英紙ガーディアンにてラーズ・ウルリッヒが先日亡くなったルー・リードとのエピソードについて率直に語っています。膨大な英文に管理人はたじろぎ、「長い・・・訳す身にもなってよ・・・」とか思ってしまいましたが、それだけの思いが詰まっていました。一筋縄ではいかなかったルー・リードという人となりがよくあらわれているエピソードだと思います。誤訳も部分部分あるかもしれませんが、大意は間違っていないだろうということで管理人拙訳にてどうぞ。
いろんなインタビュアーが苦戦したエピソードに事欠かないルー・リードでしたが、一度壁が取り払われればこれほど純粋で無邪気な人はいないのかもしれません。ラーズのコミュ力にも敬服させられます。
さんざん訳しておいてなんだけど、こっちの方が日本語として通りがよいね・・・。
http://ro69.jp/news/detail/91481
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【訃報】ルー・リード(Lou Reed)死去
1ヶ月前、アポロシアターでライヴをするためにニューヨークにやってきたときに俺達はやりとりをした。ルーはショーにやってきて、くつろいでいく予定だった。(でも)体調が悪くなっているからと、彼は姿を表さなかった。だから良くないということは知っていた。でもそこまで深刻だとは知らなかったんだ。俺は半分ショックを受け、半分は押しつぶされた。こんなに早く逝ってしまったことにショックを受け、喪失感で押しつぶされたよ。
ロックンロール界のほとんどの人たちはルー・リードと彼の評判を知っている。俺は10年前に彼と少しだけ付き合い程度に会ったことがあった。そこでは彼はとても思いやりのある人だった。4年前、俺たちがロックの殿堂入りのコンサートをしたときに、俺たちがある部分のホストだったから、俺たちは一緒にやろうとルーを招待した。俺たちはあらかじめフィルターのかかっていない彼の評判や彼が話した自分の考えについて知っていた。彼はちょっと素っ気ないかもしれないと人から聞かされていた。マンハッタンのど真ん中にあるリハーサル室にいたら、彼はやって来て、とても素っ気なく、無愛想で、まったくキミが考えているであろう人物だったよ。俺たちは準備して、楽曲を2つ、3つ軽く合わせた。彼は俺たちがどれだけやかましいか、そしてやっていること全てが間違っていると文句を言っていた。俺たちがやっていたこと何もかもが間違っていたんだ。それは俺たちの音楽への全アプローチに限らなかった。俺たちの存在が間違っていたのさ。俺たちが生まれた日から、俺たちの存在は間違っていた。もちろんここでは誇張しているけどね。
でも1時間かそこら、彼と俺とで少し話をして、悪いことは何も起こりそうにないと俺は彼を安心させたと思うんだ。俺が誰かにルーについて話していたとき、それに気付いた。彼世代の多くの人が、彼らを利用した奴らによってビジネスの内外両方で長年に渡って不当な扱いを受けてきた。多くの人が用心深いんだ。だから40代の多くのミュージシャンが両手を広げて彼を歓迎して、輪に入るように招待してセッションした。(それでも)彼は何が起こるのか疑念を持っていた。それを俺は理解したし、それについて彼を咎めないよ。
ものごとが打ち解けあうと、俺と彼とで隅で話し合いをして、すぐにかなりクールなことになった。俺たちは多くのことが共通していることに気付かされた。そこには信頼があった。でも彼はとても用心深く、疑り深い人間だった。彼と次の何年かを過ごし、インタビューからギグまで共にした全てにおいてそれが見受けられたね。彼のレーダー上に誰か新しい人が来るといつだって、まず彼がその人を評価しなければ、彼自身が心を開くことはなかった。俺は彼世代のアーティスト6人と会ってきたけど、彼らと充分に話せば、男どもやシステムやビジネスやとんでもない契約にお互いどれだけヤラれてきたか何でも話してくれるよ。
俺たち2人はアウトサイダーだったし、他のみんながやっていた同じ道をたどっていくのを快しとは決して思わない。メタリカはいつだって自立してやってきたし、ルー・リードはアウトサイダーになること、自立した人間になることの創始者なんだ。自分のドラムで行進し、あらゆるプロジェクトを以前やったものとはまったく違うものにしていき、決して自分以外の誰に対しても責任を負わない、そんな先駆者なんだ。
俺たちはそういうものの上に同族として分かち合った。そして俺たちは彼が持っていないものを、あるいはあまり体験してこなかったであろうことを彼にもたらした。彼自身の言葉で言えば、「エネルギー」「重さ」「サイズ」だね。俺たちがプレイし始めたら、そういうことが何であろうと起きるんだ。彼が俺たちにもたらしたものもそうだ。もちろん、彼が俺たちにもたらした驚くべき作品『Lulu』、彼によって既に書かれていた、彼女の突飛な行いと性的な試みについてのこの作品もそうだ。俺たちは互いに何かをもたらし、環境に合わせてやっていく能力の欠如を分かち合っていたんだ。
