メタリカ情報局

メタリカを愛してやまないものの、メタリカへの愛の中途半端さ加減をダメだしされたのでこんなブログ作ってみました。

       

    タグ:ルー・リード

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    ラーズ・ウルリッヒとメタリカのマネージャー、ピーター・メンチがMusic Weekのインタビューにて、映画『Through The Never』や、2012年と2013年の2回行われたきり再開の目途が立っていないメタリカ主催の「ORION MUSIC + MORE Festival」について語っていました。管理人拙訳にてご紹介。

    ttn_orion

    メタリカはどのようにして芸術的感覚とビジネス的なを両立させるのだろうか?

    ピーター・メンチはこう主張する。「全ては同じ意味合いなんだ。我々はルー・リードとアルバムを制作したが、何のビジネス的な意味もなかった。でも我々はトライした。評論家はあれを嫌っていたようだが、数年前にダウンロード・フェスティバルやレディング・フェスティバルに出て、人々が見に来るのを(批判によって)止めることはなかった。彼らは交響楽団とのアルバム(1999年の『S&M』)もやったし、20年経っても誰もそんなことやっていない。メタリカは今や図太いって観点で言えば、誰も傷つけることはできない。彼らは挑戦できるし、遅かれ早かれ全てはメタリカに返ってくるんだ。」

    そのような賭けの1つが映画『Through The Never』だった。このプロジェクトについてラーズ・ウルリッヒは、メタリカがハリウッドの配給システムを避けようと「噛みつく以上に」食いちぎるところを示したと語る。自己資金で作ったこのIMAX映画は数百万ドルの赤字を出したと報告されている。

    メンチはこう説明する。「私はコンサート映画をやるべきだという考えだった。ジャスティスのツアー(1988年)をした時にたった7歳だった人たちが観たことのないものを再現するべきだと思っていた。バンドメンバーは座ったままこうだ。『OK、それは良い考えのように聞こえるけど、俺たちはその背後に物語があるべきだと思う。』私は『OK、わかった。もっとお金がかかるけど、どれやってみよう。』と言ったよ。我々はそれで何とかやった。素晴らしいコンサート映画だよ。振り返ってみてもそう悪い映画じゃない。いつかはみんなあれを理解するだろう。誰か『あの映画がクソだったから二度とメタリカは聴かないなんて言ってたかい?そうはならなかった。面白くなかったかもしれないし、わからなかったかもしれないが、クソじゃない。」

    同じように大胆なものとして挙げられるのが、フェスティバルへの挑戦だった。2012年、メタリカはアトランティックシティでOrionフェスを開始し、2013年のデトロイト開催へと続いた。数百万ドルと噂される莫大な費用にもかかわらず、ウルリッヒはその復活を否定していない。

    「Orionは俺たちのものだ。」ラーズはそう口火を切った。「相応しい時と相応しい場所で、俺たちは間違いなくあれを復活させるだろう。」

    彼はバンドの思考プロセスを思い出して笑った。「よし!俺たち自身のフェスティバルを始めようぜ!言うのは3.5秒だけど、企画としてまとめるには35億時間かかる。フェスティバルを始めた人はおそらく5年から10年は専念しないとと言うだろう。俺たちはサイコロを振って、身を投じた企画はどちらも最終的には望ましい企画とならなかった。アメリカで2回やったが、どちらも芳しくなかった。ヨーロッパで何かやるかもしれないと話していたと思う。間違いなく復活させるだろうね。」

    Music Week(2017-12-11)

    以前にもOrionフェス復活を語っていたラーズ。ヨーロッパで行うにしてもその他のフェスとどう差別化していくのか企画力が問われるところ。Orionフェスは未経験なので復活となれば、ぜひ行ってみたいです。

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    ニューヨークのラジオ局SiriusXMで行われたリスナーから質問を受ける「Town Hall」コーナーにメタリカが出演。放送はアルバム発売日直前とのことですが、RollingStoneが主な内容をリークしてくれました。収録内容のうち最も興味深いことを10項目に分けて紹介していたので管理人拙訳にてご紹介します。

    metallica-globalcitizenfestival

    1.ロック以外のジャンルのプロデューサーを考えていた

    ヘットフィールドはこう語る。「俺たちは誰を起用するか議論した。誰か新しい人、名のあるプロデューサーを起用するのはどうか?『いろいろ探してみよう。思わぬ方向へ外れたっていいからロックを知らない人でも声をかけてみよう。』とね。」バンドは2008年の『Death Magnetic』のエンジニアを務めたグレッグ・フィデルマンを起用することを決めた。「結局、俺たちはグレッグのことを知っていたし、彼も俺たちのことをよく知っていた。それに(映画)『Through The Never』のサウンドはとてもパワフルで最高だった。彼を起用しないのは間違いだったと感じたんだ。」

