来週金曜日(2015年4月10日)からいよいよ開催されるカーク・ハメット主催のホラー・フェスティバル「FearFestEvil 2015」。これに伴い、フェスについてや自身のホラー映画の趣味について、カーク・ハメットのロング・インタビューが行われました。記事中のカークのQ&A部分のみ管理人拙訳にてご紹介。

kirkvonhammett_zombie

−あなたのコレクションがFearFestEvilで展示される予定です。もし火事になって、ひとつだけ持ち出せるとしたら、ひとつお気に入りの傑出したアイテムはありますか?

参ったなぁ。それは難しい質問だね。1934年の映画『黒猫』でボリス・カーロフが着ていた衣装かな。あのコスチュームをひっつかむと思う。あるいはミイラの3枚もの(の映画ポスター)。でもあれは7フィート(2メートル強)で300パウンド(約140キロ)以上もあるから厳しいね。ドアの外に出るのも難しいだろうね。蝶番の外れたドアの家を出るのと同じくらいに。家が火事になったら、耐え難いものになるよ。黒猫の衣装は火事から逃れるのは比較的容易いと思うけどね。

−(ハーマン・メルヴィルの小説)白鯨のように、あなたがまだ手に入れていないものはありますか?自分のものにしたい一番のアイテムは何ですか?

存在しないと思われていて探している映画ポスターがいくつかあるんだ。20年代、30年代、40年代のホラー映画のポスターは超レアなんだよ。そのほとんどが第二次世界大戦のあいだに古紙回収運動で無くなってしまったんだ。古紙回収運動っていうのは紙をリサイクルして、近所に行ってはそこにいるみんなにこう言うんだ。「もし余っている紙があったら、今持ってきて」。だから、20年代、30年代、40年代のたくさんのポスターが無くなってしまった。まだみつかっていない30年代の映画ポスターがいくつかある。あるいはコピーしかみつかっていないものなんてのもある。一番俺が欲しいのはコピーしかないもので、1932年に制作されたベラ・ルゴシの映画『モルグ街の殺人』のポスターだね。もし『モルグ街の殺人』のポスターをみつけたら、ぜひ俺に教えてくれ!

−所有しているホラー映画のポスターで、一番お気に入りのものは何ですか?

いつも変わるけど、間違いなく大好きなのは3つ言える。一番は『フランケンシュタインの花嫁』、二番は1934年の『黒猫』、そして三番目が『死霊のはらわた』、『死霊のしたたり』、『ヘル・レイザー』、1作目の『エルム街の悪夢』、1作目の『エイリアン』のあいだでどれかなって感じだね。この三番目の地位は埋めるのが難しいね。大好きな素晴らしい現代のホラー映画がたくさんあるから。

−あなたが惹きつけられがちなサブジャンルはありますか?

悪魔のようなものに占有される映画、幽霊屋敷の映画、SFホラー映画のような、それ自体がジャンルになっているものが本当に大好きなんだ。『エイリアン』とか『イベント・ホライゾン』とか『スペース・バンパイア』のようなものがそうだね。かなりひどいホラー映画には弱点がある。そういう映画を観るのは知ってるなかでは俺だけ。本当にひどいホラー映画を観ているって人がみつからないのさ。

−本当にひどいお気に入りのホラー映画は何だと思いますか?

それならずっと喋ってられるよ。お気に入りのホラー映画は、そうだな、2つあるな。『Mr.オセロマン(原題:The Thing with Two Heads )』と『怪奇!双頭人間(原題:The Incredible Two-Headed Transplant)』(訳注:どちらも「双頭」ホラー映画)だね。両方とも70年代初頭の映画なんだ。どっちも不埒な映画で、明らかにどっちかがどっちかをコピーしているんだけど、どっちも全く違っていて、とてもひどくて最高だよ。ひとつは一人が人種差別主義者で、そいつの頭が大柄なアフリカ系アメリカ人の体に移植されるんだ。もうひとつの映画では知的障害者の体に頭を移植される。どちらも−本当に素晴らしい設定だ。言い表す言葉がないよ。

−それ自体でいろいろ話せそうですね。私はホラー映画の曲にも興味があります。ミュージシャンとしてのあなたにとって傑出したものはありますか?

