メタリカ情報局

メタリカを愛してやまないものの、メタリカへの愛の中途半端さ加減をダメだしされたのでこんなブログ作ってみました。

       

    タグ:Hardwired

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    ピーター・グリーン、ゲイリー・ムーアがかつて所有していた伝説的レスポール、通称「Greeny」をカーク・ハメットが購入したのが2014年。これまで入手した経緯など詳しいことがわからなかったのですが、ミュージシャン向けサイト「MusicRadar」のインタビューで、カークがこのギターを入手した経緯などたくさんのエピソードを語ってくれています。いつも通り管理人拙訳にてご紹介。

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    −カーク・ハメットがピーター・グリーンの象徴的な1959年製レスポールを買ってからしばらく経った。5月からこのギターが使われるメタリカのニューアルバムのレコーディングが始まっていた。ギタリストたちは「Greeny」がどういうものなのかを観ていき、カークへの道を辿ってみよう。

    楽器がそれを使ってきたミュージシャンたちと同じくらい有名になるのは珍しいことだ。その点で、ピーター・グリーンのレスポールは極めて選ばれしものなのだ。もともとはジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズのステージで使われ、このギターは並外れたオーラだけでなく、素晴らしい音色を持っている。

    ミドル・ピックアップの位置で楽器の音色が相当違うのは何なのか、ある人は憶測で、またある人は知識に基づいて、多くの言葉で語られてきている。ピーター自身は、このギターを持っていた時に配線には触れなかったが、(いつも)買ったその日のように聴こえたと言っている。ネックとピックアップが単に裏返しになっているのとは対照的に、その謎の核心はポールピースが裏返しになっているのだと考えると刺激的だ。とにかくこのレスポールはブルースブレイカーズでの悪名を轟かせただけでなく、フリートウッド・マックで多くのレコーディングやライヴでも目玉となっていった。

    ピーター・グリーンが1970年代初頭に謎めかして音楽シーンを退いた後、ギターはもう一人の伝説的ギタリスト、ゲイリー・ムーアの手に渡った。ゲイリーはあるインタビューで、ある日ピーターに電話で呼ばれ、彼がこのギターを売ろうとしたが支払いを拒否したと語っている。

    結局、ゲイリーは実際に使っていたギブソンSCを売った金をピーターに払うことで妥結し、取引は完了した。長年に渡り、このギターはそれまでより多くのレコーディングやライヴに登場するようになった。だいたいはそれ以前よりもずっと大きな音量で。

    90年代半ばにはアルバム『Blues for Greeny』で元師匠にトリビュートを捧げて、ピーター・グリーンの楽曲の再録であの哀しげな「Out of Phase」をもう一度聴くことができた。ゲイリーは10年前ぐらいまでレスポールを持っていたが、このギターは売られて公衆の前から消えて行った。

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    Blues For Greeny

    物事は変わっていくものだが、メタリカのギタリストが関わった、いささか論議を呼ぶ売却となった。ヘヴィロックバンドにピーター・グリーンの貴重なギターを?その次は何なんだ!しかしそういう偏見はさておき、我々はカークが最も直近のギターのオーナーとなってものすごく興奮していると言わねばならない。我々と話した時、彼はスタジオへ向かう道すがら、興奮して積極的にくだけたことを話し、この聖遺物ギターがどのように彼の手に渡ったのか非常に熱心に詳細をシェアしたがっていた。

    「まぁ本当に奇妙だろうね。過去に他のギターのように、あれを追い求めてはいなかったから。本当に積極的に特定のギターを追い求めて、うまくいった。ある日、ロンドンのホテルの部屋にいた時に、友人にメールをしていたら、彼が『あっそうだ、キミに見せたいギターがあるんだ。』ってきたから、俺は『OK。わかった。持ってきてくれ。』って。それだけのことだったんだ。」

