メタリカ情報局

メタリカを愛してやまないものの、メタリカへの愛の中途半端さ加減をダメだしされたのでこんなブログ作ってみました。

       

    タグ:MetalForces

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    ジェイムズ・ヘットフィールドが家族と一緒にプライベートで来日していたネタを華麗にスルーしていますが、これまで何回かに分けて紹介してきた「Metal Forces」によるラーズ・ウルリッヒのインタビューの続きをどうぞ。

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    −メタリカは、未踏の地でライヴを行うこととなると、いつでももうひと踏ん張りする準備がある。2013年12月に南極公演を行ったのが典型例だ

    残っている場所はそう多くはない。何回かドバイでライヴをしたのは信じられないほど素晴らしかったよ。イラン、イラク、サウジアラビア、レバノン、シリア、クウェートのような場所からファンが駆けつけて、世界のそういう場所から3万、4万の人たちが2時間のメタリカの体験を共有する、文字通り鳥肌もんだった。会場の外ではみんな違うってことを置いといて、音楽という言葉を介して、一斉にいろんな国旗が振られているのを見るのはヤバかったよ。だからもしメタリカの公演が開催できるインフラがあって行ったことのない世界のどこかがあれば、ナノ秒でそこに行きたいね。それほどたくさんは残っていないけど、俺たちは石や岩をひっくり返して(探し回って)、行けるところがあれば、俄然乗り気で行くつもりさ。知っての通りいつでもね。


    −ミート&グリートを高額チケットで行うバンドがたくさんいるが、手っ取り早く金を稼ぐ機会にすることなく、ファンに会うことが感謝の意を示す機会としてただただ幸せだった時代を知っている世代にとっては眉をひそめることになっている。これまでのところ、メタリカはミート&グリートを無料のくじ引きシステムにしているが

    やり方というのは変わっていくものだからね。前に何度も言ってきたように、全く新しい未開の分野なんだ。今はさらにさまざまな段階があるし、さまざまなレベルのものがある。それが何十年も続いてきている。飛行機の後ろに乗りたいか、真ん中に乗りたいか、それとも前に乗りたいか?みたいなものさ。遊園地に行ったときに列に並ぶ必要のない「ファストパス」が欲しいか?全部同じことさ。今や明らかに音楽にもそういうのが浸透しているんだ。

    俺たちはしばらく新しいツアーをやっていないから、その手のこと全てを検討しているわけじゃない。そういうことは『Death Magnetic』の頃から見られるようになった。みんなが俺たちに会いたがっているなかで、全ての選択肢を検討して、俺たちはいつもメタリカとしてできるだけのことをするし、できる限り誠実でリーズナブルなものを試すだろうね。どうしていくかはわからないけど、その選択肢をちょっと見る限りは基本的にみんながやっている、もしみんながやっているというならば、明らかにそこに需要があるからだと思っている。だからといって俺がいつもやっているようにホテルや空港やその他の場所でできうる限り全ての子供、全てのレコードにサインを(今後は)しないつもりってことじゃない。でも同時に、もし最前列で座りたい、その椅子を持って帰りたい、特別なTシャツが欲しいなんて人がたくさんいるなら、俺たちはそれをできるようにすべきじゃないのか?まずは考えてみるよ。俺たちが何かにサインするには500ドルかかるなんてことをおっぱじめようって俺は言ってるんじゃないんだ。

    俺たちが正しい答えを持っているとは言っていない。でも俺たちがやることは、俺たちのためになると思う。聴いてくれ、正直なところ、35年やってきてるけど、俺たちは他のみんなのようにそういう全てをいまだに理解しようとしているんだ。レコードジャケットにサインすることに俺たちの生活がかかっているわけじゃない幸運に恵まれているという事実を祝おうじゃないか。そんなことをやる必要はないんだ。でもこのままでいて、他の人がやることを叩こうなんてするつもりはない。俺はジャッジしない。そのためにクソみたいな台座に座って何かあげようとするつもりはない。俺は俺たちのためになることしか言わないよ。

