メタリカ情報局

メタリカを愛してやまないものの、メタリカへの愛の中途半端さ加減をダメだしされたのでこんなブログ作ってみました。

       

    タグ:序文

      このエントリーをはてなブックマークに追加
    ドイツを代表するバンド、スコーピオンズについて書かれたバイオ本『German Metal Machine: Scorpions in the '70s』に、スコーピオンズを敬愛するカーク・ハメットが序文を寄せています。この序文でカークは、レコード店でスコーピオンズと出会い、どうハマっていったのかエピソードを綴っていました。Amazon.comのプレビューで序文を全文読むことができたので管理人拙訳にてご紹介。

    かつてバークレーには「Rather Ripped Records」と呼ばれるレコード店があった。その小さなレコード店には輸入盤の棚があった。1978年に俺はそこでUFOをみつけ、イギリスやヨーロッパから出てきたおびただしい数のハードロックバンドをみつけた。「Rather Ripped Records」でカウンターの奥にいたヤツにUFOみたいなのを他に持っていないか訊いたのを覚えているよ。UFOは俺のお気に入りのバンドだからね・・・。UFOとかジューダス・プリーストみたいなヤツね。

    すると彼は2つのアルバムをかけた。そのうちのひとつがモーターヘッドの『Overkill』で、もうひとつがスコーピオンズの『Tokyo Tapes』だったんだ。彼が『Overkill』をかけると、俺はそのスピードとヘヴィネスとパンチ力、エネルギーと攻撃性にぶっ飛ばされた。俺は「すげぇ!これを買うよ!」ってなった。それから「スコーピオンズを聴こう」と言ったんだ。アルバムをつかむと、俺がそれまで観てきたツェッペリン、エアロスミス、ヴァン・ヘイレン、キッスみたいなものに比べて、アルバムジャケットが全然違ってエキゾチックだったもんだからまたぶっ飛びさ。

    そうして彼がそのレコードをかけると、神に誓って言うけど、音質や音声はあまり良くなかったんで俺はパスした。でもあのイメージと名前は俺の頭に焼き付けられた。しばらくして、マイケル・シェンカーがUFOを去ったって話が俺たちヘヴィメタルキッズのグループにも知れ渡った。それから数か月後に彼がスコーピオンズに加入したという話が耳に入った。スコーピオンズのポスターを見て確かめると、ウリ・ジョン・ロートがいない。それから『Lovedrive』が出た。俺はマイケル・シェンカーが俺のお気に入りのギタリストだってことがわかって、ただその信頼性だけでそれを買ったんだ。ルドルフ・シェンカーがあのバンドにいて、新しいマティアス・ヤプスという名前の男がいた。俺はこいつはクソやべぇぞって思ったよ。アルバムには「マイケル・シェンカーが「Lovedrive」「Coast to Coast」やその他の曲で演奏している」と小さく宣伝文句が書いてあったんだ。

    完全に大好きになった『Lovedrive』の後、俺は(さかのぼって)『Virgin Killer』とかを買っていった。1曲目の「Pictured Life」には完全にぶっ飛んだ。でもそれから(2曲目の)「Catch Your Train」でエッジが間延びした。俺はまぁまぁな曲だと思っていた。でもギターソロに差し掛かると・・・何だこれは!初めてマイケル・シェンカー、エディー・ヴァン・ヘイレン、ジミ・ヘンドリックス、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジ、エリック・クラプトンといった人たちを初めて聴いた時と同じようにギターソロに打ち抜かれたんだ。ギターの演奏にやられたよ。アルバムの残りの部分も楽曲、リフ、素晴らしいリードギターの演奏とかそういったもの全てに信じられないほどぶっ飛んだ。そしてバンドの見た目にもね。

    そこから「The Sails Of Charon」収録の『Taken by Force』を買った。まさにこれだ。「The Sails Of Charon」は俺のお気に入りの曲であり、お気に入りのウリのソロなんだ。俺自身にとって現代音楽のクライマックスだよ。それから『In Trance』『Lonesome Crow』『Fly to the Rainbow』を手に入れた。その時点から俺はスコーピオンズ、そしてウリ・ジョン・ロートの大ファンになった。スコーピオンズの、とりわけウリ・ジョン・ロートの情報を見つけられる限り探したね。でもほとんど情報がなくてね。本当に情報を見つけるのは大変だった。彼のソロアルバムが出るまでは。

    でもスコーピオンズについて俺が持っている情報は全部、アルバムカバー、中ジャケ、ライナーノーツから勉強したものを拾い集めて、全てまとめようと腐心したものだ。そしてまさにここに書かれたことが、スコーピオンズに対する俺の第一印象だったんだ。

    カーク・ハメット
    2015年10月

    Amazon.comより

    ネットがない時代の情報探しの苦労が伝わる話です。ちなみにスコーピオンズの「The Sails Of Charon」はカークがライヴでアンコール焦らしなどでちょこっと弾くことがありました。

