メタリカが特集されたRollingStone誌のBIG ISSUE。

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※こちらで英語版は無料で読めます。(おそらく期間限定)
http://www.flipseekpubs.com/publication/?i=110532

ジェイムズ編に続き、今回はラーズ編をお届け。
レコーディングスタジオで行われたラーズ・ウルリッヒのインタビューを誤訳御免の管理人拙訳にてどうぞ。

RollingStone
ブラックアルバムを逆から演奏したのは誰のアイデアなんですか?

ラーズ
もし気に入ってくれたんなら、それは俺のアイデアだよ。もし気に入らなかったら、それはジェイムズのアイデアさ(笑)。良かれ悪かれ、俺はセットリストマンだからね。もしうまくいかなかったら、全部変えるべきものなんだよ。でもどちらかというと知られていない、埋もれていた曲から始めて、「Sad but True」「Enter Sandman」で終えるアイデアはうまくいっているようだね。キミらもアルバム1曲目の決定的な写真で終われるでしょ。

RollingStone
あのアルバムでスピード・メタルから短いシンプルな曲にシフトして、そこからメタリカのキャリアのトーンを決定づけました。つまりあなた方を好きな人たちを戸惑わせる新しい手法を厭わずやるという。

ラーズ
レコードが全てを物語ると俺は大いに信じている。初期のレコードの、「Harvester of Sorrow」「Ride the Lightning」なんかはもっとストレートで、舞台に立つ4人っていうものだったけど、俺たちはそういうものは全部やりきった。他に行くべきところがないほどに。「Dyer's Eve」の後にどこに行こうってんだい?もっと速くはないだろう。ヘットフィールドが親について叫ぶよりもさらに誰かを愚弄なんてできない。そういうのは俺たちにとって80年代の終わりのことだった。

1990年の夏、トロントでエアロスミスとショーをやったちょうどそのとき、ブラックアルバムを制作し始めたんだ。(そのときのショーで)VIP席で(共同マネージャーの)クリフ・バーンスタインと座っていた時のことを覚えているよ。彼はこう言ったんだ。「キミが大いに影響を受けたミスフィッツの「Last Caress」は1分半だ。キミの一部とも言える(ローリング・ストーンズの)「Jumpin' Jack Flash」もしかり。キミはまだそういうものを出していない。」とね。

サンフランシスコに戻ると、(「Enter Sandman」の一部分を含んだ)カークのリフ・テープがあった。曲全体をあのリフで構成する。「Enter Sandman」がアルバムの青写真になったよ。そこから2ヶ月超で残りの曲ができたんだ。


RollingStone
あのアルバムをライヴでやることは次のアルバムにどれだけ影響しますか?

ラーズ
かれこれ1ヶ月間、これらの曲に取り組んでいる今は、運転中に聴いたり、ライヴでやる前に浸りきってたりしてたんだ。「なんであそこでキーをひとつあげたんだろう?なんであそこは2回じゃなくて4回繰り返したんだろう?」ってな具合に。今日もそんなことを考えていたよ。「Sad but True」で中間のコーラス部分があって、そこからギターソロに入っていく。3番目のバースに入る前にちょっとブレイクがあった。

もう考えるのを止められない。「なんであんな風にしたんだろう?ちょっとばかり何かを拝借できたかもしれない。」もし自身を詮索できなかったら、こんなことに何の意味がある?考えるのが面白いんだよ。かつて外国で俺たちが出したこのアルバムが注目され、この秋にはそんな制作現場に戻るってことを考えるとね。

RollingStone
新曲制作の妨げになるようなたくさんのプロジェクトがたくさんありますよね。

ラーズ
ただレコード出してツアーする、レコード出してツアーするっていうバンドにはなりたくないんだ。自分が死ぬ日にはこう言うだろうね。「誰がルー・リードとレコードを作りたくないってんだい?」とね。これらのプロジェクトは冒険であり、未知の領域であり、筋肉の記憶(これまでやってきたこと)以上のことができる場所なんだ。型とか、他のレコードを出すためだけに存在するバンドなんていう理由から抜け出したいんだ。

RollingStone
あなたがたは今、オンとかオフといったものがないですよね。年中働いてますよ。

ラーズ
「働く」という言葉を前向きに受け取っておくよ。HQにやってきて、音楽を演奏して、汗をかく。これが楽しいんだ。俺たちはこういうことが大好きでしょうがないのさ。全ての落とし穴や罠から生き残ってきた。こういう馬鹿げたこと全ては『Some Kind of Monster(邦題:メタリカ真実の瞬間)』で見ることができる。こういったこと全てはリズムをみつけるようなものだね。レッド・ホット・チリ・ペッパーズのようなものじゃなく。彼らは自身のレコードを制作し、ツアーをする。それから3、4年留守にする。ああいうのは俺たちの宿命じゃない。

RollingStone
Orionフェスティバルで、あなたはどの部分をこれは自分がやったと言うんでしょうか?