    −成功を収めた多くのバンドが経験する批判や嘲笑にも関わらず、2016年においてバンドの人気はますます力を増しているようだが

    俺たちのホームタウンは最強の都市のひとつじゃなかった。でも2月にここでスタジアムショーをやって(AT&TパークでのNHLスーパーボウル前夜祭「The Night Before」)、12秒ほどでチケットが完売した。8月にはミネアポリスで新しいフットボールスタジアム(U.S.バンク・スタジアム)のこけら落としでスタジアムショーをやることになっているけど、50,000のチケットがまた12秒ほどで完売だ。俺たちに何かしら特別な理由があるから、俺たちが行ったことのある場所よりも人気があるとまでは言わないけど、そのくらい人気があるようだ。だから(人気があるのはなぜかの問いに対する)答えが新しいレコードをしばらく出していないからかどうかもわからない(笑)。そんなものの答えはわからないけど、メタリカがかなりたくさんの人たちの人生においていまだにある種の関連性と重要な役割を持っている。でも俺はそういうことをあまり疑問に思ったり、あまり考えすぎたりしない方がいいんだと感じているよ。考えすぎちゃうとやるべき方向を変えたり、どうかするとコトを軽視したり、やってることに害を及ぼしたりするのが怖いからね。キミも含めて、そういうこと考えられる人間はマスコミに十分いるんじゃないの。

    でも、聴いてくれ、ここまで話してきたようなリイシューやニューアルバムやスタジアムでのコンサートを秒単位で完売したことやみんながまだメタリカに興味を持ってくれているなんて35年前に誰が考えていた?かなりクールなことだよね。俺たちがしてきたことをメチャクチャ誇りに思っているし、これから先もエキサイティングで面白い年がまだあると思っているよ。

    Metal Forces(2016-06)

    インタビュアーが旧知の仲なのか、いろんなことをぶっちゃけてくれたインタビュー。ミーグリの今のシステムは変えてほしくないな...

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    前々回記事の「Metal Forces」のラーズ・ウルリッヒのロングインタビューの続きから。管理人拙訳にて。

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    −近年の音楽業界の伝統的なビジネスモデルの変化のなかで、メタリカのようなバンドの身丈ではすべての音源の所有権を獲得し、自分たち自身のレコードレーベルを立ち上げることは避けられなかった。

    「レコードをリリースするっていう音楽の世界の実用性は、知っての通り、昨今ではターゲットが狂ったように変わるんだ。俺たちが今日何が起こっているのかを理解できる前に、明日はまた変わってしまう。だからこの10年とか15年のどこかの時点で俺たちは楽曲にとって、レコードにとって、ファンにとって、そしてメタリカをもっと良くするために何がベストなのか評価した事実に自分たちを変えてきた。1つ特定のやり方を(変えずに)持って、2年後かそこらには全てが変わるって時に立ちすくまなきゃならなくなるって感じるくらいならね。」

    「俺は音楽の世界は今、開拓時代みたいだと考えている。腰を据えて自分たちが行けるところにはどこだって行こうとする試みにオープンじゃないとって考えているんだ。そこにはもはや正解も間違いもない。だから俺たちにとって自分たちのコントロールを取り戻すこと、そして自分自身の運命を自分でコントロールする側になることは時間の問題だったんだ。間違いなく自分たちのやり方でやることが一番の目的だ。でも現実的にならなくちゃならない。とりわけヨーロッパ、アジア、そしてラテンアメリカでさまざまな国、さまざまな通貨、さまざまなインフラ、さまざまなその国独特のやり方がある。アメリカでは良くて、セルビアやポルトガルでも良いっていう全体的な戦略や理念なんてものは持つことはできないんだ。」


    「目的はできるだけ多くの人たちに音楽を届けようとする、自分たちができるだけアクセスできるようになるってことだ。多くの国では、それをするのに違うやり方がある。ユニバーサルの長年の友人は、世界中の多くの国で助けてくれている。アメリカとカナダで、俺たちは恐れることなく、主に自分たちでそういうことをやってきた。でもいまだにレコード店で俺たちのレコードを買う会社と販売契約をしている。メタリカのファンクラブ会員たちがレコード店でCDのボックスセットを持ってウロウロするわけじゃないのにね(笑)」

    「今俺たちが明らかにしていることの1つは、全ての地域の全ての四半期において財政的に独立しているってことだ。そのことで、俺たちがやることに経済的利害関係がある人たちからの上からのコントロールに対して自由でいられるんで大いに助かっているよ。」


    −若い世代のバンドにとって、テクノロジーの助けを借りて世界中で観られるようになったことは間違いないが、それがバンドの成功を容易くしているわけではない。実際、今の方が難しいと示唆する多くの要因がある。

