なかなかニュースに追いついていませんが、カーク・ハメットがFearFestEvil開催に伴って受けたインタビューをまとめて紹介します。まずはビルボードのインタビューを管理人拙訳にて。

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メタリカのギタリスト、カーク・ハメットが初開催した昨年のFearFestEvil、それは恐ろしく素晴らしかった。そしてカリフォルニア州サンノゼで今週末、2年目の開催として帰ってきた。このイベントは、ハメットがバンドの次のアルバム制作に戻る前に行った朝飯前のイベントであった。

「昨年やってて、すごい楽しかったんだ。喜びでもあったし、本当に素晴らしい人たちとたくさん会って、素晴らしいことをたくさん経験できた。」FearFestEvilの主催者、カーク・ハメットはビルボードにこう語る。「それによって本当に素晴らしい音楽と時間を持てた。ジャンルをまたいで、ホラーファンとメタルファンが混ざり合い、彼らがみんな気に入ってくれてたらいいなぁ。あらゆる面で素晴らしかったんだ。音楽の面でもホラーの面でもコレクターとしての面でもね。もし音楽のファンかホラーファンかコレクターだとしたら、この(FearFestEvilという)アイデアは訴えかけると思う。でも俺はその一員となって、ただ楽しんで成功すればいいなと思っていて、実際そうなったんだ。」

(中略)

音楽的には、メシュガー(Meshuggah)、ハイ・オン・ファイア(High On Fire)、 オーキッド(Orchid)、グール(Ghoul)、アグノスティック・フロント(Agnostic Front)、アサダ・メサイア(Asada Messiah)によるパフォーマンス。ハメットも少しギターを弾く予定だ。「お気に入りのバンドとお気に入りの曲をジャムセッションする機会があると思う。」と彼は言う。「自然発生的な面を本当に楽しみにしているよ。俺は自然発生的なものをやるのが大好きなミュージシャンなんだ。だから俺たちは音楽の部分では自然発生的な要素を維持しておきたいのさ。」

それはゲストも同じだ。ハメットはこう言及する。「スラッシュも顔を出してくれるよ。彼はギターは持ってこないけど、スラッシュとジャムるのも大好きなんだ。もし彼が演りたいとなれば大歓迎だよ。彼のためにギターもアンプも充分なものがあるし、彼が演りたいとかジャムりたいとかいうどんな曲でも俺たちは演ることができる。問題ないよ。」

FearFestEvilのお気に入りポイントは自分のホラーメモラビリアのコレクションをフェス参加者と共有できることだとハメットは付け加える。今年はレアでヴィンテージもののホラーのおもちゃ、映画ポスター、『ヤング・フランケンシュタイン(原題:Young Frankenstein)』や『成吉斯汗(ジンギスカン)の仮面(原題:The Mask of Fu Manchu)』やフランケンシュタインの映画で使われた鏡の小道具「Nebularium」が加わったと言う。「サンディエゴのコミコンやモンスターパルーザのようなFearFestEvilにはしたくない。これら2つのイベントは素晴らしい。だけど、俺たちは何か違うもの、違うやり方をしたいんだ。これら2つのイベントはとても標準的なやり方で行われているからね。俺たちはもっと双方向的で、もっと楽しい、ちょっと啓発的で教育的でありながら、同時にいい音楽があるイベントにしたいんだ。」

このフェスティバルの後すぐに、ハメットは、Metallica HQのスタジオに戻って2008年の『Death Magnetic』の次作となるアルバム制作を続ける。「たくさん良い曲があるよ」ハメットはそう報告した。「曲はこの時点では絶え間なく変化している。何も確定していない。まだふるいにかけなければいけない材料がたくさんある。いまだにね。10数曲以上あるし、200か300以上のリフもある。だから俺たちが実際プロジェクトのなかでどの時点にいるのかを言うのは難しいんだ。まだ中間点には達していないと思う。25%、30%くらいのところじゃないかな。言いにくいけど、俺たちは制作に取り組んでいるし、曲もあるし、もっと曲を書いてレコーディングをする計画中ってこと。」

ハメットはメタリカのアルバム制作過程は“Some Kind Of Monster”だと認めている。「俺たちがスタジオに行くとなると、それは俺たちの生活のなかで化け物のような割合を占める大きなことになる。生活の多くのスペースを埋めてしまう。そう、確実に化け物のようなものになるんだ。俺たちはそれについての映画も作ったしね。そんな具合さ。」

billboard(2015-04-10)

残念ながら今回のFearFestEvilでスラッシュとのライヴでの共演は実現しなかったわけですが、この調子だと実際に行われたステージもその場で決まったことがかなり多そうです。