ラーズ
俺が名前を思いついたんだ(笑)。俺にとって、アークティック・モンキーズがそこでやるのは大きい。彼らはインディーバンドに扮装したヘヴィ・メタル・バンドだと俺は思っている。「Perhaps Vampires Is a Bit Strong But...」みたいな曲を聴けば、ほとんどラッシュの要素がそこにはあるんだ。アヴェンジド・セヴンフォールドは俺にとってとても大事なバンドだ。参加するかどうか彼らはどっちつかずだった。夏休みを取っていたんだ。俺は彼らのうちの一人に電話して言ったんだ。「これは俺たちにとって多くを意味するんだ。」とね。ブラック・エンジェルズはただただクールだ。俺の友だちが言ったんだ。「チェックしてみろよ。」って。そしたら俺は「わぁお!こりゃあ、2011年にドアーズが他の何かに出会ったな。」っていう感じさ。



RollingStone
あなたが招待したバンドのなかに「無理無理、あんたのファンに殺されるよ。」と言ってきたバンドはありましたか?

ラーズ
問題はバンド側じゃない。ファンたちの見方から、こういうタイプのフェスが存在できるかどうかはかかっている。俺たちがやっているから、特殊なものとして見られているんだ。俺たちはもっと頑張らなくちゃならない。レディオヘッドが主催なら、クールだ。でも俺たちがやるんなら、そうはいかないんだ。

俺たちがこういうことをやるのに驚く人たちがいるのが驚きだよ。(こういうことをやることは)俺たちのDNAだからね。


RollingStone
あなた方がやることとはいえ、3D映画については奇妙で急なことでした。ドキュメンタリー要素あり、フィクション、このクレイジーなステージでのライヴ・パフォーマンスありなんですね。

ラーズ
これは2年ごとのサイクルなんだな。実寸の時間で、俺たちの頭んなかをスクリーンに投影するんだ。うまくいけば、世間をあっと言わせるものになるだろうね。ステージ上のメタリカを観ているんじゃない。メタリカと一緒にステージに立つんだよ。IMAXで、38フィート(約11メートル)のジェイムズ・ヘットフィールドがキミに鼻クソをつけ、ツバを吐く。2000デシベルでね。外で地震が起きても、気付かないんじゃないかな。

でも100分もそうはしてられない。魅力を失ってしまう。そこには他の要素もあるんだ。公にしなかった小さな、コンサートとして同じ軌道を越えたストーリーが展開される。問題は「彼らはどこから出たり入ったりしてるんだ?」ってこと。コンサートを楽しむためにコンサートを切り取らなければならないんだ。


RollingStone
メタリカのショーでさえ、ビールや小水のために休まなければならないですからね。

ラーズ
このアイデアはIMAX映画が出始めてからの90年代に遡る。俺たちは彼らと話したんだ。その頃はIMAXのカメラは家ほどの大きさで、12分の映画しかなかった。フィルムを再装填するために撮影をストップしなければならなかったんだ。でも『ミッション・インポッシブル』を公開1週目にIMAXで観て、それから2010年にBIG4ショーをブルガリアのソフィアから映画館で放送した。それがこの取引を決定的なものにしたんだ。

RollingStone
あなたの長い経歴という数字をどう見ますか?30周年を祝ったばかりですが、次の30年は気楽に考えているかもしれませんね。

ラーズ
俺は自分たちが充分チャレンジしたとはいまだに感じてはいない。「次のアルバム」について俺たちはいまだに話している。俺たちは音楽でやりたいことは何でもできるんだ。「メタリカのニューアルバムをアメリカ中の郵便番号ごとの番地に隠したぜ。さぁ探してみよう!」なんてな。選択肢があるだけさ。

「働く」って言葉は使わないで欲しいんだ。午前中には、3人の子供に学校の準備をさせなきゃいけない。あれは日々の仕事の一部だね。ここに来たら、お楽しみの始まりなんだよ。

rs_lars

改めてメタリカの方向性を指し示す発言の数々。
ラーズらしいインタビューでした。
※言い回しが難しいからラーズのインタビュー訳はいつも苦労する(汗)

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他のメンバーのインタビューについては管理人の余力次第ということで。

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