    「俺にはわからないね。俺には3人の子供がいる。17歳の息子は数年前まで父親の後ろについていたイカれたドラマーで、明らかに大したもんじゃなかったんだ!この2、3年はバンドに出たり入ったりしている。彼はフーファイターズをやってた時期もあるし、アークティック・モンキーズ時代もあれば、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ時代もあった。今はウェザー・リポートやジャズ/フュージョン、ヘヴィなR&Bとかをやっている。彼がいつも私に言うのは、バンドを始めるのはいかに難しいかってことじゃない。彼から聴いたのは、つまり、「チキショー、音楽がもっとイカしてた70年代、80年代に生きていたらなぁ」ってことさ。彼は2016年に音楽の質がどれだけあっても過去に比べたら興味深いものじゃないものじゃないとよく話している。それが持つべき公正な議論や討議なんだと思う。」

    「確かにそこにはたくさんの素晴らしいバンドがいると思うけど、俺が育った60年代後半から70年代にかけてのものを見ると、俺たちみたいになったりしている。NWOBHMによってね。80年代に全てが起こった。つまり活力があって、創造的エネルギーがあって、いまだに興奮するし、新しいフロンティアと未開の領域があって、そういうもの全てが起きていた。でもジャズみたいなものは、純粋な人たちはオーネット・コールマンが現れてからの60年代半ばから後半までジャズには本当に何も起きちゃいないって言うのもいる。それが本当なのかどうかについて知的な会話をすることもできるけど、そんなことを言う人はいる。」

    「ハードロックで俺が言えることは、壁にぶち当たってないか?ってことだ。情熱的にやっているバンドは確かにいるけど、未踏の領域は残っていないか?2016年に新しくてエキサイティングなことを本当にやっているのはいないのか?俺は知らない。ソード(The Sword)が数年前に出てきた時、俺は確かに夢中になった。でもそれだって7年か8年前だ。ここ数年、ハードロックで俺の心を吹き飛ばすような誰かがいるかどうか俺にはわからない。新しいバンドとかを悪く言っているんじゃない。俺は17歳から聴いたことを言ってるだけさ。」


    Metal Forces(2016-06)

    ここ数年、ジェイムズはバロネス(Baroness)に夢中のようですが、ラーズのレーダーにひっかかるバンドは今後現れるのでしょうか。

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    前回記事の「Metal Forces」のラーズ・ウルリッヒのロングインタビューの続きから。管理人拙訳にて。

    2014年に出されたアンスラックスのスコット・イアンの自叙伝『I’m The Man: The Story Of That Guy From Anthrax』によると、1986年の『Master Of Puppets』のヨーロッパツアー中にジェイムズ・ヘットフィールド、カーク・ハメット、クリフ・バートンがラーズ・ウルリッヒをツアーが終わったらバンドから解雇することを計画。結局、ツアー中の9月27日、バス事故によってクリフ・バートンが亡くなったことにより、その計画は二の次になった。

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    Metal Forces(2016-06)

    しかしこの噂に対してカーク・ハメットが2015年11月に行われたインタビューで次のように回答。
    「昔のことさ。ある時だったか、俺たちはラーズに対して腹が立っていたんだ。1985年あたりのことかな。俺たちは不満だったから誰かに何か不平不満を漏らしたのかもしれないね。それからその人がその話を実際よりも大きくしてしまったってことだよ…。本当に正直に言うと、(ラーズは)大きな意欲を持ち合わせている。それこそ俺があの男を愛する理由のひとつなんだ。知っての通り、彼の意欲とモチベーションは本当に強烈だよ。」

    BLABBERMOUTH.NETより(2015-11-16)
    ラーズ・ウルリッヒは1981年から一緒にバンドを組んだヘットフィールドが自分を追い出すための秘密の計画があったことは思ってもみなかった。

    「確かに俺は気付きもしなかった。でも別の頃には、このメンバーやらあのメンバーやらと摩擦があったり、特定の誰かと気まずくなっていたりしながらツアーを廻っていた。」

    「メタリカのように35年間も一緒にいる集合体にいる場合、長くこんなねちっこい力学でやってくなかで次に何をやるかっていう考えは、さまざまな潜在的な解決方法の選択肢を持ち出すことがいろいろあったわけだ。カークが浮いていた時もあったし、ヘットフィールドが浮いていた時もあった。別の時には俺が浮いていた時もある。だから可能性はある。スコット・イアンは俺が知らないことを知っているに違いない。それは別にいいんだ。それは俺のレーダーに引っかからなかったってだけだし。」

