前回記事の続き。インタビュー完結編です。ジェイソン・ニューステッドが『...And Justice For All』のツアーでのステージセットの舞台裏、「One」のビデオ撮影について語ってくれました。管理人拙訳にてどうぞ。
ステファン・チラジ(So What!のエディター)
そこでまた質問。ジャスティスのツアーのどこかで揺れるトラスの梁によってキミは文字通りあやうく首を切り落とされそうになっていたのを覚えているんだ。ダン(・ニコレイコ、ボックスセットのキュレーター)はシアトルのショーとビデオ撮影について尋ねた。私は、混乱した記憶の中で、この2つが同時に起こったんだ。正確かどうかはわからない。だからこういった質問をするんだ。※参考(1:15:46〜)
ジェイソン・ニューステッド
そう。彼らが「...And Justice for All」でドリス像を少し破壊した時、壊れたか転倒したかどうだかで、少しずつ壊されて・・・曲の終わりで、火花が散って残りの部分が倒れていったんだよね?それからカーク側のステージ上にあったトラスが、ラーズのドラムセットの真上で揺れるんだよね?1つのショーだった。−そんなに多くのショーじゃなく、6公演か何かだった−ほとんどクソみたいなコトが俺を襲った。ジョン・ブロデリック(照明デザイナー)とスタッフたちがやらかしたんだ。彼らがドレッシング・ルームに戻ってきた。「オマエら大丈夫か?あんなことしないでくれよ。クソッ、オマエ、クソッ。心臓が飛び出るかと思ったぞ。」キミはわかるだろう、ああいう感情を。兄弟のようなんだ。
それ以降、俺は意図的にあえてそうしていたよ。それをなじって、梁が降りてくることを知りながら、位置を変えて、寸前でひょいと頭を引っ込める。だから人はあれを演出としてみるだろう。しばらくしてクルーはちょっと古株になったけど、誰かはそれを一度見ただけっていうコメントをするだろう。たまにジョンは「当時のあれは(降りてきたトラス梁がジェイソンに)ムチャクチャ近すぎだろう」って言うだろう。でも彼が見ていたところとは違っていたんだ。俺は自分でやっていたことはわかっていたよ。そうさ、あれはわざとやっていたんだ。
ステファン
シアトル公演かもしれないと思ってたけど、そうでもないんだね。
ジェイソン
彼らがかつてパイロの配置図に照明を置いていた時のことは覚えてる?アリーナ周辺のハッキリ目立つ場所はたくさんあるよね?たとえ立て続けに30の同じ公演があったとしても、彼らは炎が出る装置がどこに置かれるか示すだろう。しばらくしたら、彼らは俺の首を切り落としてるイメージを回路図に加え始めたんだ!俺の頭が転がってやがんの、それから彼らはその建造物を置いていたね。
ステファン
シアトルのショーとビデオ撮影についてはどう?
ジェイソン
えぇっと、あれは俺たちが数台以上のカメラにマジになり始めた初めてのことだった。知っての通り、巨大ビジョンとかそういった類のものは今や当たり前になった。当時はそうではなかった。もしヴァン・ヘイレンみたいな当時もっと大きなバンドに参加していたんなら、少しはスクリーンに映ることもあったかもしれないけど、そういうバンド以外はカメラなんて関係なかった。俺たちの世界にカメラが入り始めた頃だったんだ。言ってみれば、俺たちはあれ以前に公式でそういうことをしたことがなかった。だから勝手が違ったよ。
あれは俺たち全員が目立つためにやるんだ。本当にハードにこなして、練習して、そして誇示した。それだけ誇示しようってなったら、さらにそれが顕微鏡並みの(微細なものも映す)カメラでやるってなったら、俺たちはいつでも大丈夫なように(いつもと)違った風に構えてしまう。オーディオにもビデオにもその他全てにも記録されることがわかっている場合、いつも以上に失敗したくないって思うだろう。余計なものはカットしたいし、いつも以上の良いものなら消したくない。たしかに自分のパフォーマンスに違う要素が追加されることはあるね。
ステファン
89年の(カリフォルニア州の)ショアラインでのショーは伝説だよ。(同郷の)フェイス・ノー・モアが一緒に出演していたし、間違いなくナンバー1だよ。これは特にアフター・ショーのパーティーが朝の5:00まで会場で行われていたってことで私が覚えているショーのひとつなんだ!ショアラインでのあの特別なギグについては覚えてる?