    「そして彼が俺に見せたいギターを持っていると言った時、十中八九、ヴィンテージのギターでレスポール・スタンダードだろうなと思った。そいつはそういうタイプのギターを持っていることで良く知られていたからね。そしたら彼は他の人を連れてやって来た。彼らはヴィンテージのマーシャル・コンボも持ってきたんだ。彼がギターケースを持ってきて開けるとすぐにそれが何かわかったよ。ピックアップのネジが逆さまになっていたからね。」

    greeny-front

    「俺はもう『おいおいおいおいちょっと待ってくれよ。ちょっと待て。このギターのために200万ドルも持ってないぜ』ってなったよ。そしたら友人は『バカ言わないでくれよ。俺はこれの由来なんて知らないんだ。10年か12年前にはそれが元々の値段だったかもしれないけど、それから(値段は)まともになっているよ。』」

    「俺は『素晴らしい』って言うと、それをヴィンテージのマーシャル・アンプにつないで弾いてみた。30秒ぐらいして俺はこう思った。『おぉこれはただのレスポールじゃないぞ・・・』そしてミドルポジションに移行した。それが(このギターが)崇拝されてきた音だからね。弾き始めたら『なんだこりゃ、こいつは全部メチャクチャだ。』って思ったね。」

    「ブリッジポジションやネックポジションでは信じられないほど素晴らしいレスポールのサウンドだったけど、ミドルポジションになると100ワットのマーシャルを通したストラトみたいに聴こえるんだ!」

    「なるほどなるほどと。俺は「Greeny」が何なのか完璧に理解したよ。歴史の側面を知れば、これら全てのアルバム、全ての素晴らしい音楽に使われていたという事実がある。でもそういうことを差しおいても、ありのままの事実として、これは素晴らしいサウンドのギターだということだ。ぶっ飛ばされたし、全てがうなづけるものだった。」

    −ギターを所有することになってどんなお祝いをしましたか?

    「最初に俺がやりたかったのは、その夜にステージで使うこと、そして「Whiskey In The Jar」を弾くことだった。「Whiskey In The Jar」を弾いた時のあのギターの可能性は莫大なものだったからね。だから初めてステージで弾いた時、必要とされ望まれた場所に俺が持ち帰ってきたように感じたんだ。あれ以来、正直言って俺が「Greeny」を買ったよりも高い値段で売られている他のギター、他のレスポールの話を聞いてきた。ある程度、俺は適切なタイミングに適切な場所にいたってわけさ。所有者が現金を早く必要としていたし、俺にはそれが出来たし、あのギターを確実に手に入れることができたわけだからね。それから俺たちは他の全ての問題についても丸く収めたんだ。」

    「でもこれは前に言ったかと思うんだけど、俺があのギターを実際に買ったというニュースが流れ始めると、聞いたこともない人たちや「Greeny」の体験についてそれまで話したこともない人たちからいろんなEメールが来たよ。」

    「あのギターは独自の世界、独立した迫真性を持っているし、完璧に自分を際立たせてくれるから、まったくもって完全に驚異的だ。俺は独自の個性を持ったギターを持ったことがなかった。完璧な独自性だ。その事実を同じように愛しているよ。」

    greeny-rear

    −そのギターをどのように弾くのが好きですか?

    「レスポールにしてはかなり軽い。俺は断然重いレスポールを持っているけど、驚くべきことはネックがかなりの厚みだということだ。薄いネックも厚いネックもV字ネックもプレイできるけど・・・どんなネックをよこそうともプレイできるから、俺にとっては問題にはならなかった。」

    「「Greeny」で(フリートウッド・マックの曲)「Oh Well」や「Albatross」を弾くと、レコーディングしたみたいに聴こえる。驚きだね。「Oh Well」をアンプラグドで弾くと、アコースティックのようだし、まさしく「Greeny」のサウンドなんだ。一番驚いたことだ。反響音もとんでもないものだ。かなりラウドだし、音の塊がたくさんあって、アンプ無しでも音色が響き渡る。」

    「あのギターを手に入れてすぐに、ジョン・マーシャルに手渡した。彼は俺の永遠のギターテクで、短い期間、実際にメタリカとプレイしていた。彼に『「Oh Well」を弾いてみろよ』って言って、彼は弾き始めると『おぉ!まさしくこれだ!』となった。『だろう!?信じられるか?』ってね。それを持ってるんだぜ。本当に息をのむほど驚くよ。」

    −あなたはピーター・グリーンの大ファンだったのですか?