ちなみに文中に出てくる「Nebularium」のオークション結果のページをみつけたんですが、4万ドルもしてました・・・。
http://www.icollector.com/Kenneth-Strickfaden-Nebularium-lab-device-from-Frankenstein-The-Bride-of-Frankenstein_i11537034


続いてはFearFestEvilのなか、出演したラジオ番組(SiriusXMの「Liquid Metal」)でのインタビュー。BLABBERMOUTH.NETさんの文字起こしを管理人拙訳にて。

−制作中のアルバムについて

「Lords Of Summer」に似ているのもあるかな。「Lords Of Summer」はとてもとっつきやすいんだ。あれはとっつきやすいリフだと思うし、本当にクールなメロディがあるからね。他のたくさんの曲の材料となるものはもう少しプログレッシヴだよ。『Death Magnetic』の線に沿ったものとなってきている。

本当にフックのあるものが出てきているし、本当にキャッチーなものもある。こういったサウンドの方向性に俺は本当に興奮しているんだ。もし何かと比べられるとしたら、(1988年のアルバム)『...And Justice For All』に間接的に似ているかもしれない。でも音楽的には『...And Justice For All』のようなサウンドではない。当時とてもユニークだと思った『…And Justice For All』のサウンドではないかな。

俺は今日たくさんのメタルバンドを聴いている。本当に『...And Justice For All』のサウンドのようなバンドもいるし、あのサウンドを目指しているバンドもいる。クールだね。つまり、彼らは俺たちがやったものよりも良いものを実際にやっているってことさ。ベースが聴こえるからね。


−アルバム制作のインスピレーションとモチベーションについて

いつでも同じだよ。俺がもっと若い時、初めて演り始めた頃に影響を受けたものにいつも戻るんだ。そういったものは今でも俺をインスパイアしてくれるからね。それから周りを振り返り、今現在どうなっているのか、近頃どんなバンドがどんなサウンドをしているのかを見るんだ。俺はいつでも好奇心旺盛だからね。

俺がやることと言ったら、(曲が)どうなっているのか見たり、どんなサウンドがどうなっていると合うかを見たいんだ。実際には毎日毎日のことだよ。ラジオをつけて、周波数を合わせる。もし何か特別興味深いと思える音楽が聴こえたら、それを聴く。聴いて何かに引っかかって「おぉ!かなりいいメロディだ。あれをこのソロに適用できるかもしれないな。」とか思ったりする。それはどんな音楽でもそうなりうるんだ。ロック、ヘヴィメタル、レゲー・・・何でもね。それを使うことで、俺にとって何か違うものに創るための小さな出発点になるかもしれないのさ。


BLABBERMOUTH.NET(2015-04-15)

まさかカークがジャスティスのベースのことを弄る日が来ようとは・・・。

最後にヘイトブリード(HATEBREED)のフロントマン、ジェイミー・ジャスタのポッドキャストから。ぶっちゃけ満載インタビューをBLABBERMOUTH.NETさんの文字起こしを管理人拙訳にて。

−誰がメタリカの次のアルバムをプロデュースするのか

誰がプロデュースするのかというのはまだ早計に過ぎる。でもグレッグ・フィデルマンが関わっているってことは言える。バイオリン男(訳注:原文はFiddle Guy、たぶんフィデルマンと掛けている言葉遊び・・・)だけあって、彼を呼んで良かったよ。彼は素晴らしい。俺たちは彼と一緒に仕事をするのが大好きなんだ。俺にとっては、仕事に取り組む態度が「よし、その調子だ」って感じの男だね。スタジオ入りして彼と一緒に制作に入るのが待ち切れないよ。彼は過酷なことを強いる軍曹タイプじゃないけど、奴隷使いではあるね。

−メタリカの楽曲制作過程について

俺は自分のiPhoneにリフを取っておくんだけど、半年前にかなり不運なことが起きた。250のアイデアが詰まったiPhoneを失くしちまったんだ。ショックだったよ。バックアップも取ってなかった。そんなことが起きて2、3日は凹んでいた。家に帰ったら、妻が俺を見て「あらどうしたの?親戚から電話なかった?」って言ったんだ。俺が「いや。」と答えると「何かあったの?」って言われて彼女に事の顛末を話して理解してもらったってわけ。

失くしたんだ。間違いなく失くしてしまった。みつからないんだ。まだ探しているんだけどね。どこかに置いただけなんだ・・・ふいに出てくるかもしれない。そうなってくれればいいんだけど。あのリフを思い出そうとしているんだけど・・・思い出せるのは8つかそこらだけなんだ。だからそういう運命だったのかもしれないと思って、前に進むことにしたよ。

俺にとって、音楽は毎日毎時に出てくるものなんだ。リフが出来れば、完璧なリフで俺が演奏できるだけの場合もあれば、半分しかないリフで引き伸ばさなきゃならない場合もある。リズムとかいくつかの音符ってだけの時もある。あるいは頭のなかで口ずさむだけの時もある。でもどこにいても出てくるんで、自分のiPhoneに入れているんだ。(今度からは)携帯電話のバックアップを取っているか確認するよ。

携帯電話をお使いの全てのミュージシャンはバックアップを取ったことを確認してください。そうだろ!?

