台紙の臭いを嗅いだり、ライナーノーツを読んだり、温かみのある音を聴いたりするだけ。すごくどっぷり浸れるんだ。
−あなた方は今や本質的に自分たちのボスでもあります。夢を持ったクレイジーなキッズから、ロックの大御所/ビジネスマンになったのは自然な進歩と言えますか?
ラーズ
俺たちはまだクレイジーな大人だと俺は思っているけど、それでも全てを理解しようとはしているよ。鏡を見て、ビジネスマンが写っているとは思わないけど、間違いなく自分たちのために働いてくれている人たちが大勢いる。少なくとも大人として振る舞わなければならない点はあるね。俺は今53歳だけど、いまだに自分のことを時おり起きていることを解決しようとしているクレイジーな子供のように感じている。だから自分たちの後ろに自分で作り上げた信頼できるチームを持つ。メタリカのようにガッチリ独立していることは、俺たちが誇りに思っている本当にクールなことだね。
−あなたはビジネスマンのようには見えませんが、あなた方がメタリカを始めた時からそちらの面ではラーズがとても活発だったというのも事実ですか?
ジェイムズ
ラーズはビジネスに精通したヤツだ。モーターヘッドを追っかけ、ダイアモンド・ヘッドを追っかけ、彼らや他のバンドたちから、彼らのやり方、彼らがどう決断を下したのか、とあるマネージャーがなぜ他のマネージャーより優れているのか、あいつは学んできた。ビジネスのことになると非常に好奇心が強い。俺?俺は仕事はしたくない!音楽をプレイしたい。自分のセラピーとキャリアを創造して1つにしたいと思う!他人から学んで自分の人生にそれを適用するのは良いことだけど、俺たちはまだ反逆者であり、リスクテイカーだ。俺たちは人生に挑戦して「自分たちが持っているこの資質で次は何をする?」という質問に直面している状態が好きなんだ。計画と準備はその一部に過ぎない。勇気、魂、そして熱情もまたかけがえのない武器だね。
−ガラス張りのオフィスにメタリカが座って、ネクタイを斜めに締めて、電話で叫ぶのを想像するのは難しいですね。
ジェイムズ
ネクタイはないな。俺たちはめったにオフィスにはいない。電話で叫ぶことに関しては、やってくれる人を雇う!もっと大きなことは誰がコントロールしているのか、誰がその船を動かしているのか、誰がバンドで楽しい時間を過ごしているのかってことだと思う。かなり明白なことかもしれないけど、ラーズと俺がこのバンドをまとめた2人だ。俺たちは結成1日目からこの考えを持っていた。俺たちが運転席にいるんだけど、カークとロブはいつも俺たちと一緒に行く準備が出来ている。この乗り物でいつでも俺たちを連れて行くんだ。
−あなた方は独立を獲得したことについてよくお話しされますが、長く成功した経歴を持つことの重要性はどうでしょうか?
ジェイムズ
俺たちにとっては、そう、重要だったけど他の人にとってはどうかな?わからない。俺たちがバンドを始めた頃、レーベルの契約を取るのは大きなことだった。今はそこまで大きなことだとは思わない。地下室で自分の音楽を作って、自分で(音源を)出すのは素晴らしいことだ。でもそれによってどこまでやりたいんだ?より大きなところと最終的に契約するのか?これは自分で下す必要のあるビジネス上の決定事項だ。「俺たちは何をしたいんだ?」と自問しなきゃならない。世界をツアーで廻りたいのか、それとも地元に留まるのか?自分を幸せにすることをすべきだね。
ラーズ
俺たちは自分たちがよそ者だといつも感じていた。それまで通りにやる必要性を感じなかったんだと思う。成功して一番よかったのは、自分たち自身の創造的な道を切り開く機会を与えてくれたことかな。主に、俺たちにとっての独立は、俺たちが決して誰からも金を取ったことがないことを意味している。つまり俺たちは誰にも何も負うことはないんだ。
ジェイムズ
俺たちはいつだってコントロール愛好家だ。アーティストとして、俺たちは自分たちのアートがどう表現されているかを、少なくとも何らかの形で制御する必要があると常に感じてきた。アーティストであろうと、彫刻家であろうと、自分のアートがどこにどう置かれるのかハッキリした意見をもつべきだよ。それが芸術的なビジョンの一部なんだ。
−しかし、どんな経歴でも柔軟に対応し適応しなければならないということには同意できませんか?
ジェイムズ
水門が開いて、音楽が無料でインターネット上にあるということになって、俺たちは恐怖して、それについて何を考えるべきかわからなかった。でも今は間違いなく素晴らしいことだし、音楽を手に入れるのにとても便利な方法だ。それに適応することだけが唯一の生き残る道なんだ。それは人生の何においても真実だと俺は思う。
−オンラインの無料の音楽について言及されましたが、違法ダウンロードに反対したナップスター裁判で、あなた方が代表となったやり方については後悔していますか?
ジェイムズ
他人が俺たちや俺について考えることは、俺には知ったこっちゃない。俺はそれが正しいことだとわかっていた。俺たちは狙われやすいターゲットだったんだ。(メタリカじゃなくとも)著名でアートに関わっている誰かがそこで撃たれるべくして撃たれるんだ。
ラーズ
あれはストリート・ファイトだった。メタリカとファンの間のことだ、メタリカはダウンロードに反対だっていう絵図を誰かが描いちまった。本当はそんなことじゃないのに。あれはダウンロードについてじゃない。選択についてだったんだ。もし俺の音楽を手離して無料にしたいってなったら、それは誰の選択なんだ?俺の選択か?それとも他の誰かか?あれは奇妙な夏の出来事だったね。
−その奇妙な夏の出来事には、違法ダウンロードのために金メッキ仕立てのサメの水槽付きバーを家に備え付ける余裕がなくなったとプールで泣いているあなたが描かれたサウスパークのエピソードも含まれていますね・・・。
ラーズ
あれには目ん玉飛び出たね。でも俺はかなり面の皮が厚いんだ。あの夏、俺たちはたくさんのヒットが出た。あれもそのひとつだよ。
−金メッキ仕立てのサメの水槽付きバーを備え付けることをそれから考えることはありませんでしたか?
ジェイムズ
俺たちは実用的な考えでね。自分たちのお金をステージセットや良い作品や映画制作につぎ込むんだ。退廃が進むことに関して、それはないよ。俺たちは互いのケツを蹴るだろうし。それはメタリカの性格には合わないな。
−2004年のドキュメンタリー映画『Some Kind Of Monster』では、バンドが最も衰退した時期をみせ、個人的な苦闘をたくさん経験しています。あの時期、どのようにしてバンドは一緒にいられることができたのでしょう?
ラーズ
ジェイムズが俺たちと交流するための新しいツールと共に1年離れていたバンドから戻ってきた時、俺は最初の半年はどうなっているのかわからなかった。ああいうやり方を実行できないと思っていた。2005年と2006年の間に戻ってきたけど、しばらくはかなり綱渡り状態だった。何が起こるか確信が持てなかった。俺は「もしXXだったら」って質問はあまり好きじゃない。もし俺たちが別々になったら何が起きてたかなんて誰がわかるんだってこと。でも俺たちはこうしてここにいて、キミと話しているわけだ。メタリカが10年ほど前に分裂した世界を想像しようとするのはエネルギーの無駄だよ。
RedBulletin(2017-02-xx)
元の記事ではフォトセッションの様子を写した映像も掲載されていて実にメンバーが楽し気です。サウスパークの一件についての詳細は関連記事からどうぞ。
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メタリカがナップスターを訴えてから早14年。