    「あぁもちろん。ジョン・メイオールのアルバムだけじゃなく、フリートウッド・マックのアルバムでの彼のプレイが本当に大好きなんだ。俺は本当にもう「The Supernatural」って曲が大好きでね。彼が音を奏でる時、全てを物語っているから大好きだよ。」

    「時々、「Greeny」を取り出しては、「Black Magic Woman」とか「Coming Home」とかを弾くんだ。そこにはフィーリングがある。まさしくね。ただただ信じられないよ。俺にとって本当に驚いたもう一つは、あのギターが俺の好きなシン・リジィのアルバムのひとつ『Black Rose』でも使われているってことだね。」

    blackrose
    Black Rose


    「ピーター・グリーンが大好きだし、彼の演奏も大好きだ。もしピーター・グリーンがいなかったら、カルロス・サンタナもいなかったかもしれない。俺はそこに直接的な関係を見るんだ。直接的な影響がある。」

    −あなたはこのギターを使用し続け、個人的なコレクションとしてしまい込むことはしないつもりですか?

    「もちろん。俺はギターをただじっと観るためにむやみに欲しがって買うようなヤツじゃない。それはヴィンテージ・ギターの死だよ。ギターは演奏するために出来てるんだから。演奏すればするほど、サウンドが良くなる。演奏すればするほど、ギターの反応が良くなる。俺は「Greeny」を買った。期待に胸を膨らませて、文字通り、次のショーまでに4、5万人の前にしたステージに上がったんだ。」

    「ちょうど今、スタジオに向かっているんだ。ギターテクに『「Greeny」をチューニングしておいて。今日、使うから。』ってメールしてたよ。俺は試してみて、あのギターが持っている3つの主要なサウンドを全て使うつもりなんだ。」

    −そのような崇拝する楽器を持つことがどういうことなのか、まとめることはできますか?

    「もう本当に狂気じみてると思うのは、ミュージシャンがやってくると、彼らは俺が「Greeny」を持っていることを知っていて、いつもあのギターと一緒に写真を撮ってくれとお願いされるんだ。もし俺のカミさんが有名な映画女優か何かだったらこんな感じなのかなと思ったら笑えてくるよ。いつも誰かがやってきては俺に『私とあなたの奥さんで写真を撮っていいですか?』なんてね。」

    「俺はいつも脇へ退いてカメラマン役だよ。それが「Greeny」を持つってことだね。これまでに俺が持っている他のギターよりも、たくさんあのギターとみんなとの写真を撮ってきた。」

    「「Greeny」自体が独自のファン層を持っているんだね。驚いちゃうよ。たくさんの人があのギターを演奏してきた。ジミ・ヘンドリックスもあのギターを演奏してきたし、ロリー・ギャラガーもジェフ・ベックもジョージ・ハリスンも・・・演奏した人リストは延々と続くんだ。」

    「あのギターを観たその日の夕方、友人を介してジミー・ペイジにメッセージを送ったんだ。『ジミー、このギターについてどう思う?』そしたらジミーの反応はこうだった。『そのギターなら覚えているよ。絶対に買うべきだ。』俺はジミー・ペイジの承認ありでレコードであれを使うべきだと思ったんだ。ジミーが『そうだ。それを買うべきだ、カーク』と言ってくれた、あれ以上のものはそうはないよ!」

    MusicRadar(2016-08-08)

    ちなみにGuitarWorldの記事によると、ゲイリー・ムーアがピーター・グリーンからこのギターを買った時の値段は、ピーター・グリーンが買った時と同じ、たったの300ドル。ゲイリー・ムーアが2006年に手離した時に売られた値段が75万ドルから120万ドルだったと言われているとのこと。

    新曲「Hardwired」のギターソロで使っているのがメイキング映像で確認できますが、新作『Hardwired...To Self-Destruct』発表後のインタビューでどの曲でどのように使っているのか語ってほしいところです。
    https://metallica.com/videos/30975/riff-charge-the-making-of-hardwired

