前回の続き。カークが「So What!」の編集長、ステファン・チラジとの会話でレコーディング時のラーズとの関係について語っています。管理人拙訳にてご紹介。
ラーズのギターはいつか披露されるのでしょうか(笑) 続きはまた後日。
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ステファン
いつものようにキミのソロのためにラーズが一緒にいたことは知っているんだけど、今回はどうだったの?
カーク
ある一日はこう。俺がスタジオ入りするとグレッグが「OK、この曲をやろうか」と言う。そして俺にキーは何かとたずねる。俺は「Fシャープに入るまではEマイナー、Fシャープになったら、たぶん相対的なマイナーキー。最後にはアルペジオを演奏するアイデアがある。」と答えると、グレッグは「いいね、必要とするところがわかっているように聴こえるよ。」とこうさ。それから俺に準備できたかきいて、準備できたら彼らが録音ボタンを押して何が出てくるかを待って見ていた。俺は25から30くらい全部違うソロを2時間とか3時間弾くんだ。それからラーズがやってきて「どうなってる?」と言う。グレッグと俺が進捗を報告。それから俺は他のものを演奏し始める・・・それでラーズが俺への助言を思いついたり、俺にコーチングしたりして、この方向とかあの方向に向かう、もしくはラーズとジェイムズが一緒に曲にしようとする時にソロがどう聴こえるか話したりするかもしれないね。俺はそういう提案の全てを解釈して、自分の能力のなかであらゆる手段を使って思いついたものは何でもやった。あとはソロをどうしたいのか、ソロで曲をどうしたいのか、創り出したい雰囲気は何か、メロディックな感じか、突き進む感じか、もっとグルーヴを出した感じかっていう問題だけだった。俺たちにはその全てがある。
ステファン
(ラーズは)これまでと同じくらい手助けとなる存在だった?
カーク
共同作業だったね。ラーズがやってくると、だいたいソロは方向性が変わるんだ。最初の25から30のソロがある方向に向かっていて良い感じだし、ラーズがいると何か提案するから次の25から30のソロはまた違う方向に向かう。そこから休憩を取って、またスタジオ入りして何でもプレイするだけなんだ。
そして知っての通り、俺には60年代、70年代の多くのギタリストがやるであろう理論がある。リッチー・ブラックモアがやってきて、9から10のギターソロだけ弾いて帰ってくってことを俺は確かに知っている。リッチー・ブラックモアはおそらくギターソロについては2秒も考えることはなかっただろうね。彼はただやってきて、一度にそういうことをやるだけやって、帰ってく。彼なら(レコーディングした)ソロを聴き直すこともしないと思う。
ステファン
そうだね。クレイジーだよ、本当にもう。
カーク
わかる?ディープ・パープルとレインボーの全アルバムに収録されている全てのギターソロがどれだけ偉大なのか俺たちはみんな知っている。だから俺はそういった人たち、ブラックモアとかウリ・ジョン・ロートとかがずっと前にやり遂げたスピリットのなかで取り組もうとしていた。知っての通り、俺たちは素晴らしい結果を得たと思う。確かに斬新で自然発生的な音で、退屈だったりただ典型的だったりする音じゃないんだ。
ステファン
これはぜひ聞かせてほしいんだけど・・・ラーズはアドバイザーだったり、共同作業のためにやってきたり・・・つまりみんなはこういうイメージを持っているかもしれないんだ。彼がやってきて「これをやれ、あれをやれ、今度はあれだ」って言っているみたいな。それは違うでしょ?彼がこういう考えやアイデアを提供している時、どんな感じなのかをみんなに説明するべきじゃないかな。
カーク
大抵、彼はこんなことを言うんだ。「4小節で止めないで、もっと続けてみて」とかソロの終わりで、俺が終わりに近づこうとするところで低い音にすると、彼はこう言う。「ちょっと高い音で終わってみて」つまり、かなり初歩的なものなんだ。彼は俺に「じゃあCシャープは減らそう」みたいなことは言わない。彼はテクニカルなことは言わないよ。
ステファン
そういうことそういうこと。
カーク
単なる提案だよ。わかるでしょ?コーチングっていうのがおそらく俺が思いつく最も適切な用語だね。
ステファン
多くの人が知りたいと思うことは、ジェイムズと比べてなぜ(ラーズがこんなことをするのか)?ってことだよ。これは長年に渡って行われてきている。キミとラーズがいつも緊密な関係といったような性格的なことなのかな?
カーク
あぁ、まぁ知っての通り、ラーズはリードギターの演奏にもハマっているからね。だってそうだろ!彼の大好きなミュージシャンはジョン・ボーナムとかリンゴ・スター(というドラマーたち)じゃない。彼のお気に入りのミュージシャンは誰だい?リッチー・ブラックモアだからね!!!!!
