RollingStoneのインタビューでロバート・トゥルージロがジャコ・パストリアスやメタリカの新譜について語ってくれました。管理人拙訳にてご紹介。

ちなみに『Jaco: A Documentary Film』が公開される「Asbury Park Music in Film Festival」は、場所こそ全然離れていますがカーク・ハメット主催のFearFestEvilと日程的にモロかぶり(2015年4月10日-12日)。おそらく新譜制作の合間の休日の期間を充てているのでしょう。
最後にインタビュー中にロブがオススメしていたジャコ・パストリアス参加の曲を。
Come On, Come Over
Portrait of Tracy
Havona
All-American Alien Boy
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メタリカのロバート・トゥルージロは、ファンキーな即興演奏で知られるジャズの名手、故ジャコ・パストリアスの人生についてのドキュメンタリーを見たいといつも思っていた。そして、初めてジャコの息子ジョニーに出会った時、自分でそれを作ってしまおうと急き立てられるほど強く思ったのだ。約20年後、トゥルージロが共同プロデュースを行った『Jaco: A Documentary Film』は、4月に初開催される「Asbury Park Music in Film Festival」で上映が企画され、映画祭を巡回し始める。
「これは教育ビデオなんかじゃない。もっと深い、物語なんだ。」
ジャズ・フュージョンの巨大グループであるウェザー・リポート、ジョニ・ミッチェル、イアン・ハンターのアルバム、そして自身も同じくらい多く出したソロ作品における独創的な演奏で70年代半ばにロックとジャズの境界線の橋渡しをした伝説のベーシストを持ち上げたフィルム・クロニクル。躁鬱病が彼の後半生のキャリアにどう影響を及ぼしたかにも触れている。
しかし、内容のほとんどは、このベーシストが1987年にクラブの用心棒から殴られて脳出血により35歳で亡くなる前に、多くのミュージシャンにどれだけ影響を与えたかの証左となっている。
過去5年間に渡って制作されてきた、このドキュメンタリーではジャコを尊敬してやまない多くの人々が出演。そこにはフリー、スティング、ゲディー・リー、ブーツィー・コリンズ、そして彼とジャムを共にしたジミー・ペイジ、元ガンズ・アンド・ローゼズのドラマー、マット・ソーラムも含まれている。
何より、トゥルージロは人々がパストリアスにどれだけの情熱を持っているのか観て欲しいと願っている。「これはとても特別な映画なんだ。」メタリカのベーシストはこう語る。「彼の物語をシェアすることは重要だと思っているよ。」
−いつジャコ・パストリアスがあなたの人生を変えましたか?
1979年にサンタモニカ市公会堂で彼が演奏したのを観たんだ。本当に自分の世界が変わったよ。それ以前まで最前線でメロディックな楽器として弾かれているベースを観たことがなかった。ギタリストのいないウェザ・リポートで演奏していた。あのなかではジャコが一番ヒッピーだった。彼のステージでの存在感は本当にパワフルだったよ。ほとんど彼のショーと言っていいくらいさ。みんな、彼を観にやってきたんだ。ヴェニス・ビーチからたくさんのスケーター仲間、サーファー、ジャズ・プレーヤー、メタラーやジョン・ベルーシ(訳注:ブルース・ブラザーズで知られる俳優)までいた。そんなたくさんの人たちが彼をチェックしに来ているように見えたね。
−なぜジャコの演奏は特別なのでしょうか?
ジャコは信じられないくらいファンキーなんだけど、本当にヘヴィでもあるんだ。彼のサウンドには多くのエッジとうなりがあった。俺は彼がいまだにユニークなサウンドを持っているってことが大好きなんだよ。そして彼のダイナミックな存在感が楽器を通じて感じられるところがね。でも同時に彼はメロディックで、たくさんのプレイヤー、ことさらベーシストにとってはとても貴重な存在なんだ。
俺にとって特別だったのは、ライヴの体験とジョニ・ミッチェルとイアン・ハンターと一緒にやっている音源を見つけたことかな。もちろん彼のセカンドアルバム(訳注:『ワード・オブ・マウス』)もね。「Teen Town」のような曲のようにドラムとベースだけで本当にアグレッシヴなこともできる。実際、あの曲では彼はドラムも叩いているんだ。クレイジーだね。「Portrait of Tracy」ではハーモニーで曲を構成している。ハーモニー・コードを?ベースでだって?それまでに誰がそんなものを聴いたことがあるかい?
−ジャコを初めて聴くのに一番いい出発点は何だと思いますか?
「Come On, Come Over」を聴くといいよ。ファンキーなプレイヤーとしてジャコのスタイルに通じるのが重要だと思うからね。楽器の上で動く彼の指はさながらパーカッションのようだった。それはとてもユニークなサウンドで、だからレッチリのフリーやゲディー・リーや俺が彼に魅力を感じるんだ。彼のテクニックは本当に特別なんだよ。あれはみんなが聴くべき、頭をぶったたかれるようなファンク・ダンス・ナンバーなんだ。それからテクニックとか彼の革新者としての能力を知りたいと思ったら「Portrait of Tracy」を聴くといい。俺にとって、あれはベースである点を除けばエディ・ヴァン・ヘイレンがやった「Eruption」みたいなものなんだ。ウェザー・リポートの「Havona」もいい曲だね。もしロック好きならイアン・ハンターの「All-American Alien Boy」がある。最後に挙げた曲は誰もがこれまで聴いたなかで最高のベースソロになるかもしれない。
−なぜベーシストは、ギタリストのように名手として認められることが難しいのでしょうか?