ホラー映画のサウンドトラックでお気に入りなのは『ハンガー(原題:The Hunger)』のサウンドトラックだね。クラシックで心に響く作品で、とてもファンタスティックだ。『シャイニング』のサウンドトラックもかなり好きだよ。『死霊のしたたり』のオープニング・シーンもいいね。『サイコ』のテーマ曲に似ているんだけど、あれは狙ってやってるね。これが俺の大好きな3つのサウンドトラックだよ。

−ひどい映画、おかしな趣味の悪い映画があるんだとあなたが言う時、もし純粋に怖がりたい人に観るべき映画を選ぶなら何を最初に持ってきますか?

自分にとって『エクソシスト』は、これまでで一番怖い映画だね。1作目の『死霊のはらわた』も大好きだね。あれは本当に素晴らしいよ。『パラダイム(原題:Prince of Darkness)』っていう映画も本当に怖かったなぁ。何でかわからないけど。とにかく本当に怖かったんだ。

俺はスプラッター映画の大ファンってわけじゃないんだけど、スプラッター映画の起源となった『13日の金曜日』のような映画は本当に素晴らしいと思う。『バレンタイン』っていう本当に信じられないほど良い映画もあるし、『The Ghoul (The Thing in the Attic)(訳注:邦題不明・日本未公開?)』っていう映画も本当にいい映画だよ。もし暴力的な恐怖を味わいたいなら、今言ったような映画を挙げるかな。


俺にとっては、そんなことを考えるたびに『エクソシスト』が一番に出てくるけどね。いまだに死ぬほど怖がらせてくれるよ。少なくとも20回は観たね。ツアー中、遅くにホテルに戻って午前3時に各チャンネルをザっと見て、『エクソシスト』を観るんだ。でもホテルの自分の部屋でパニックになりたくなかったから、意図的にチャンネルを変えなきゃならなかったよ。過去3年間そんなことをやっているんだ。俺にとって最高の映画だ。

−あなたが今後、特に興奮している公開予定のホラー映画はありますか?

新しい『ターミネーター』はきいているものからすると本当に素晴らしい映画かもしれないね。みんなが考えていないであろう最近観たホラー映画についていくつか教えてあげよう。『ゴーン・ガール』って映画を知ってるかい?あれはホラー映画だと思うね。ちょうど最近、ジェイク・ジレンホール主演の『複製された男(原題:Enemy)』って映画を観たんだ。本当に怖かったよ。本当に怖かった理由は、とても抽象的でいまだにエンディングが一体何だったのかわかろうとしているカフカ風の作品だったからなんだ。俺にとっては、費用に見合うたくさんの価値があった。映画を観に行って、それが気に入って、何か考えさせてくれるようなことがあって、映画のことを考え続けるようなことがね。

俺は興奮させてくれるようなホラー映画が好きで、『複製された男』は素晴らしい映画だと思うよ。あれは誰のレーダーにも引っかかってないね。ホラー雑誌やホラーサイトを見たけど、それについては大して書いていなかった。俺はたまたまみつけたんだけど、あれは観ておくべき素晴らしい映画だよ。

−メタル界でホラー要素をステージに持ち込む最高のバンドは何だと思いますか?

ミスフィッツだね。分かってるくせに。彼らは実際、映画をよく知ってるから、イメージがよく分かってるんだ。ただの上っ面じゃない。彼らは実際にホラー映画のファンでもあるし、俺たちは互いに電話するんだけど、お互いモンスター・キッズって呼んでるよ。ミスフィッツの連中はみんなモンスター・キッズなんだ。


−ミスフィッツは昔のメンバーたちですか?グレン・ダンジグがフロントマンの時の・・・

そう。70年代、80年代の編成の時だね。ジェリー・オンリー、ドイル、グレン・ダンジグ、ロボ。俺にとって完璧なホラー映画バンドだよ。

GWARの芝居じみた感じも楽しいし、グール(Ghoul)ってバンドも楽しいね。俺は彼らが死ぬほど大好きだし、こういうバンド全部が死ぬほど好きなんだ。でもホラー映画について話していて、一番本物で説得力のあるバンドとして受け止められるのはミスフィッツなんだよ。最近もグレンとホラー映画について話したし、ドイルはFearFestEvilに来てくれたしね。


−もうすこしFearFestEvilについて話しましょう。昨年、参加者は剥製の授業のように、興味深いホラー関連のものを現地でたくさんすることができました。今年は何に一番期待していますか?