ステファン
わかっちゃいたけど盲点だった!それは考えたことがなかったなぁ。OK、じゃあ次の話題に。ラーズがリードギターを弾こうとしているマル秘テープはあるのかな?
カーク
もしあるんならぜひ聴いてみたいね!
ステファン
つまり、彼にギターを手渡して「やれることを見せてくれよ」とか言ったことはないのかってこと。深夜にギターを投げ捨てたことはないのかな?
カーク
うーん、それはないね。彼はそれに関しては本当にかわいいもんだよ。ラーズが弾くのは、彼が知っているリッチー・ブラックモアのフレーズなんだ。ラーズはギターを手に取るたびにそれを弾いているよ。キッチリとリッチーが弾きそうな感じで演奏するもんだからもう可笑しくて可笑しくて。俺はそれを聴くたびに「キミの知ってるリッチー・ブラックモアのフレーズは本当最高だな!」って感じだよ。
ステファン
へぇ、どの曲の?
カーク
リッチー・ブラックモアが音楽信号の一種として使っていたブルースのフレーズがあるんだ。何か他のことをしたいってなると彼はこのブルースのフレーズを弾くんだよ。リッチーはキャリアのなかで頻繁に弾いていたから、ラーズが知っているんだ。リッチー・ブラックモアにとっての音楽的な方向指示器みたいなものだってことを知っている。このブルースのフレーズを弾くと、残りのバンドメンバーはそれに合わせていく。だからラーズはあのフレーズを練習して、俺を笑わせるんだ。
ステファン
それはひとつだけ?
カーク
ほんの一部だよ。
ステファン
それはかなり良いね。面白い。
カーク
俺はそのフレーズをリッチー・ブラックモアがどんなふうに、いつ、なぜ弾くのかよく知っているけど、俺はラーズがやっていたように、わざわざそのフレーズを練習はしてこなかった。彼に弾きたいだけ弾かせればいいよ。
ステファン
それはカメラに撮らなきゃいけないね!
カーク
そうそうそう、彼に頼むといいよ。こんな風に。「リッチー・ブラックモアのブルースのフレーズを弾いてみてよ」って。そしたらちゃんとキッチリしたフレーズとタイミングで弾いてくれるよ。
ステファン
ラーズがギターを弾くときは、ギターを弾く顔まで完璧にやるのかな?
カーク
そうそう。
ステファン
そりゃすごい。
カーク
何から何までね。顔も作って、そう!って。
ステファン
まぁ心からそれを演奏しているからだろうね。キミにとっては(何度も聞かされている)呪文みたいなもんでしょ?
カーク
全くその通り。
ステファン
でもラーズにとっては、あからさまのちょっとしたリッチー気取りなんでしょ?
カーク
ちょっとしたリッチー気取り、そうだね、ちょっとした「俺はリッチー・ブラックモアのフレーズを弾けるんだ、彼は俺のヒーローだからね」っていうタイプのものでもある。
ステファン
面白すぎる。今回はキミがバンドの当事者間の調整役になる傾向にあったバンド力学に関して、何年にも渡って議論してきたことについて話すのに良い機会じゃないかな。今、こうしてやってきて必要とするものをもっとやると言うことはフェアだと思うんだけど、一方で先に触れてきた通り、キミがこのバンドにもたらしたものがあって、それは自分がやったことだとするのを恥ずかしがるような人じゃないわけで。
カーク
まぁもちろん俺は俺だよ。俺がこのバンドにもたらしたものは、ただ俺自身だってこと。俺は本当に他の誰にもなりえない。俺は俺であることしかできない。知っての通り、過去にはとても共依存的なやり方で他人のものに自分自身を入れ込んでいた。今や、そんなことをしたところで役に立たないってことがわかってる。これについてはたくさんの感情的知性と気付きを学んで会得してきた。2人が対話している時は、その2人に言わせるだけ言わせておくのがベストなんだ。わかる?自分ができるベストなことは、そんな状況でも最も強固で、地に足が着いていてオープンで正直な人でいることだね。
ステファン
全てのことが『Hardwired...』でこれまで以上にずっと自信をもたらしていると。
カーク
このバンドに33年間在籍していることで、自分の貢献で本当に違いが生まれるってことがわかって、ある程度の安心感はあるよ。たとえそれがソングライティングではなくても、楽曲の生の部分を考え出している。自分たちの楽器と個性を演奏する方法で始めて、自分たちの個性が楽器の表現からどう出てくるのかってこと。それは4つの異なる趣を全く異なるものに凝結させて、4人の要素が一緒になった時にだけ得ることができる。それらの要素からひとつを取り除くとそれは違うものになるんだ。たとえ貢献がわかりにくいものであったとしても。
Metallica.com(2016-11-23)
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