(ロックの殿堂の創始者のひとりである)ジャン・ウェナーがロックの殿堂入りで称賛し、U2とブルース・スプリングスティーンはほとんどの部分のホストをつとめずにそこにいた。彼らは俺たちにホストを頼んだから、俺たちは一緒にやろうとルーに頼んだんだ。それはとても上手くいったね。彼は俺たちといて心地よく感じたと思う。俺たちがマディソン・スクエア・ガーデンを後にしようとしたとき、彼は俺を見た。俺たちは車に乗るためにマディソン・スクエア・ガーデンの駐車場の奥へと歩いていたときだった。そして俺たちは1年半後に同じマディソン・スクエア・ガーデンでレコードを作ることになった。でも『Lulu』の突飛な体験、そしてレコードとなった全てのものはおそらく数10年間、彼の頭のなかで渦巻いていたことだったんだよ。これがこの個性的な人物と、彼女の人生のなかでまったく違った男たちとの関係を描いたお話ってとこだね。
俺は昨日、車の中で子供のためにあのレコードを流していたんだけど、今日的な意味を帯びて、これまでになく激しく、信じられないほど強力で、とても生き生きと本能的に聴こえたよ。彼がこの驚くべき叙情詩的な物語をもたらしたんだ。俺は誰の「ベスト」とか「No.1」とかには興味がないけど、彼は過去40年間のロックンロールの世界のなかで最も洗練された詩人だった。彼は多くの時間を共に過ごしたこの物語をもたらした。でも、その反面、信じられないような本能的衝動をスタジオにもたらした。そこでは彼がすぐに何かを思い付くよう要求されたんだ。
何も考えず、何も努力せず、何も分析せず、あるいは何も深堀りしない。ただプレイし始めて、ルーは半分はこれらの詩を朗唱し、半分は歌う。こうしてこのレコードは出来た。考えるよりもただやってみるっていうスタジオでの異なるアプローチを教わった。3週間で全楽曲をレコーディングしたんだ。3週間じゃ普段のメタリカのレコード制作なら、スタジオのどの角にドラムをセットするかさえ決まっていなかったよ。全てのことがとても衝動的だったし、そこには分析的な思考はほとんどなかった。
ハードロック・コミュニティは、かなり辛辣になりうるから、俺はかなり鈍感になっている。ハードロック・コミュニティがあのレコード(『Lulu』)に背を向けたときも俺は驚かなかった。多くの人が言っていた。「おぉルー・リードが歌ってない」あぁわかってるよ。この40年間、彼が何をやってきたと思ってるんだ?彼がロバート・プラントみたいだとでも思っていたのか?彼はそんなことしないだろ。ハードロック・コミュニティでは、俺は特に驚かなかった。でももっと知的な作家がそれに対して辛辣だったのには驚いたよ。
でも2年後には、多くの人が意見を変えてきた。(ラジオ・パーソナリティの)ハワード・スターンは『Lulu』について自分がどれだけ間違った認識を持っていたか、そして(収録曲である)「Junior Dad」が2年前に出されたとしても去年のお気に入り曲だったっていう全てのエピソードを話してくれた。今から25年後には、あのレコードを持っている、あるいはあれが出されたときから大好きだと主張する何百万人もの人々がいることになる。もちろんどちらも真実にはならないだろう。(それでも)俺はあのレコードは上手く歳を経るんじゃないかと思っている。あれを昨日流してみたが、ヤバいくらいイケてたよ。ある意味、みんながあれを受け入れなかったことはクールなことかもしれない。なぜならあれは(これまでよりも)俺たちのためのものだし、俺たちのプロジェクトだし、俺たちのレコードだ。これは多数のために作られたモノでは決してない。そして多数の人はそれを好きにはならなかった。そのことがあれに関わった人にとっては、あのレコードをより貴重なものとさせているんだ。
俺は彼のもろさをいつも思い出す。彼のもろさとつながることで、それと一体感を持つのを感じた。彼はとてもオープンだった。「ラーズ愛してるぜ」と言ったり、メールでハートを打ったりするんだ。あれは本当に素晴らしかったね。彼の何もフィルターも持たないやり方は俺がこれからも最も覚えているモノになると思う。彼のもろさもね。俺が会ったことのない誰かについて彼が何を言ったとしても、彼はいつだって自分の真実を話していた。決して頭で感じるんじゃなく、いつもどこか他の場所で感じていたんだ。人が話すとき、(言葉は)脳から出てきている。彼の発する言葉がどこから出てきているのか俺にはわからない。でもどこか別の場所から出てきているんだ。感情に満ち溢れ、荒々しいその言葉は本当に俺と共鳴した。俺は彼に力を与えたかった。そしてメタリカが力を与えたと思っている。いったんガードが取り払われたら、彼という人間は本当に素晴らしかったし、無邪気だったよ。
the guardian(2013-10-30)
いろんなインタビュアーが苦戦したエピソードに事欠かないルー・リードでしたが、一度壁が取り払われればこれほど純粋で無邪気な人はいないのかもしれません。ラーズのコミュ力にも敬服させられます。
さんざん訳しておいてなんだけど、こっちの方が日本語として通りがよいね・・・。
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