    ラーズはカークの最近のコメントについて何も話していないことを明かした。

    「カーク・ハメットのインタビューは何も読んでいないよ(笑)。俺はインタビューは読まないんだ。20年前のことなんて全部はわからないし、ムステインが今週「Kerrang!」誌で言ってたこともブルース・ディッキンソンがこれについてどう考えていたかなんてことも知らない。俺はひとつの記事を追いかけるなんて、もうやってないんだ。つまり、カーク・ハメットや他の誰かがあんなことやこんなことを言っていたという事実に気付くことなく、自分に関するウェブページを開いたり、ニュースの見出しをチェックしたりするなんてことはできないんだよ。間違いなく2016年に自分のレーダーにこういうことが出現することなくやっていくのは難しいことだ。でも俺はそれを読んでないし、追いかけてもいないよ。」

    Metal Forces(2016-06)

    メタリカ草創期に在籍していたデイヴ・ムステインでさえ、「ジェイムズと俺でラーズを、ラーズと俺でジェイムズをクビにしたことがあるんだ(笑)」ということを語っていますから、バンドのなかの力関係が絶えず動いていたことを感じさせます。

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    Metal Forcesによるラーズ・ウルリッヒのロングインタビュー。ここ最近話題になったラーズ発言が詰まったインタビューですが、あまりに長いので途中端折りながら何回かに分けてご紹介したいと思います。管理人拙訳にて。

    metallica-2016

    −『Kill 'Em All』『Ride The Lightning』のリマスターについて

    20年計画とかそういったものの一部とは言わないけど、間違いなくいつかは出るかもしれないってことはわかってた。メタリカでは、そのうちやりたいっていうたくさんの大局的なアイデアがある。でも、そのなかには時間がなかったり、あまりに望みが高かったりで脇に追いやられているものもある。この数年間、このアイデアはあるにはあったんだけど、今がその時だったんだ。

    知っての通り、マット・テイラーという名前の数年前に映画『ジョーズ』の素晴らしい本(『Jaws: Memories From Martha’s Vineyard』)を出した男によって、9月には『Master Of Puppets』の本(『Metallica: Back To The Front』)が出る。俺たちが数年前に彼のプロジェクトに賛同して、『Master Of Puppets』のリイシューを本と同時に出せたらかなりクールじゃないかって思ってたから、彼はおそらく俺たちに対して計画を進めることにちょっと責任を感じていたんじゃないかな。でもこういったリイシューと同時に新譜を制作するっていうのはちょっと変な感じだよ。二歩進んで二歩戻るような奇妙な矛盾があるからね。

    特に初期のレコードで一番難しいところっていうのは、俺たちの過去の大部分はたくさんの異なるレコードレーベルにあるってことさ。ジョニーZと「Megaforce Records」、「Roadrunner」、「Music For Nations」、そしてその後の『Ride The Lightning』だと「Elektra」と日本の「CBS」といった具合だ。たくさんのレーベル、たくさんの関係者がいて、俺たちは『Kill 'Em All』がそうだったみたいに姿をくらましていたマスターテープを探したんだ。俺たちはボブ・ファイファーって男を雇った。彼はこの最良の2年、俺たちのために働いてくれている。彼の仕事は世界中の保管庫の中からこういった音源を取り戻しに行くことだ。そんな保管施設では、結局間違ったボックスに当たることがたくさんあって、他のバンドの名前が書いてあるボックスから見つけたこともあった。イライラしたし難しい過程だったけど、間違いなく後のレコードになるほど、俺たちはそういうものがどこにあるかをより掌握している。自分たちのレコード会社とかでもっと簡潔になっているからね。

    最初期の音源にたくさん触れるのは確かに楽しかった。でも俺がさっき言ったように、1年半前に新譜の曲を書きレコーディングをし始めた時にこういったことを始めたもんだからちょっと奇妙な感じだったね。また一からやり直そうとするってのと先に進んで曲を書くってのと奇妙なパラドックスがあったけど、また腰を据えて1983年に自分たちがやったこと、(訳注:『Kill 'Em All』のレコーディングが行われたニューヨークの)ロチェスターで「No Remorse」をレコーディングした日に朝食で何を食べたかなんてことを理解しようとしていた。そんなわけで過去と未来のあいだの奇妙なエネルギーがあったね。

    こんな努力と旅路のなかで、途方にくれたり、ちょっと困惑したり、困難な場面がしばしばあった。全ての音源を集めようとしてきた。これは一回限りかもしれないと感じながらね。知っての通り、メタリカは深く深く深く入り込む傾向がある。俺たちはたくさんあるこの類のことでは、詳細にいたるまでやって止めるのさ。俺たちはできる限りボックスセットに収録したかったから、みつけられないこととか、簡単じゃないことを手離すというのもちょっとつらかったよ。