昔から、ベーシストの役割というのはシンプルでソリッドなものを維持していくだけだったから、実際に視覚的なものを含めた大きな存在感をもたらすプレイヤーと出会えた時というのは本当に特別なことなんだよ。メタリカのクリフ・バートンなんて重大事件さ。彼はその楽器を手にとって、ヘヴィメタルに違う何かをもたらした。俺はそれが革新的だと思う。俺にとってそれは特別なものなんだ。
俺は90年代にインフェクシャス・グルーヴスっていうバンドを組んだ。その音楽は本当にミクスチャーのスタイルで、パンクロック、スカといったものをやっていたけど、それからそこでたくさんのファンクをやり出した。ファンクはジェイムズ・ブラウンから始まったけど、ジャコ・パストリアスからでもあるんだ。俺はインフェクシャス・グルーヴスのなかでメインの作曲をやっていたけど、ジャコに本当に重大な影響を受けていた。そしてこうしてみんなをモッシュさせるようなクレイジーな曲を書いているんだ。結局、俺は全部彼から出来ている。もちろん他の大きな影響として明らかに(ブラック・サバスの)ギーザー・バトラーがいるわけだけどね。ギーザー・バトラーとジャコ・パストリアスのあいだなのは間違いない。
−ジャコに会ったことはありますか?
彼にちゃんと会ったことはないんだ。でも彼に遭遇したことはある。1985年にハリウッドで行われたギター・ショーでね。そこではホテルの各部屋にフェンダーとかギブソンとかアンプの会社とかスポンサーになっている音楽関連会社が入っていたんだ。そこのある部屋にいたら突然、壁や窓を震わすほどの馬鹿でかい刺激的な音が聴こえてきた。みんなこうさ。「一体何なんだこれは?」
その部屋に行ってみると、ジャコがベースを弾いていたんだ。それだけでクレイジーだったね。俺は数フィート離れて彼の真正面に座った。数分のうちに部屋は人でいっぱいになった。彼はそこにいた俺たち全員の目を観たんだ。それが挨拶代わりみたいなものだった。彼は笑いもせず、何も言わずに真剣な目でこちらを観て「そうだ。俺はここにいる。よく聴け。俺はまだおまえらをぶちのめせる。」と言われているように見えた。俺にとってはとても強烈な瞬間だったよ。
−ジャコの訃報を知った時、あなたはどこで何をしてましたか?
訃報を知った時、俺はスタジオにいた。俺のベーシストの友だちの多くはジャコに敬意を表して実際に黒い装いをしていた。もう1回言うけど、こういう人たちはジャズ・ミュージシャンじゃなかった。本当にベースに夢中になっている人たちだった。俺たちベーシストはジャコの身に起きたことに絆と心からの悲しみを覚えたんだ。特に80年代にジャコについてのたくさんの悲しい物語やうまくやっていけてなかったことを聞くに及んでね。(ギター・ショーで)彼を観たとき、そんなにすごいことはやっていなかった。彼はちょっと謎を秘めてそこにいたんだ。
−あなたはこの映画に多くの時間を投入してきたようですね。
もう5年になるよ。たくさんお金がかかった。多くの人は「へぇ、あんたは金持ちロック・スターだね。」って思うだろう。俺たちはこの映画を作るために実際に資金を調達しなきゃならなかった。ポケット・マネーで約80万ドルも費やしたよ。俺はいつも言っているんだ。「あぁ確かに俺はメタリカの一員だ。でも俺はブラック・アルバムの時にはいなかった。」ってね。ロバート・トゥルージロについて間違った考えを持って欲しくないんだ。でも情熱が俺を動かした。この映画はそれを表しているよ。自分が感化された影響をシェアしたいと思ったのさ。普通の人は、5年間かけて俺がジャコ・パストリアスのためにしてきた冒険のように、ドキュメンタリーにそれだけ多くの情熱と時間をかけることを理解できないだろうね。監督のポール・マルシャンはジャコの映画を終わらせるために他の映画を断ったんだ。
−新しいメタリカのアルバムはどうなっていますか?
俺たちは楽曲に取り組んで、楽しい時間を過ごしている。生産的であることを楽しんでいるよ。
−その楽曲はどんな感じですか?
メタリカみたいに聴こえるね(笑)
−『Death Magnetic』の延長線上のようなものに感じますか?
それはまだ何とも言えないな。本当にどのアルバムにも関連付けられないんだ。メタリカはどのアルバムもそれぞれが独自にユニークになっていると俺は思う。俺たちがやっていることは特別でそれ自体がユニークなんだけど、いまだにヘヴィであり続けている。リスナーとしての俺にとって、メタリカと共にする旅路っていうのは、必要とされる特定のエッジがあるんだよね。メタリカに加入する前、スイサイダル・テンデンシーズにいた時、俺はツアーのために『Ride The Lightning』を練習したもんだった。小道をジョギングするようなものは一切なかった。「Fight Fire with Fire」みたいに。俺が言えるのは俺たちはヘヴィなものをやっているってこと。でも、もう一度言うけど、どのアルバムも独自の経験がある。だから俺たちはどうなるのかもう少し様子をみる必要があるだろうね。
RollingStone(2015-04-02)
ちなみに『Jaco: A Documentary Film』が公開される「Asbury Park Music in Film Festival」は、場所こそ全然離れていますがカーク・ハメット主催のFearFestEvilと日程的にモロかぶり(2015年4月10日-12日)。おそらく新譜制作の合間の休日の期間を充てているのでしょう。
最後にインタビュー中にロブがオススメしていたジャコ・パストリアス参加の曲を。
Come On, Come Over
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