ジェイソン
あれは凱旋公演だったね。俺たちがメタリカとしてホームに戻るたびに凱旋公演だった。毎回さまざまな方法で注意を払うよ。ニューステッド家のこともしかり、もしデンマークに行ったら、それはラーズ(が主役)のショーだ。こういう凱旋公演になる特定の場所はいつもある。そういうのはチェックするね。そういう場所では何かが起きるっていう期待があるし。だからベイエリアの凱旋公演は一番大きな印をつけることになる。だって(一か所ではなく)集合的な印になるからね。ショアラインは本当に真剣だったよ。俺たちはそれ以前にこれほど大きくホームグラウンドに錦を飾るなんてなかったからね。ベイエリアの誰もが、世界のヘヴィメタル大使としてだけでなく、ベイエリア出身のヘヴィメタル大使だってところに本当に個人的な誇りとしてくれたんだ。だから誰もが兄弟愛と家族的な誇りを持っていた。あの会場は特別だった、凄まじかったし、最初からライヴに来ていた人たちは(誇らしげに)胸を張っていた。最高だったよ。
ステファン
「One」のビデオ撮影は、私が思うに、間違いなくバンドのキャリアのなかでも影響の大きかった瞬間だったし、これについてのキミの思い出に興味があるなぁ。あれはショートムービーのようだった。ダイナミックな作品だったけど、あれについては何か覚えてる?
ジェイソン
間違いなくその世界に足を踏み入れることは俺たち全員にとって新しいことだった。複雑な感情があったね。「俺たちは本物のコアな集まりなんだぞ、そんなことやらない。俺たちはみんなのためにライヴをするんだ。そんな類のことに心配なんてするつもりはない。そういうことで競うようなエネルギーを費やすことはないよ。もしそうなら稼ごうぜ」ってね。これについても同じやり方だった。俺たちはMTVで起きている安っぽいクソの次に登場したいのか?でも何とかして、そこで扱われた方法や誠実さや信頼性のおかげで、それは俺たちのことをやっているだけだった。つまり俺たちがいつもやってきたやり方だったんだ。白黒にしてもね。
カットは何も加工してない。(ビデオのなかでは)ふだん通りで、ステージ上で着ているものをまだ着ていた。そういうこと全てが俺たちがのし上がるのにとても重要だったんだ。多くの人たちにとっての俺たちの魅力ってことでとても重要だったのは、Tシャツにジーンズっていう雰囲気を保ちながらも、「One」のビデオでほんの数秒のあいだにヘッドバンギングしてスラッシュするっていうことがあったことだよ。あれでスパークした。俺たちみんなアンガス(・ヤング)がやってるのを見たことはあったけど、俺が「スナップ」と呼んだ代物じゃなかった。首をスナップさせ、髪をスナップさせ、ベース弦をピックでスナップさせる。ラーズと連動してスナップする。それで「スナップ」をあの昔の(長い)髪で、白黒で初めてさらされたわけだ。それがキミがヘッドバンギングについて話していたこととか・・・全ての始まりみたいなもんだった。そのせいで首に多くの問題が生まれてしまったけどね!
ステファン
素晴らしいおしゃべりだったよ。(最後に)もうひとつ質問があるんだ。キミが覚えていることで我々が触れていなくて、注目して欲しいことってあるかな?
ジェイソン
うーん・・・何度か触れてきたことだと思うけど、今振り返って、分析する時間を持てた。ジェイムズ、カーク、そしてラーズが自分たちのなかに抱えていた実際の苦悩とか挑戦。鍛錬して、成功者として今日の彼らになったこと。素晴らしいことだ。彼らはその場所をみつけ、その場所にたどり着き、その場所にとどまった。そんなことをやったヤツなんていないよ。
俺がバンドに入った時に彼らが経験したこと、彼らが必要としていた以上に何年も何年も何年もかかって(乗り越え)、彼らはバンドの名前、バンドのパワー、バンドの誇り、バンドをサポートしてくれた何千人もの人たちのために鍛錬し続けてきた。それに30年以上に渡って給料を与え続けているんだ。わかる?信じられないことだよ。彼はそういったことをやり通したんだ。戦い続けてね。俺たちは悪魔がやってくるのを見たこともあった。時にはふざけたことが近づいてきたこともあった。でもそんなことで彼らは破滅しなかった。それどころかそんなことが彼らをより強くしたんだ。−それを理解した結果− 彼らは史上最も世界的にイカしたメタルバンドなんだ。
Metallica.com(2018-11-12)
年内の更新はこれで最後となります。
ボクはこれからアウトレイジ・ビヨンドを観ます。
よい年をお迎えください!
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