ロバート・トゥルージロがPodcast番組「Groove - The No Treble Podcast」のインタビューでメタリカの楽曲制作について長尺で語ってくれました。BLABBERMOUTH.NETさんが文字起こししてくれたので、管理人拙訳にてご紹介。
バンドによる曲の制作過程の違いについての話が出てきましたが、メタリカ自体もいろんな試行錯誤を経てそういう形になったんでしょう。
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−2008年の『Death Magnetic』に続くアルバムの制作過程について
素晴らしい時間を過ごしているよ。本当に素晴らしい時間だ。実際楽しいしね。たくさんの新しいアイデア、いわばフレームワークをジャムっているよ。知っての通り、ジェイムズはメロディーを仕上げて、そのレベルでいろいろ実験している状態なんだ。でも、本当に、なんて言うか(余計なものを)削っている段階で、それから、そいつを演奏している。演奏して、自分のシステムに組み込んで、曲を自分のものにしていくんだ。
前のアルバム(『Death Magnetic』)のための曲をまとめていた時、(プロデューサーの)リック・ルービンが昔を思い出させてくれたのはクールだったね。つまりこんな感じさ。「この新しい曲を演奏しているところを想像するんだ。人生でこれまで観たことのないような小さなバーやクラブにいるファンに自分たちはこうだと証明するんだ。」それから「立て。みんな立ってくれ。」とこうさ。「おいおい俺たちスタジオにいられるよな!?」って思ったけど、「立ってこれらの曲を演奏するんだ。パートを自分のものにするんだ。」と大体こんな感じだったね。本当に意味をなす、やる気をわき起こすようなスピーチだったと思わないかい!?結局、意味があったんだ。座って自分のパートを繰り返すのは簡単すぎるからね。だからベースを弾いていた時、俺は実際に立ち上がって身体を揺り動かしていたよ(笑)。
結局、リフにしろ、アレンジにしろ、歌詞にしろ、曲を書くという体験全ては、ことさらメタリカでは、複雑だし、時間もかかるし、あくまで過程なんだ。インフェクシャス・グルーヴスの頃はちょっと違っていた。実際に始めたら、1日4時間、週5日(を費やし)、2つか3つのジャム・セッションや曲の形が出てくる。曲の設計図と言うべきかな。それらをカセットに録音していた。それから次に集まった時には、アルバムのスタジオ・レコーディングさ。当時のボーカル、マイク・ミュアーはそういうカセットを持ち込んで、歌詞やメロディーを仕上げて「スタジオで会おう」って感じさ。次は知っての通り、それらを演奏するんだ。ドラムは通常、2回目のテイクだった。俺たちは1回目か2回目のテイクのマジックを捕らえたいといつも思っていた。それは今、メタリカにいて起きていることとはかなり違う。でもあらゆる状況が違う。捕らえたい別のマジックがあるんだ。
ちょうど今、俺たちは基本的にアレンジを育んでいる状況なんだ。本当に全てを育んでいる。トランジションみたいなもので・・・試せるものは全部試しているよ。そんな感じだね。思うにそれがメタリカの音楽を素晴らしく特別なものにしているんだよ。ある種の誇りだし、本当に芸術作品に取り組んでいるからね。そして正しくあらなければならない。どういう意味かって?つまり探求ってことさ。ジェイムズは常にひとつの言葉に対して、いくつかの言葉の候補を持っている。もしかしたらこの言葉はしっくりこないかな。じゃあこいつを試してみようってね。それは大量の仕事だし、時間がかかる。でも同時に重要であり、こういう方法は必要なことなんだ。その結果が、みんなが愛する、俺たちがメタリカから聴こえるものなんだ。もしこうでなかったら、それはメタリカじゃない。同じようにもし・・・例としてインフェクシャス・グルーヴスを挙げてみたわけだ。知っての通り、インフェクシャス・グルーヴスはああやってレコードを作るべきなんだよ。この自然発生的なエネルギーと2回目かそこらのテイクのマジックを捕らえるべきなんだ。でもメタリカでは、特別なゴールを達成する異なるスタイルとやり方なのさ。
−新譜制作や関係する他の創造物制作の原動力について