    2.メタリカはリフを生み出す能力に自信を持っている

    良くない曲のアイデアを排除する方法について尋ねたところ、ウルリッヒはそれはほとんど問題にならないと説明した。「俺たちが抱える最も大きな問題は・・・曲の材料があまりに多すぎるということだよ。ジェイムズがギターを抱えるたびにリフができているんだから。ギターをチューニングしだしたらこうさ。『ちょっと待って、それ録音するから。』俺は『1月27日2時53分』ってメモ書きするんだ。」すかさずヘットフィールドが口を挟む。「ホント迷惑だよ。俺はギターのチューニングさえできないんだから。」ウルリッヒは続けてこう語る。「問題は、何が“AAA+”のリフなのか?ってことだ・・・何百もすごいリフがあるかもしれない。でも1曲に使えるのはたった20だ。ドミノ現象が起きてしまうからね。『どうやってリフからヴァースやブリッジやコーラスに行くんだ?』って。・・・でもすごいリフ?これはガレージセールの話だ。もし他のバンドが使いたかったら使ってもらおうって話だよ。俺たちはすごいリフに圧倒されているんだ。」

    3.メタリカはなぜブラックアルバムがこれほど成功を収めたかという質問をされたくない

    1991年のセルフタイトル・アルバムは全米だけで1600万枚以上を売り上げた。過去25年で他のどのレコードよりも売れている。しかし彼らはなぜここまで売れたのか考えたくないようだ。ウルリッヒは言う。「俺たちのマネージャー、クリフ(・バーンスタイン)の理論では、通過儀礼の要素があるみたいだ。13歳になったら、あれは思春期の経験のひとつなんだと。俺はこの手の話は分析されすぎないのがベストだと思うよ・・・。どういうわけか固定化されて、シンバルゴリラ(※)のおもちゃみたいにずっと続いているんだよ。」

    ※原文は「Energizer Bunny」太鼓を叩き続けるウサギ、電池のCMキャラクター

    4.メタリカファンは彼らのアイドルに近づいた時、境界がないことを知っている

    観衆のファンの1人が各メンバーが知っている最も変わった場所について尋ねると、メンバーが驚くべき回答をした。カークはこう語る。「ブラックアルバムが出た頃、俺はここ(ニューヨーク)のアップタウンの衣料品店で試着していたら、誰かが自分のところに歩み寄って来るのが視界に入ってきた。『やぁ元気かい?カーク』って声が聞こえてきた。そっちを振り返ったら、声の主はブルース・スプリングスティーンだったんだ。彼が俺の名前を知っているもんだから、本当に奇妙なことだと思ったよ。」ヘットフィールドは「彼は試着室まで入ってきたのか?」とツッコミを入れた。

    トゥルージロはスイサイダル・テンデンシーズでベースを弾いていた頃の話を共有した。歯医者に行って医者が離れた隙に歯科衛生士がファンであることがわかった。「俺が見えているのは彼の眼だけ。彼はマスクをしていたから口は見えなかったんだけど、彼が『スイサイダル、スイサイダル』とつぶやいているのが聞こえてきたよ。そいつのことを見やると、俺の口のなかに装置を突っ込んでた。彼は処置中ずっとそれだけ言ってたんだ。」ヘットフィールドは笑って、再びツッコミを入れる。「そりゃあ助けを求めていたのかもしれないな。」

    5.メタリカについての知られざること

    ウルリッヒはブラックアルバムのツアーでミュンヘンでライブを行った時の話をした。そのライブでは彼が聴いて育ったお気に入りのバンド、ディープ・パープルのメンバーがステージ正面の“スネイクピット”にいた。「バックステージで彼らと連れ立って一緒にビールを飲んで本当に興奮したよ。ステージから戻ったら、イアン・ギランのメモが置いてあった。そこにはこう書いてあった。『キミたちは素晴らしかった・・・我々の就寝時間が来てしまった。帰ってミルクとクッキーを口にすることにするよ。』あれは10時45分くらいだったな。」