    でも後のレコードになるほど、俺たちはたくさんのアウトテイクを収録できる。『Kill 'Em All』収録の「Seek And Destroy」なんて4テイク目だからね。もしそこで3テイク目とか5テイク目を収録出来たらすごいだろ?でも俺たちはマスターテープを持っていないんだ。俺たちは先に踏み込むほど、とりわけ『...And Justice For All』とブラックアルバム、『Load』『Reload』となると、俺たちには貯蔵庫がある。でも俺たちはどこで線を引けばいいんだ?違うもの、違うテイク、違うギターソロ、みんなが渇望しているそういうもの全てを見つけ出すのは本当に楽しい。(1972年にオリジナル盤が出されたディープ・パープルの)『Made In Japan』のリイシューみたいにね。リッチー・ブラックモアの違ったギターソロが入っている2日目の大阪公演での「Child In Time」を聴けるんだ。我を失い、よだれが出るほど欲しいってもんだろ?だから俺たちは他のレコードで(リマスターを)やる時は、もっとそういうものが収録できるだろうね。


    −ボックスセットに収録した写真について

    自分たちのものはたくさん持っているよ。でもブックレットで一番イライラしたのは、俺たち全員、特に俺が持ってるのに、たくさんのクールな写真も含まれているんだけど、一体誰が撮った写真なんだ?ってことだ。著作権とかそういう全体的な状況に踏み入れると、妥協した状況でブックレットに収録するっていう考えは持っていなかったし、収録したいとも思わなかった。誰かに支払いをせずにごまかすようなことはしたくなかったんだ。俺はメタリカとタンク(訳注:イギリスのヘヴィメタル・バンド)がどこかでつるんでいる写真を30枚は持っているんだけど、誰が写真を撮ったのかわからなかった。だから俺たちはブックレットには入れたくなかった。あれにはガックリきたし、嫌な気分だったね。

    収録されたものは俺たちのものやコレクションだけど、知っての通り、インターネットを通じてもし共有したいものがあったら送ってほしいとファンに伝えて探りを入れたんだ。ファンや友だちの何人かからすごいクールなものをもらえたよ。


    −収録されたエッセイにメンバー自身が書いたものがないが?

    いい質問だね(笑)。えーっと、誰も俺たちに訊かなかったよ・・・いい質問だ。文字通り、その話題を持ち出したのは今回が初めてだよ。マーク・ライターとかスパイダー・ダンとか俺たちのクリエイティヴ・パートナーたちは、こういう類のことはみんなメタリカのメンバーが長々と話しているのを聞いていて、ラーズに1983年に起きたことについてもう一度話してもらうなんてことは一番させたくなかったんだと思うよ。正直なところ、それは二度とないけどね。少なくとも俺のメールボックスにはそんな依頼はなかったよ。何か書きたいかなんて頼まれもしなかったんだぜ!?

    −リイシューと言えば『No Life 'Til Leather』のCDやレコード盤や限定デラックスボックスセットを2015年夏にリリースする予定だったのでは?

    えーっと、いい質問だ。それが当初の計画だったんだ。でもそれから・・・一番丁寧に言うにはどうしたらいいかな?(少し沈黙してから)俺たちはいつも自分たちの楽観的なやり方で進み続けているし、自分たち自身が楽観的に飛び込もうとしている企てのマイナスに働く可能性や、法的な障害の可能性があるかもしれないなんてこともあまり考えないようにしてきた。でも『No Life 'Til Leather』のボックスセットや一連のリイシューを始める俺たちの目論見を妨げる法的な予期せぬ困難が待ち受けていた。そんなことでいくらか時間を費やしてしまったんだけど、その後ジェイムズと俺はこんな不愉快なことで泥沼にハマり込む価値なんかないと判断したんだ。(レコードストアデイの)祝祭になるべきであって、こんな綱引きになるはずじゃなかったからね。だから俺たちはこう考えた、何だってんだ、クソくらえ、『Kill 'Em All』(のリイシュー)を先に進めようってね。問題はもう少し複雑なんだ。深入りするような理由なんてない。ただ俺たちが予期していなかったことだったってだけさ。知っての通り、俺はいつだってコップに半分「も」入ってるって思う永遠の楽観主義者だ。だからいつになることやらだね。関係者たちのなかには、これが本当なのか見極めようとしばらく時間をおいて今戻ったばかりのもいる。だから俺たちは確かめなくちゃならないんだ。俺たちのファンや気にしてるみんなと1年か2年後に『No Life 'Til Leather』をシェアできたら素晴らしいよ。俺たちはあれについて門戸を閉ざしたわけじゃない。


    −過去のアルバムに向き合った時に再レコーディングという選択肢は検討されなかったのか?