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    現地時間2016年5月20日に行われたミネソタ州ミネアポリスの公演で、先日公開したばかりの新曲「Hardwired」をライヴ初披露しました。

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    当日のセットリストはこちら。
    01. Creeping Death
    02. For Whom the Bell Tolls
    03. Fuel
    04. King Nothing
    05. The Memory Remains
    06. The Unforgiven
    07. Leper Messiah
    08. Welcome Home (Sanitarium)
    09. Sad But True
    10. Wherever I May Roam
    11. One
    12. Master of Puppets
    13. Battery
    14. Fade to Black
    15. Seek and Destroy

    Encore

    16. Hardwired
    17. Whiskey in the Jar
    18. Nothing Else Matters
    19. Enter Sandman

    Metallica.com(2016-08-20)

    ストリーミング配信は残念ながら音声のみでしたが、聴き逃した方はYouTubeで聴くことができます。


    ライヴ開始前のSEにはいつも使っているAC/DCの「It's A Long Way To The Top (If You Wanna Rock 'N' Roll)」ではなく、レッド・ツェッペリンの「Immigrant Song」を使用。もしかしたら8月20日に誕生日を迎えたロバート・プラントに捧げたのかもしれません。

    事前に投票を呼び掛けていた選曲リクエストは「Leper Messiah」が選出されました。本編終了後にはバンドロゴ風のMINNESOTA(ミネソタ州)の文字が。
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    そしてアンコール1曲目で新曲「Hardwired」を持ってくるというなかなか大胆な構成(2時間10分過ぎから)。YouTubeでは「metallica minneapolis 2016」などで検索すると、当日の動画がアップされてきています。

    さらに新譜『Hardwired...To Self-Destruct』の予告映像も公開されました!


    メタリカのこれまでの歩みを振り返り、「Hardwired」以外の新譜収録曲も断片だけ公開。焦らされます!

    【追記】
    ライヴで初披露となった「Hardwired」の公式動画がアップされました!


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    ついに新譜『Hardwired … to Self-Destruct』の詳細が発表され、新曲「Hardwired」を公開したメタリカ。ラーズ・ウルリッヒがRollingStoneのインタビューで新譜について大いに語ってくれました。以下、管理人拙訳でご紹介します。

    metallica_2016image

    ラーズ・ウルリッヒの頭はグルグル回っている。我々との会話の前に、このドラマーはスラッシーで猛威を振るう危険なほど高速なメタリカのナンバー「Hardwired」をFacebookで公開し、今秋にニューアルバム『Hardwired … to Self-Destruct』を出すことを発表した。2枚組でトータル80分ほどの12曲が収録された今作は2008年の『Death Magnetic』以来、初めてのメタリカのアルバムであり、2011年にルー・リードとコラボした『Lulu』以来のフルレングスのアルバムとなる。しかし、これには裏がある。現時点でアルバム制作はまだ進行中なのだ。

    「ちょうど今、ロブが下の階でベースを録り直していて、ある曲の1つのヴァースをやっているよ。みんな『今度のレコードはどうなるんだ?』って言うけど、俺だってわからないんだ。まだ終わってないからね。今週はずっとしっちゃかめっちゃかだよ。」

    追加のレコーディングに加えて、今週は土曜日に行われるミネアポリス公演に向けたリハーサルを行っているメタリカ。楽器ごとにレコーディングを行っていたため、月曜に自身とバンドメイトたちが初めて「Handwired」を演奏するまでは一緒にプレイしていなかったとラーズは語る。それにも関わらず、彼はこれまでこの曲が受けた反応に満足している。「今日、たくさんの仲間からどれだけ新曲を聴き込んだかが書かれたクールなメールをたくさんもらったんだ。」Rolling Stoneとのニューアルバムについての詳細なインタビューのあいだこう言った。「生きてて良かった。」

    −「Hardwired」はたった3分の曲です。アルバムは全体として、よりシンプルになっていくんでしょうか?

