ボブ・ロックによるブラック・アルバムの全曲解説。
前回の続きから最後の4曲の解説を管理人拙訳にて。

■Of Wolf And Man

正直に言おう。最初はオオカミについて詞を書くなんてバカげたことだと思っていたよ。「へぇ、すごいね。オオカミについての歌か。いったい何が言いたいんだい?ピラミッドか何かについて書いた方がいくらかマシだよ」ってな具合さ。メタルがこんな領域にまで達したとき、私は違う方向に進むこととなった。

それから、我々がジェイムズの歌詞にのめり込んでからは、この歌がバカげてなんかいないとわかったよ。現実感があったんだ。歌詞を反映するように曲に変化を加えることについて話し合った。時間はかかったよ。完全に行き着くかどうかわからなかったけど、ちゃんとたどり着けたんじゃないかな。

■The God That Failed

これはジェイムズと私のあいだにあった氷を壊してくれた曲だね。我々のあいだには緊張が走っていた。だがたくさん話し彼のことを知るにつれ、この男はなんてたくさんのものを持っているんだって気付かされたね。

「The God That Failed」は深いよ。宗教へのただの卑劣な言動なんかじゃない。彼は非常に複雑なやり方で主題に取り組んだんだ。気持ち的には「Nothing Else Matters」と同じくらいリアルだね。

この曲でカークと取り組んだことは面白かったね。このレコード制作のあいだもそうだったんだけどね。彼がレコード制作最後の数週間にギター・ソロをレコーディングするためにやってきたと聞いた。私はすぐにみんなと話した。「これはやろうと思っていたやり方じゃない。彼は他のみんなのように、その場で演奏させるつもりだ。」

はじめこそ、カークはこのアプローチはやりにくそうだったけど、乗り気になって、彼が考えたガイド・ソロをプレイしたんだ。多くの場合、こういったソロを含め、彼が最初に考えていたのは前のやり方を戻して、多重録音をするときに使うものだったんだ。彼は自然にやり方を学んでいったんだね。

■My Friend Of Misery

この曲はほとんどジェイソンの曲だね。彼のイントロから始まった。この曲を制作していた大部分は曲を飛躍させ、本当に成功させるために素晴らしいリフを発展させることに費やされたんだ。そしてそれは成された。リフがどんどん高まっていく。かなりうまくいったね。

この曲は雰囲気がすべてなんだ。そして、それはとても映画のような感じだね。メタリカは自分たちの力を、むき出しのパワーを知らしめるやり方を知っている。でもこの曲では、もっと雰囲気・空気感を使っている。不吉な感じっていうのかな。そういう雰囲気が効いているね。

■The Struggle Within

この曲もだよ。最初はまったく理解していなかった何かに本当に没頭してしまう自分ってのに気付かされたね。闇とそれにまつわる感情の全て・・・主題はとても捉えづらくなっているよ。

メタリカの世界にどっぷり浸かれば浸かるほど、取り扱うにはキツく、恐ろしく、楽しめるほどやさしくはない主題こそ彼らが探求せざるえないことなんだと理解するようになったよ。

このレコード以後、私が共に仕事したこのバンドはまるで別物だったよ。でもそれは予想できたことさ。彼らは成長したんだ。彼らは大人になったし、父親にも夫にもなった。メタリカであることは彼らにとって今でも極めて重要だ。でもブラック・アルバムを制作していたときは、彼らにとってメタリカが全てだった。私はちょうどいい時期に彼らと仕事できたんだ。

musicrader.com(2011-08-01)

最後の方は曲の解説というより、ブラック・アルバムの制作を振り返る感じになっていますが、これもまた興味深い話でした。
まさにそのとき出会ったからこそできたアルバムだったと思います。

Metallica
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