知っての通り、俺たちは集まってジャムってアイデアを出すんだ。ひとつのリフが別のリフを導き、まだそれが別のリフに繋がっていく。すると突然、アレンジの骨格が多少なりとも出来て、ジャムってこねて、それについて話すんだ。どういう風に聞かせたいか、どういう風になっていけばいいかをね。つまり、それによってできうるいろんな可能性があるんだ。俺たちが使わないことを選択した音楽のカケラはたくさんある。どうにかしようとしたものはとてもたくさんあるからね。俺たちは音楽に対して正しいことを、どんなリフやコード進行やメロディに対しても正しいアプローチ、正しいアレンジをしたいと思っているんだ。


−新しいメタリカの楽曲はどんな感じなのか

ちょうど今出てきているリフはスーパー・リフでスーパー・ヘヴィってだけ言おう・・・。俺たちは自分たち自身をリフやテクニックを通じてどう表現するかボキャブラリーを開発してきているんだ。そのボキャブラリーは良いバースとなっている。『Death Magnetic』に似ている部分は多くあるけど、特定の部分では違っている。ジェイムズはたくさんの本当にクールなメロディ部分を最近やっているし、たくさんのボーカル録りをしている。(昨年出した)「Lords Of Summer」はその始まりとして良い例だね。ジャムって(アイデアを)出している。でも、もし俺たちがやってきたなかで比べられるアルバムがあるとしたら、『Death Magnetic』のようなものと言えるかな。そして『...And Justice For All』を思い出させるようなものも数曲ある。でもアルバムとしては『...And Justice For All』のサウンドではないね。

−メタリカが常に受けるインターネット上の否定的な反応に注意を払っているか

俺は実際そういう戯言については本当に考えないよ。人は自分の意見を持っているし、自分の意見を持つ権利を有している。もし俺が否定的なものをたくさん読んでいたら、泥沼にはまることはわかってる。そういう考えを自分の頭のなかに入れないことが俺にとってより健康的でより安全なんだ。俺は自分で設定したこと、自分の目標に向かってやる。それが俺の貫くことさ。外に出て、できうることに最善を尽くす。もしみんなが気に入れば素晴らしい。もしみんなが嫌ったらそれは彼らの選択だ。俺はそれについて何もすることは出来ない。俺はできうることに最善を尽くすだけだよ。それが俺たちの集団としてのアティテュードなんだ。永遠に。俺にとってはそれがこのビジネスで本当に正気でいられる唯一の方法なんだ。嫌っている人が嫌っているもの、ファンが大好きなものを追いかけ始めると、自身を気が狂う方向へ走らせてしまう。出来ることに最善を尽くして、他の誰かが言わずにはいられないことはあまり気にしないよう努めているよ。

−メタリカの「Sad But True」に似ていると言われているアヴェンジド・セヴンフォールド(Avenged Sevenfold)の「This Means War」を聴いたことがあるか

影響やインスピレーションや他の何でもそうだけど、本当のところ何とも言えないな。それは俺が認めるからだ。つまり、リフを聴いてたある時点で「ああいう感じでリフをやってみたい。」とか、ギターソロを聴いて「おぉあのリックを盗んで、このギターソロに入れてみよう。誰にもみつかりませんように。」そんなことはたくさん起きている・・・。俺が思うにミュージシャンはそういうことをみんなが認識しているものよりもずっと多くやっているよ。ミュージシャンが他のミュージシャンを呼ぶ時、ちょっと気まずくなる。つまり音楽はそれ自身リサイクルされる長きに渡る伝統があるんだ。ブルースみたいな特定のジャンルを見れば、3つの全く同じ音符が全ての曲に入ってる。ラップを聴けば、みんな同じビートだしね。

BLABBERMOUTH.NET(2015-04-18)

インタビュー中に出てきた「似ている」と言われた楽曲を参考までに。

Avenged Sevenfold - This Means War



Metallica - Sad But True



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