    いいや、それは話にも挙がらなかった。創造的なプロセスには3つの異なる段階がある。レコーディング、ミキシング、そしてマスタリングだ。マスタリングは技術的、音楽的見地からもっとも絶え間なく向上しているものだ。だからみんなが自分たちのレコードをリマスターする。リミキシングは時々やっている人がいる。ZZトップは自分たちの全レコードをリミックスしたし、他のバンドで自分の作品に新たなリミックスを加えているのもいる。でも俺たちはやってこなかった。もちろん「『...And Justice For All』をリミックスしろよ」とか言う人がいつもいるけど、確かにそれは俺たちは真剣に考えてこなかった。でも再レコーディング、あれは飛び込んじゃいけない飛行禁止区域だと思っているよ。

    Metal Forces(2016-06)

    本日はこれにて・・・

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    2015年のレコードストアデイで、メタリカは自身のレーベル「Blackened Recordings」から1982年のデモテープ『No Life 'Til Leather』の復刻版カセットをリリースしました。しかし、発売発表の際にカセットだけでなく拡張バージョンとして「CDやアナログ盤、コレクターズ・エディションをリリースする予定」だとしていましたが、いまだに発売されていません。

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    Metal Forcesのインタビューのなかでラーズ・ウルリッヒが『No Life 'Til Leather』拡張バージョン発売延期の理由について説明していました。管理人拙訳にてご紹介。

    「『No Life 'Til Leather』のボックスセットや一連のリイシューを始める俺たちの目論見を妨げる法的な予期せぬ困難が待ち受けていた。そんなことでいくらか時間を費やしてしまったんだけど、その後ジェイムズと俺はこんな不愉快なことで泥沼にハマり込む価値なんかないと判断したんだ。(レコードストアデイの)祝祭になるべきであって、こんな綱引きになるはずじゃなかったからね。だから俺たちはこう考えた、何だってんだ、クソくらえ、『Kill 'Em All』(のリイシュー)を先に進めようってね。」
    法的問題の詳細については語らず。以下のように語るにとどめています。
    「問題はもう少し複雑なんだ。深入りするような理由なんてない。ただ俺たちが予期していなかったことだったってだけさ。」
    ただし、リリースをあきらめてはいないようで、
    「知っての通り、俺はいつだってコップに半分「も」入ってるって思う永遠の楽観主義者だ。だからいつになることやらだね。関係者たちのなかには、これが本当なのか見極めようとしばらく時間をおいて今戻ったばかりのもいる。だから俺たちは確かめなくちゃならないんだ。俺たちのファンや気にしてるみんなと1年か2年後に『No Life 'Til Leather』をシェアできたら素晴らしいよ。俺たちはあれについて門戸を閉ざしたわけじゃない。」
    と語っています。

    Metal Forces(2016-06-12)

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    Metal Forcesのインタビューでラーズ・ウルリッヒが新譜制作の進捗状況を語ってくれました。ラーズの発言部分を抜粋して管理人拙訳にてご紹介。

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    俺たちは今、楽曲の創造的プロセスの最終段階に向かっている。先を見越して、どうやってレコードを世界に届けようかという段階が始まっているんだ。6月は基本的に俺たちが腰を据えて、全てにおいて何をすべきか何に電話すべきかどうなるべきかを把握する時なんだ。

    (『Death Magnetic』のエンジニアを務めた)グレッグ・フィデルマンはこのレコードに去年の夏から不眠不休で取り組んでいる。彼はメチャクチャ素晴らしい仕事をしているし、全身全霊をかけて取り組んでくれているし、このレコードのプロデュースと制作において彼のあらゆる経験が俺たちの助けとなっているよ。

    もし今年レコードが出なければ、仕上がってないから出ないんだろう。来年まで出さない方が賢明だっていう宇宙の法則があるとかね。でもレコードはこの夏には仕上がるよ。


    Metal Forces(2016-05-28)

    秋口には出るのでは?などとちらほら言われてきていますが、夏以降はタイトルやアートワーク、発売仕様などを決めていくことになりそうです。

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