    Scorpions - Sails Of Charon


    カークが序文を寄せたスコーピオンズの本は英語版になりますが、Kindleで購入可能です。
    german_metal_machine
    German Metal Machine: Scorpions in the '70s


    ブログランキングに参加しています。
    応援クリックをヨロシクお願いします。

    関連記事
    カーク・ハメット、米TV番組『That Metal Show』にてマイケル・シェンカーと共演
    カーク・ハメット、マイケル・シェンカーのライヴに飛び入り参加

      このエントリーをはてなブックマークに追加
    メタリカ本体とは離れたラーズ・ウルリッヒの活動。ラーズの故郷デンマークにある名店ノーマ(NOMA)のオーナーシェフ、レネ・レゼピが書いた「A Work in Progress: Journal, Recipes And Snapshots」という3冊本の序文をラーズ・ウルリッヒが執筆したとのこと。

    ノーマはレストランBEST50に2位として取り上げられるほどの名店。(写真右の方がレネ・レゼピ氏。)
    noma
    http://www.theworlds50best.com/list/1-50-winners/noma/


    そんなお店のオーナーシェフの著書序文を任せられたラーズ。どういったオファーとして受けたのかを含めて書いてくれているので管理人拙訳にてご紹介。

    恐れない(unafraid)。

    俺はこの言葉が大好きだ。この言葉が長いあいだ俺の心の奥底にあった。この言葉を使う適切なタイミングを待った。この言葉を付けるのにふさわしいプロジェクトを待った。

    この言葉が食べ物についての本に使われるとは全く想像しなかった。だが今、使われている。しかしまた、これは食べ物のことだけが書かれた本じゃない。

    再び使おう。恐れない。これで使ったのは2度目だ。良い。響きも良いね。実に力強い言葉だ。

    以前、メインイベント前に1〜2ページ埋めるのに前書きか何かを寄せてくれないかと頼まれたとき、まず思い浮かべたのは1人の人物、またはその人と密接に関連する一連の作品だった。レネがこの序文を書いてくれるよう連絡をくれたとき、俺に創造力について書くよう頼んできたんだ。食べ物についても、ノーマについても、レネ自身についても、あるいはこれらを混ぜこぜにしたものについてでもなくね。レネは俺に次の質問に対する熟考を求めていたのさ。つまり「創造力とは何か?」を。

    俺は長年に渡って多くの創造的な何がしに参加するよう誘われてきたが、一語(創造力)についてのエッセーを書くよう誘われたことはなかった。恐れない(unafraid)ってのはいいスタートだ・・・。

    創造力は、自分が知っていることを受け入れるのと同じくらい、自分が知らないことを探求することだ。基礎知識だけで身を固めて、自分の無知ぶりにさまよい込む勇気を持つことは、本当の創造力への強力な一歩となる。本当にそうやって何かを作るとき、これまでやってきた結果と同じくらい、これまで知らないような結果が出る。

    俺はこれまでだいぶ、音楽周りでグルグルと廻ってきた。そのなかでやってきたこと全てはむしろスローガンのように聞こえる。実際、そういったスローガンでとてもクールなバンパーステッカーができそうだ。

    「もっと深く掘ろうぜ」ってね。

    レネはユニークなクリエーターのとても小さなグループに属している。自身の特別なニッチ分野を変えた人たちが世の中を完全にひっくり返してきた。再発明され、再定義されてきた。

    恐れない人々。

    パブロ・ピカソ、ジャクソン・ポロック、チャーリー・パーカー、ベートーベン、ビートルズ、セシル・B・デミル、フランシス・フォード・コッポラ、クエンティン・タランティーノ、ジャック・ケルアック、ジェイムズ・ジョイス、ハンター・S・トンプソン、スティーブ・ジョブズ、スティーヴン・ホーキング、マーロン・ブランドと、誰がこのリストを作るかによってもっと先のあるリストだが・・・誰のリストであろうと、あるいは、どれだけ長いリストであろうと、レネ・レゼピはそういうリストや、そういう会社、本当の先駆者に「属している」。過去10年のあいだ食べ物という世界のなかで彼がやってきたことがゆえに。レネは恐れない。そして俺達は皆、彼が大胆不敵に創り続ける結果の恩恵を感謝し享受している。


    Phaidon(2013-11-07)

    車のバンパーステッカーに「もっと深く掘ろうぜ」とはシャレが効いてます(笑)ラーズがメタリカの活動に対して語るインタビューと同じものを感じさせる序文でした。

    ブログランキングに参加しています。
    応援クリックをヨロシクお願いします。

    関連記事
    スリップノットのメンバーが手がける写真集の序文をラーズ・ウルリッヒが執筆

    このページのトップヘ