    ちょっとはね。あれは実際、今作のために書いた最後の曲なんだ。俺たちはいろんなアイデアを投げ込むことからこのアルバム制作を始めた。曲の集まりとして形を成していて焦点が定まってなかった。俺たちがアルバム制作にどっぷり浸かるまではね。その時点で、楽曲はタイトに短くスリムになっていったんだ。

    数ヵ月前、俺たちはそこに座って、レコード(に入れる曲)のストックを持ってきて、もっと速くてクレイジーな曲を入れるべきかもしれないと考えた。それが「Hardwired」になった。そんな感じさ。ジェイムズと俺が書いて、1週間しないであれをレコーディングしたんだ。そりゃあ俺たちにとっては、ナノ秒みたいなもんだったよ(笑)


    −早い段階で曲のアイデアはどのような過程を経たんでしょうか?

    俺たちは演ったものは全部録音しておく。アルバム制作を始めた時、俺のiPodには1500の曲のアイデア、ジャム、リフが入っていた。それぞれ番号を付けていてね。本当に長い道のりを経て、何時間もそれに耳を傾けた。俺は「912のサウンドはなかなか良いアイデア」とか書き留めておくんだ(笑)。それからジェイムズと俺は1年とか1年半前から点を繋ぎ始めた。それが曲の形となり始めた時だったんだ。

    −楽曲はいつ形作られていったんですか?

    14年秋と15年春にほとんどの曲を書いたよ。

    −『Death Magnetic』制作時にプロデューサーのリック・ルービンは、アルバムがどういうサウンドとなるべきか把握するのを手助けしていました。『Hardwired〜』でのあなた方のゴールは何だったのでしょうか?

    もともと、俺たちは中断したところから続けたかったんだ。『Death Magnetic』以来、勢いに乗って仕事がはかどっていた。ルー・リードとコラボしたり、ロニー・ディオのレインボー・メドレーをやったり、ディープ・パープルのカバーをしたり、それと言うまでもなく2年かかった映画もね。(新作『Hardwired … to Self-Destruct』のプロデューサー)グレッグ・フィデルマンはそれ以来ずっと俺たちと一緒に仕事をやってきた。俺たちは落ち着いて自分たちがやっていることの評価をする時間なんてなかったんだ。

    だから 俺たちがやってきた楽曲のストックを持って行った過程から、(こうして)アルバムについて俺たちが言えることはないかと訊かれるまでそう時間が離れているわけじゃない。曲をもっと形にしていって、まとめていく時期だった。でも何か使命とかゴールがあってやってきたわけじゃない。


    −グレッグ・フィデルマンはプロデューサーとして何をもたらしましたか?

    彼は基本的にスタジオでの作業に関してはバンドの5人目のメンバーになっていた。彼は素晴らしいバウンスボードでもあるし、もっと良くなるよう俺たちを後押ししてくれた。俺たちは常に楽曲制作でもっと飾りつけられないか改善できないかと探している。(制作中の)曲を聴くと「クールだけど、この曲のブリッジはもっとよくできないか?ドラムの音をミックスで上げるべきだろうか?キーを変えるべきだろうか?」とかね。これは集中的かつ系統立った労力だよ。彼はこうしているあいだ座っていて、俺たちに挑戦するんだ。ジェイムズや俺がある曲の機動性をリードして「本当にいいな、うまくいった。」なんて言っているとグレッグはただ座って「うーん。」とこうさ。俺たちはこいつはそこまで良くないんだなと気付くわけさ。

    曲を書いていて、その曲に没入すると、その時に高いエネルギーを得ることができる。時にはそんなエネルギーが実際に何が起きているか覆い隠してしまうこともある。偽りの効き目を得る薬みたいなものでね。これは良いと感じて、気分良くなって議論の余地なしってなっても2日も経つと「こりゃあ俺たちは何を考えていたんだ?」となる。グレッグはいつも理性の声なんだ。


    −あなたは『Hardwired〜』の曲は『Death Magnetic』の曲に比べて、狂乱したものにはならないと語っていました。どういう意味だったんでしょう?