    ヘットフィールドはトゥルージロのように医療関連だが、あまり愉快ではない話をした。「息子が絡んだ交通事故があって、俺は大急ぎで病院に行った。息子は病院にいて軽い手術受けていた。俺が立っていると息子を処置した看護婦がやってきて俺にこう言ったんだ。『私にサインをしてもらえませんか?』最悪の気分だったね・・・どうなるか想像できるだろう。」

    6.『Lulu』でメタリカとコラボした時にルー・リードは多くのことをジェイムズ・ヘットフィールドに教えた

    「歌詞の部分、俺が学んだのは歌詞の力だ。」彼は言う。「あれは詩だった。俺たちは彼の詩、プレイ、何だって音楽にしていった。1つの長い物語でもあり、それが全ての小さなパーツでもあった。俺にとってみんなの生活や事柄についての物語を曲にしようとすると、結局はとても安っぽくてつまらないものになってしまった。でもルーのやり方は歌詞の多くの部分で確かにダークで衝撃的だった。また俺にとって韻を踏まないことを充分理解するのは難しいことだった。彼は何かの構造を持ったり、韻を踏んだりしていなかった。何かを語っていたんだ。物語を語るというよりは歌っているという具合だ。それで俺は学んだんだ・・・言葉や歌詞にもう少し自由になることをね。言いたいことを言えと。」

    7.・・・しかしメタリカは他の誰かとまたコラボしたいとは思っていない

    あるファンがメタリカは誰かとツアーやコラボしたいかと尋ねると、メンバーはしばし沈黙。ウルリッヒは言う。「俺はこいつら(メンバー)が好きだ。俺自身はと言えば、このメンバーたちとプレイする以上の願望は持ち合わせていないんだ。」その他のメンバーも、他のミュージシャンとジャムったりするのは楽しいとしながらも、ドラマーの感情を共有していた。

    8.レミーがいなかったらメタリカはなかった

    『Hardwired...To Self-Destruct』収録曲「Murder One」はモーターヘッドのフロントマン、故レミー・キルミスターへのトリビュートソングで、歌詞には彼の曲のタイトルがたくさん使われている。バンドメンバーはレミーがメタリカに決定的な影響を与えたと語っている。ヘットフィールドはこう語る。「モーターヘッドにはメタリカが今ここでやるべきことがたくさん詰まっていた。でもレミーは父親像の一種として存在していた。彼はたくさん俺たちのことを助けてくれたよ。彼は恐れ知らずだった。一人のキャラクターであり、彼そのものだ。俺たちみんながすごい尊敬していた。彼は最期まで自分のことをやりきっていた。どんなヤツだろうと、そのことに触発されないヤツがいるか?」

    9.メタリカはたくさんの若いバンドが好きなようだ

    あるファンはヘヴィメタルの未来を担うのは誰かと尋ねた。ちょっとの沈黙の後、ヘットフィールドが冗談めかして言った。「えぇっと・・・デモテープ持ってる?」一方、ハメットは自分の好きな新しいグループについて語った。「数日前にあるバンドのビデオを見て、本当に感動したよ。名前が難しいんだよね。『Horror』って発音するんだけど字面は『Ho99o9』なんだ。」

    ヘットフィールドはこれまで触発されてきたメタルを最近それほど聴いていないと語った。「シンコペーションはどこだ?ハートはどこにいった?頭にくるよ。願わくば、誰かが俺みたいにむかついて、何かを思いついて次のクールな違うものをやっていけばいいんじゃないかな・・・違う何かを書くのに十分なくらい誰かはむかついているだろ。」

    10.・・・それにも関わらず、ロックの将来について心配している

    ハメットは言う。「次世代のアリーナ級のバンドがどこにいるんだ?誰か答えてくれないか?」トゥルージロはブラック・サバスのギーザー・バトラーと最近同じ話題について会話をしたと言う。「ロンドンからカリフォルニアに向かう飛行機のなかで偶然会ったんだ。彼はこうさ。『誰が先導するんだ?メタリカもやった。俺たちもそうしてきた。これからは誰がやるんだ?』とね。俺は『それについてはちょっと考えさせてくれ』って感じだったよ。」

    RollingStone(2016-09-27)