今年は金曜日から始まる3日間のイベントで、金曜日はウィンチェスター・ミステリー・ハウスで殺人ミステリー・ディナー(チケット完売)をやる予定なんだ。本当にエキサイティングなものになるよ。自分と何人かのスペシャルゲストも参加する。解決すべきミステリーの全シナリオを俺たちは演出するんだ。そしてさまざまなスペシャルゲストがチケットを買った参加者に手がかりを与えてくれることになっている。

ウィンチェスター・ミステリー・ハウスのことを聞いたことがあるかわからないけど、あの家には本当に興奮しているよ。本当に不気味だし、幽霊が出そうな雰囲気が最高にクールなんだ。夕方のあいだにある手がかりを明らかにしていくスペシャルゲストを伴って降霊会が行われるんだ。だからディナーの後は連れ立って謎を解いて、ミステリーの最後には殺人者が何をやったのかがわかる大きな種明かしがあるって寸法さ。


土曜日はFearFestEvilの音楽パートなんだ。屋外にはテーマ別のマーケットがあってたくさんのベンダーやその他もろもろが参加する。いろんなショーを行う予定で、一例としては見世物小屋とか、ゲームのカーニバルエリアとかね。俺のコレクションも展示予定だよ。これが土曜日の午後1時から始まる。午後7時頃からは夜の音楽パートさ。ハイ・オン・ファイア(High On Fire)のようなバンドがライヴをやって、どでかいモンスター・ジャムもやるつもりなんだ。ハイ・オン・ファイアのみんなと俺とコリィ・テイラー(スリップノット)、ジョン5、チャーリー・ベナンテ(アンスラックス)とかと一緒にね。楽しみだよ。


土曜日と日曜日の予定で、コスプレ・コンテストを含むさまざまなコンテストがあるって言ったっけ?日曜日にはテーマ別のマーケット、遊園地式の乗り物、見世物小屋、本当にたくさんのクールなエンタテイメント、いくつかのコンテストがあって、夜にはメシュガー(Meshuggah)さ。このイベントのために音楽パートにより重きを置いたんだ。次のイベントではホラーに重点を置くつもりで計画している。それが俺たちがやろうとしていることなんだ。FearFestEvilは絶対に連続して同じものにはならない。いつも違って、フォーマットを変え続けるつもりだし、イベントもいつも変えていくつもりだし、必要とあらば何でも取り替えたり、使えたりできるものにしたいんだ。

Mashable(2015-04-01)

参考までにインタビュー中に出てきた『Psycho』のテーマと


『死霊のしたたり』オープニングテーマ。


確かによく似ています。

FearFestEvil
http://www.fearfestevil.com/

ブログランキングに参加しています。
応援クリックをヨロシクお願いします

関連記事
カーク・ハメット主催のホラーフェス「FearFestEviL」2015年4月に再び開催決定
カーク・ハメット主催の「FearFestEviL2015」の会場・ライヴゲストが発表
カーク・ハメット、自宅のホラー・グッズを紹介。
カーク・ハメットらによる二大怪奇スター初共演映画『黒猫』上映企画開催
サマソニ当日に原宿で行われたカーク・ハメットのサイン会レポ
映画秘宝2014年1月号にてカーク・ハメットのインタビュー掲載予定
カーク・ハメット、新譜制作やFearFestEviLについて語る
カーク・ハメット、FearFestEviLについて大いに語る。
サンディエゴでカーク・ハメットに会えるVIP抽選、ゾンビ版カーク・ハメットの別バージョンのフィギュアも発売
ゾンビ版カーク・ハメットのフィギュア、Tシャツ、ポスターが発売中
カーク・ハメット「へヴィ・メタルとホラー映画の源は同じ」