    ほとんどの曲が前よりシンプルなんだ。俺たちが前にやった楽曲のように、1つのリフからあちこち行ったり、いろんな音の風景を旅するようなものというよりは、あるムードから始まって、それをやり通す。楽曲はより直線的だ。そして「前より狂乱したのものにならない」っていうのは、曲のなかでの始まりと終わりが少なくなったってことさ。前のレコードよりもちょっとだけ真っすぐ走っている。

    −今年は、この前に『Kill 'Em All』『Ride The Lightning』のリイシューについて我々と話した時に、あのアルバムと新譜のあいだで「双方のエネルギーが行き交う」のを感じると語っていました。あのリイリューは『Hardwired〜』の創造性に何か波及しましたか?

    「Metal Militia」を聴いた魔法のような瞬間に曲を書いたなんてことは言えない。でも2013年のデトロイトで行ったOrionフェステイバルで『Kill 'Em All』の完全再現をやった。あれがあのレコードに本当没頭していった最初だった。早くから、俺はあのレコードに否定的だった。『Ride The Lightning』『Master Of Puppets』はもう少し知的で刺激的で挑戦的だったからね。あれらはより深みの増したレコードだったんだ。2013年までは演っていて『Kill 'Em All』にまとまりがあるとは思ってなかった。速さは独自のものを行っていたけど、もっとシンプルなんだ。楽曲はもっと長いけど、それほどプログレッシブではない。全て独自の世界だ。そこから受け継がれた要素はあると思ってる。楽曲制作中に紛れ込んだ『Kill 'Em All』の再発見から出てきた残留物の痕跡はあるかな。

    −あなた方はまだ新しいアルバムの仕上げをしています。あと何の作業が残っているんでしょう?

    そんなに多くはないよ。ある曲のミックスを仕上げること以外は終わっている。2、3日で、グレッグは「Spit Out the Bone」っていう制作中のタイトルは「CHI」だった曲のミックスをする予定だ。突然、ロブが昨日、アルバムに取り組むためにコントロールルームに現れた。だから俺が何を知ってるんだってんだ?大方は終わっている。今週末には最後の曲をミックスすべきだと思う。

    −『Hardwired〜』のデラックスバージョンのボーナスディスクで「CHI」と呼ばれる曲のデモを収録していますね。いつ「Spit Out the Bone」になったんですか?

    これらの曲は一昨日タイトルをつけ終えたばかりだ。48時間前には「CHI」「Tin Shot」「Plow」「Sawblade」といったどのみちクレイジーな制作中のタイトルで知られていたものだ。今こうしてトラックリストが発表されて、みんなは曲について話すんだが、俺は「どれが「Spit Out the Bone」だったっけ?」って考えなきゃならなくなる。ジェイムズと俺はいまだに「えっ?あぁ「CHI」だろ」ってなるよ。

    −ネット上で多くのメタリカファンがあれこれと考えを巡らせていた新曲のタイトルは「Am I Savage?」です。ファンたちはダイアモンドヘッドの「Am I Evil?」のカバーをどうにかしたものなのではと考えています。

    (笑)まぁ「am」「I」そしてクエスチョンマークまで一緒だからね。4つの単語のうち3つだ。でも違う。直接の相関関係はないよ。

    でも抽象的には「Am I Evil?」は、今日俺がキミにインタビューで話している理由の一部だね。もしあの曲がそうじゃなかったら、キミは俺が何者かも何をやっているのかも気にもしなかっただろう。だから明らかにそこにはとても抽象的な細い(繋がった)線がある。でも「Am I Savage?」と直接の相関関係はないよ。

    −「Hardwired」やその他の新曲を今週末のミネアポリス公演でやるんでしょうか?

