プロデューサー、ボブ・ロックによるブラック・アルバム全曲解説。
前回の記事をご覧になっていない方はまずこちらをどうぞ。

ブラック・アルバム発売20周年を記念し、プロデューサーのボブ・ロックが解説。

一気に日本語訳したろ!と思ってましたがあえなく挫折ということで、まずは4曲分を管理人拙訳にてどうぞ。

■Enter Sandman

私はバンドがスタジオでライヴをするよう主張したんだ。彼らはそれまでそんなことはしたことなかった。これまで出したレコードは全て各セクションでそれぞれレコーディングしていたんだ。私は彼らにこう話した。「キミたちは素晴らしいライヴ・バンドだ。そのヴァイヴは今回のアルバムにとって極めて重要だ。」とね。「Enter Sandman」では、私はジェイソンにギタリストではなく、よりベーシストとしてプレイするようお願いした。ラーズのドラムが持つ新しい奥行きを押し出し、我々は曲に強烈なグルーヴを持たせたんだ。

はじめは、音楽とリフを鑑みてバンドと彼らのマネジメントは、あの曲を1stシングルにしようと考えたんだ。それから彼らはジェイムズの歌詞を聴いて、乳幼児突然死についての歌だと気が付いた。その点はちゃんとチェックされていなかったんだ。

私はジェイムズと座って、彼に歌詞について話した。「キミの持っているものは素晴らしい。しかしもっと良くなる。それほど文字通りの意味である必要があるかい?」ってね。私はあのシングルについて考えていたわけじゃなかった。

私は彼に曲を素晴らしくして欲しかっただけさ。それは過程だ。彼が自分の望むことを言いながらも、より詩的な詩を書き、やり方を広げるためのね。彼はいくつかの歌詞を書き直して、それが全て盛り込まれたんだ。それが・・・1stシングルさ。

■Sad But True

彼らは私にデモを聴かせてくれた。そして私は90年代版(レッド・ツェッペリンの)「Kashmir」だと思ったと彼らに告げた。あのリフには度肝抜かれたね。私の知る限り、彼らがあれほどヘヴィで、パンチが効いて、パワフルになったことはなかった。私が言えるのは、律動的にみて、あのリフのポテンシャルは間違いなくすごいってことだね!

私たちは編集中、落ち着かなかった。なぜなら誰もこういった手の込んだやり方で彼らに自分たちの曲をやらせてしまうなんてことはかつてなかったからね。それまでも、そして「Sad But True」が出てくるまでの6曲のなかでも。それで突然気付いたんだ。この曲を含めて全ての曲でEのキーがあるってことに。

私はバンドの注意をこの事実に向けさせた。彼らは言ったよ。「で、Eって一番低いキーだっけ?」ってね。だから私は彼らに私がプロデュースして、メタリカも好きだったモトリー・クルーの『ドクター・フィールグッド』を聞かせたんだ。モトリーはキーをDに下げていた。メタリカはそれからキーをDに下げたんだ。そうしたら、あのリフは本当にデカくなったんだ。この力は止めようがないね。なにがあろうとも。

<参考>レッド・ツェッペリン 「Kashmir」


<参考>モトリー・クルー 『ドクター・フィールグッド』
dr_feelgood

■Holier Than Thou

バンドはこの曲でいまだに私をからかってくる。なぜならこの曲がシングルになる見込みのある曲として私が目を引いた最初の曲だったからだ。歌詞なしのレコードの段階から曲を選び出すときに指摘すべきことは、まず最初に、曲そのものが私に語りかける何かなんだ。この曲はとても攻撃的な方向に揺さぶり、「メタリカ」と私に語りかけ感動させたんだ。

レコード制作に没入していくにつれ、流れが変わって他の曲が開花してきて、「Enter Sandman」みたいに重要になってきたんだ。「Holier Than Thou」って曲がある一方でね・・・。素晴らしい曲だよ。シングルにならなかったけど。

この曲のもつエネルギーとテンポが好きだね。致命傷をグサリとやられた感じだよ。メタリカと会うたび、いつも同じことを私に言ってくるんだ。「えっ?Holier Than Thou だって?」ってね。彼らはあのこと(はじめに目をつけた曲がシングルにならなかったこと)を拭い去ってはくれないのさ。返す言葉もないよ(笑)

■The Unforgiven

ジェイムズがクリス・アイザックの「Wicked Game」にとても夢中になっていた。彼はヴォーカルの豊かで温かみのある感じが大好きだったんだ。この時点でジェイムズは歌いたかったんだよ。彼はそれまでたくさん叫んできていたわけだが、そういったものとは違う方向へ行きたくなったんだ。

過去には、ヴォーカルをいつも二重奏にして歌った。(でも)ハーモニーを歌ってはこなかった。言ってみれば、違う曲をただ同じように歌っていたんだよ。でもこの二重奏の過程では個性は生まれない。本当に。実際、個性を失う機会が多いよ。なぜなら第1ヴォーカルが持つべき深みを第2ヴォーカルが与えられることを望まれてしまうからさ。

私はジェイムズにこう話した。私たちはキミのヴォーカルをレコーディングすべきだ。でも自分の声をヘッドフォンで聴く代わりにスピーカーで聴いて欲しいとね。この違いは驚くべきものだった。彼は(真の意味で)歌を歌った。いつもと違うやり方で自身の声を聴くことで彼の声が全く新しい次元となったんだ。大きくて、深みがあって、温かみがある。そして目を引くものとなった。

<参考>クリス・アイザック 「Wicked Game」


musicrader.com(2011-08-01)
コメントの返信はまた後ほど。。

Metallica
METALLICA

ブログランキングに参加しています。
応援クリックをヨロシクお願いします。

関連記事
ブラック・アルバム発売20周年を記念し、プロデューサーのボブ・ロックが解説。