俺は幸運だよ。なぜなら、メタリカでプレイすることは本当に特別なことだし、実際にメタリカのメンバーは創造的であること、挑戦することを楽しんでいるからね。ほとんどのバンドが、歳を取り、キャリアが長くなるほど、曲を書きたいという欲求に関しては緩くなっていくのに。つまり、どれだけ多くの既知のバンドが実際に外部のソングライターとかそういう人たちと曲を書き始めているのか、(あるいは)もはや実際には自分たちの曲を書いていないのかってことに驚くよ。俺たちはそういったものとは真逆のようなものだ。たくさんの曲のアイデアやリフやベースラインとかを持っている。何年も前のジャム・セッションから生まれたおびただしい数の音楽的なアイデアがね。最も難しいのは(そういったアイデアを)削っていくことなんだ。俺たちが曲を書く時っていうのは削っていく過程のようなものなんだよ。そういうお年寄りで出来たインスピレーション溢れるグループといるということはただただ素晴らしいってことさ。わかるかい?(笑)
−メタリカのメンバーはいまだ創造的であることを楽しんでいると言った意味について
バンドとして、俺がそういうことを言った時、俺たちが制作した3D映画『Through The Never』が念頭にある・・・。あれは(2013年に)公開された。でも、あれは・・・いろんな意味で創造的冒険だったんだ。つまり、俺たちは物語のほとんどの部分、ステージ・プロダクション、その他多くのことについて監修した。ライヴから2年かかった。そして本当に曲を書く必要があった2年があった。つまり、たくさんのファンがニューアルバムを待ち望んでいるってことだ。今や・・・5年かそこらに違いないと思うんだ。もはや思い出すことさえ出来ない。言い換えれば、俺たちが『Death Magnetic』を制作しているあいだ、曲を作り出すことに関しては、そのツアーを終えるまでに、俺たちには5人の子どもが生まれた。(この事実は)クレイジーだし狂気じみていて可笑しいね。でも俺が思うに、俺たちをうろたえさせるようなことが、俺たちを再び創造性に向かわせるんだ。ルー・リードとのアルバム・レコーディングにしても、3D映画にしてもね・・・。創造的プロジェクト、創造的チャレンジ、そういったものは必ずしもやることになっているわけじゃない。ロックンロールの世界で、ルー・リードと共に何かやるみたいなことは、俺たちにとって、本当に特別な瞬間だった。彼はアイコンだった。特にラーズとジェイムズにとっては、本当に自分たちの箱の外に出ることだったんだ。メタリカの持つ創造的な泡のなかで、ソングライターとして、オルタナティヴのアイコン−本当はロックンロールのアイコンと言いたいところだが−と一緒に取り組むのに外に足を踏み出し、俺たち、または(自分以外の)彼らがボスではないという事実によっておそらく謙虚になった。ボスになりうるもう一人(ルー・リード)がいて、俺たちはそんな男と共作したんだ。俺たちの脱線、あるいは道から外れていくようなことは明らかに創造的チャレンジに基づいている。ツアーで・・・「By Request」や『Ride The Lightning』やブラックアルバムの完全再現、フィルモアの・・・メタリカ30周年記念でサンフランシスコのフィルモアで、ダイヤモンド・ヘッドとかダンジグとかブラック・サバスといった俺たちが過去にレコーディングした曲をやっていた他のアーティストのメンバーの何人かまたはフルメンバーを、俺たちが実際に招待して一緒に同じ曲を演った4日間のショーみたいにこれまでと違うことに挑戦したりとかね。今、誰がそんなことやる?つまり、お金は儲けてない、(むしろ)失っているんだ。でも俺たちはそういうことをやる。なぜならメタリカは挑戦を引き受けるのが大好きなのさ。そしてそういったことは通常人々を驚かせる挑戦なんだ。だから俺たちは打撃を被る。多くの人はそれを知らない。「メタリカ?あぁ金持ちロックスターだろ」と思っているのさ。でもそういったことにはお金がかかる。打撃は被るし、失ってもいる・・・俺たちが主催したフェスティバル、Orionだって儲かっちゃいない。赤字だった。でも、まぁ、結局のところ、楽しいんだよ。俺たちができるのは挑戦することだけなんだ。
BLABBERMOUTH.NET(2015-01-09)
バンドによる曲の制作過程の違いについての話が出てきましたが、メタリカ自体もいろんな試行錯誤を経てそういう形になったんでしょう。
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