    俺たちはその質問に答えるのに(ミネアポリス公演が始まる)52時間後まで離れていようか?(笑)こういう風に考えてみよう。ニューアルバムからの曲を演奏するチャンスは、俺たちが世界に新曲を共有してから増えていく。でも俺たちがアルバムを作っていて気付いたのは、これらの曲を良くしようとより多くの時間と労力を注いできたってことだ。選択できるのであれば、900列目からクソみたいなiPhoneで撮ったライヴバージョンよりもレコーディングされたバージョンを聴くことになると思う。だからキミが書くことになる記事をよく読んでもらおう。

    RollingStone(2016-08-19)

    「まだ新譜完成してなかったんかい!」
    「あの新曲、そんな出来立てほやほやだったんかい!」


    などと訳していてラーズにツッコミを入れたくなるインタビューでしたが、ほとんどの曲がシンプルであるという新譜の特色がここに来てようやく見えてきた気がします。

    ラーズとしては、すでに公開した「Hardwired」はともかくとして、その他の新曲の披露はライヴで行うよりもまずはアルバムとして曲を聴いてもらいたいという思いがあるようです。まずは日本時間で明日21日に行われるミネアポリス公演に注目です。

    【追記】
    新曲「Hardwired」の制作中の風景が公開されています。カークの使っているギターはピーター・グリーン、ゲイリー・ムーアに使われてきた伝説的なギター「Gary Moore/Peter Green Les Paul」ですね。
    https://metallica.com/videos/30975/riff-charge-the-making-of-hardwired

    takakiさん、情報ありがとうございます。

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    メタリカがニューアルバム『Hardwired…To Self-Destruct』を2016年11月18日発売!『Death Magnetic』以来8年ぶりとなる今作は2枚組12曲収録、全曲で80分近いものになるとのこと。デラックスエディションでは新譜制作中に録ったと思われるリフと「Lords Of Summer」を収録したボーナスディスクが付属。かねてから言われていたグレッグ・フィデルマンとジェイムズ・ヘットフィールド、ラーズ・ウルリッヒの共同プロデュースとなっています。

    アルバムのアートワークはこちら。
    newalbum_artwork

    さらに新譜発売日発表と同時に新譜のなかから1曲、「Hardwired」も公開されています。


    歌詞はこちらから確認できます。
    https://metallica.com/songs/43214/hardwired

    以下、トラックリスト。

    Disc One

    01. Hardwired
    02. Atlas, Rise!
    03. Now That We’re Dead
    04. Moth Into Flame
    05. Am I Savage?
    06. Halo On Fire

    Disc Two

    01. Confusion
    02. Dream No More
    03. ManUNkind
    04. Here Comes Revenge
    05. Murder One
    06. Spit Out The Bone

    Disc Three (Deluxe Edition Only)

    01. Lords Of Summer
    02. Riff Charge (Riff Origins)
    03. N.W.O.B.H.M. A.T.M. (Riff Origins)
    04. Tin Shot (Riff Origins)
    05. Plow (Riff Origins)
    06. Sawblade (Riff Origins)
    07. RIP (Riff Origins)
    08. Lima (Riff Origins)
    09. 91 (Riff Origins)
    10. MTO (Riff Origins)
    11. RL72 (Riff Origins)
    12. Frankenstein (Riff Origins)
    13. CHI (Riff Origins)
    14. X Dust (Riff Origins)

    公式サイト、Metallica.comの様相もすっかり新譜モード。
    newalbum_site

    発売フォーマットはCD、デジタルダウンロード、ビニール盤で、それぞれ予約も始まっています。
    https://metallica.com/store/featured

    ようやくのXデー発表と新曲公開!今からずっと前から待ち遠しいです!

    【追記】
    HardwiredはMetClubのLegacyメンバーの方はMP3のフリーダウンロードが可能となっている他、iTunesやSpotifyで配信が始まっています。

    MetClub Legacy Member
    https://metallica.com/legacy-members

    iTunes
    https://itunes.apple.com/jp/album/hardwired...to-self-destruct/id1145400124?app=itunes&ign-mpt=uo%3D4

    Spotify
    https://open.spotify.com/album/4MQxwNLnVePt7CYmLE50kC


    【追記】
    デラックス盤の収録内容に変更がありました。
    詳しくはこちらをごらんください。

    メタリカ、新譜『Hardwired...To Self-Destruct』デラックス盤の収録内容を大幅に変更

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