まったくニュースに追い付けていませんが、RollingStoneによるラーズ・ウルリッヒのロング・インタビューを管理人拙訳にてご紹介。

napster_metallica

−最高の成功とは?

個人で言えば、家族に還元できること。音楽面では、自分が進みたい方向に行ける自由があるってことだね。その一例が一度に2週間以上のツアーをしないということだよ。『Death Magnetic』では2週間単位で約200のショーをやった。俺たちは子供の成長を見逃したくないからね。

−最悪のことは?

俺は「最悪のこと」があるとは考えないんだ(笑)泣き言をいうのは止めて、誰かに何かを与えてハッピーになるべきなんじゃないかって思うよ。

−出かけた時に気付かれて、文句を言う人たちがいるかもしれないですよ

そういう名声に関しては俺たちはちょうど真ん中あたりを占めている。トム・クルーズとかそういう人たちのレベルなのかどうかはわからない。俺たちがハマって行きたくなるレストランは(みんなに)よく知られていると思うけど(笑)パパラッチに悩まされたり追い掛け回されたりするような厄介なところまでにはなってないよ。

−あなたのヒーローは誰ですか?

現状に挑戦する人たち。順不同で言うと、俺の親父、スティーヴ・ジョブズ、ジェイムズ・ヘットフィールド、マーク・ロスコ(画家)。あとは(SalesforceのCEO)マーク・ベニオフみたいに無私でみんなを勇気づける人たち。完全に衝動的なリッチー・ブラックモアみたいな人たち。彼の口やギターでそこから3分間何が飛び出してくるかわからないっていうね。(メタリカの共同マネージャー)クリフ・バーンスタインはいつだって違った考え、独立した考え、枠組みに捉われない考えを俺に教えてくれる。

−なぜジェイムズをヒーローの一人に挙げたんですか?

彼はただただ一番クールなミュージシャンなんだ。35年間、俺の戯言に耐えてきた。だからそれには感謝している。時おり、俺は彼の才能の広大さについて、正しく評価されていないんじゃないかって思うよ。

−あなた方は映画『Some Kind Of Monster(メタリカ 真実の瞬間)』で衝突していました。バンドの意見の相違をまとめるということについて何を学びましたか?

バンドの健康よりも重要なものは何もないということを学んだよ。他のメンバーがやりたくないことを強いるよりも、クールなものを創造する別の機会がいつもあると思う。

−あの映画を見てご自身について何か学びましたか?

(笑)かなりキツかった。(しばし沈黙して)俺には自分を脅かす何かを完全に区分けする能力がある。こういう厳しい試練を座って観られたからね。あれが俺だっていう事実から感情的な自分を排除できた。「第三者」なんだ。他のヤツらにとってはそれがどれだけ難しかったかよくわかったよ。俺たちはみんな違う方法で対処する。俺は隠すことで対処してきた。これは明らかに精神医学からするとやっちゃいけないことだ。そういうものを感情的な自分自身を排除しなきゃいけないってのは相当難しかったね。

−見たなかで好きじゃないシーンはありましたか?

いや、目の前で広げられて見るのはあまりにも苦痛だった。俺たちが完全に乗り越えて、みんなにそれを見せているという事実を誇りに思っていた。もちろん、あまりにもプライベートのぞき同然のように感じるものもあったけどね。情報過多だって批判した人もいたよ。そんなだから俺は自分のヒーローには会わないんだ。ガッカリさせられてしまうこともあるからね。俺がさっき言ったみたいに(会ってしまうと)情報が多すぎるんだ。そこは区別しようとしている。でも誤解しないでほしいのは、あの映画をやったという事実に俺は誇りを持っているし、シェアすることができて楽しかったってことだ。

自分自身について恐怖を感じるのは、自分には恐怖を感じない能力があるってことだけだね。実際、自分でも怖くなるほど面の皮を厚くできるんだ。ナップスターのことをきっかけに、俺はかなり重たい打撃を受けた。亀の甲羅みたいなものを身に着けて、何かの影響を受けないようにする術を学んだよ。


−ナップスターの反発から何を学びましたか?

メタリカについて俺が気に入っていることなんだけど、俺たちはとても衝動的なんだということを学んだ。そのことで時おり泣きを見るんだ。俺たちはどこに着地するかわかる前に飛んでいるからね。クリエイティヴな環境だと、それは素晴らしい状況なんだよ。でもナップスターに関しては、俺たちは「何だコイツら!コイツらを追い詰めるぞ」ってとこに真っすぐ飛び込んじまった(笑)そこから突然、ヘッドライトに照らされたシカみたいだったよ。ナップスターはみんなにとって自由の象徴を意味していたってことを俺は過小評価していたんだ。だから俺は時おりやりたくない場合だったとしても、飛び込む前にちょっとは注意を払うようになった。少なくとも地面があるところかは考えるようにしているよ(笑)

−ナップスター騒動では、あなた方のファンは自分たちが標的にされていると思っていました。

あれは相手側のうまいやり口だったね。俺たちとナップスターとのあいだのことだったのを俺たちとファンのあいだのことにした。マジで本当に賢い動きだったよ。そんなつもりはなかった。ナップスターについてはお金のことじゃない。商取引のことでも著作権のことでもない。文字通り、選択肢の問題だった。自分の音楽を無料でダウンロードできるようにするのは誰の選択なんだ?俺たちは「ちょっと待ってくれ。俺たちの選択であるべきだろ。」って言っていたんだ。他の人たちは違う意見を持っていたし、欲張ってんだか金の話だかになっちまった。突然「え?どういうこと?どっからそんな話になったんだ?俺たちは強欲なんかじゃないぞ!待ってくれ、誰がこの議論の方向を変えたんだ?」(笑)俺たちは面食らったよ。

−あれから15年ほど経って、音楽業界は崩壊し続けています。あなた方はナップスターについて正しかった。

そのことについては彼らが言うように4分の1がバスに乗る(賛同する)だろうね。

−メタリカの最初の3枚のアルバムのベーシスト、クリフ・バートンが亡くなって今年で30年になります。あの事故の後、どのようにして続けていく力を見出したのでしょうか?

俺たちはウォッカボトルに飛びついて数年間はそこに留まっていた。俺たちのその頃のやり口ってのは目隠しをするだけだったんだ。大きな障害を経験して飲んだくれていた。22歳の時では悲しみに対処する術を知らない。感情に対処する術も知らない。損失に対処する術もない。ただ続けるだけだった。自問自答したり、体温を測ったりするだけの十分な時間立ち止まることなんてなかった。ただ続けるだけなんだ。

−メタリカは80年代「Alcohorica」というあだ名を受け入れていました。責任をもって飲むことをどうやって学びましたか?

誰が責任あるなんて言ったんだ?(笑)年を重ねるにつれて学ぶんだよ。年齢と経験はある時点でドアをノックするんだ。「OK、俺は起きたくないのか、それともまたあの状況で意識を失くないのか(どっちだ)」ってね。幸運なことに俺は中毒になるっていう性格は持ち合わせていないんだ。まだ飲んでいるよ。他の何かにも溺れちゃいない。でも他にやっていたことを意識的に止めることにしたよ

RollingStone(2016-11-06)

前は『Some Kind Of Monster』を作ったことを後悔していると話していましたが、、、今では誇りに思っているということで何よりです(笑)。インタビューの続きはまた後ほど。

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