    レミーへのトリビュートソング「Murder One」はもちろん、その他の曲もルー・リードに影響を受けたという歌詞に注目です。

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    英紙ガーディアンにてラーズ・ウルリッヒが先日亡くなったルー・リードとのエピソードについて率直に語っています。膨大な英文に管理人はたじろぎ、「長い・・・訳す身にもなってよ・・・」とか思ってしまいましたが、それだけの思いが詰まっていました。一筋縄ではいかなかったルー・リードという人となりがよくあらわれているエピソードだと思います。誤訳も部分部分あるかもしれませんが、大意は間違っていないだろうということで管理人拙訳にてどうぞ。

    reedandlars

    1ヶ月前、アポロシアターでライヴをするためにニューヨークにやってきたときに俺達はやりとりをした。ルーはショーにやってきて、くつろいでいく予定だった。(でも)体調が悪くなっているからと、彼は姿を表さなかった。だから良くないということは知っていた。でもそこまで深刻だとは知らなかったんだ。俺は半分ショックを受け、半分は押しつぶされた。こんなに早く逝ってしまったことにショックを受け、喪失感で押しつぶされたよ。

    ロックンロール界のほとんどの人たちはルー・リードと彼の評判を知っている。俺は10年前に彼と少しだけ付き合い程度に会ったことがあった。そこでは彼はとても思いやりのある人だった。4年前、俺たちがロックの殿堂入りのコンサートをしたときに、俺たちがある部分のホストだったから、俺たちは一緒にやろうとルーを招待した。俺たちはあらかじめフィルターのかかっていない彼の評判や彼が話した自分の考えについて知っていた。彼はちょっと素っ気ないかもしれないと人から聞かされていた。マンハッタンのど真ん中にあるリハーサル室にいたら、彼はやって来て、とても素っ気なく、無愛想で、まったくキミが考えているであろう人物だったよ。俺たちは準備して、楽曲を2つ、3つ軽く合わせた。彼は俺たちがどれだけやかましいか、そしてやっていること全てが間違っていると文句を言っていた。俺たちがやっていたこと何もかもが間違っていたんだ。それは俺たちの音楽への全アプローチに限らなかった。俺たちの存在が間違っていたのさ。俺たちが生まれた日から、俺たちの存在は間違っていた。もちろんここでは誇張しているけどね。

    でも1時間かそこら、彼と俺とで少し話をして、悪いことは何も起こりそうにないと俺は彼を安心させたと思うんだ。俺が誰かにルーについて話していたとき、それに気付いた。彼世代の多くの人が、彼らを利用した奴らによってビジネスの内外両方で長年に渡って不当な扱いを受けてきた。多くの人が用心深いんだ。だから40代の多くのミュージシャンが両手を広げて彼を歓迎して、輪に入るように招待してセッションした。(それでも)彼は何が起こるのか疑念を持っていた。それを俺は理解したし、それについて彼を咎めないよ。

    ものごとが打ち解けあうと、俺と彼とで隅で話し合いをして、すぐにかなりクールなことになった。俺たちは多くのことが共通していることに気付かされた。そこには信頼があった。でも彼はとても用心深く、疑り深い人間だった。彼と次の何年かを過ごし、インタビューからギグまで共にした全てにおいてそれが見受けられたね。彼のレーダー上に誰か新しい人が来るといつだって、まず彼がその人を評価しなければ、彼自身が心を開くことはなかった。俺は彼世代のアーティスト6人と会ってきたけど、彼らと充分に話せば、男どもやシステムやビジネスやとんでもない契約にお互いどれだけヤラれてきたか何でも話してくれるよ。

    俺たち2人はアウトサイダーだったし、他のみんながやっていた同じ道をたどっていくのを快しとは決して思わない。メタリカはいつだって自立してやってきたし、ルー・リードはアウトサイダーになること、自立した人間になることの創始者なんだ。自分のドラムで行進し、あらゆるプロジェクトを以前やったものとはまったく違うものにしていき、決して自分以外の誰に対しても責任を負わない、そんな先駆者なんだ。

    俺たちはそういうものの上に同族として分かち合った。そして俺たちは彼が持っていないものを、あるいはあまり体験してこなかったであろうことを彼にもたらした。彼自身の言葉で言えば、「エネルギー」「重さ」「サイズ」だね。俺たちがプレイし始めたら、そういうことが何であろうと起きるんだ。彼が俺たちにもたらしたものもそうだ。もちろん、彼が俺たちにもたらした驚くべき作品『Lulu』、彼によって既に書かれていた、彼女の突飛な行いと性的な試みについてのこの作品もそうだ。俺たちは互いに何かをもたらし、環境に合わせてやっていく能力の欠如を分かち合っていたんだ。

    (ロックの殿堂の創始者のひとりである)ジャン・ウェナーがロックの殿堂入りで称賛し、U2とブルース・スプリングスティーンはほとんどの部分のホストをつとめずにそこにいた。彼らは俺たちにホストを頼んだから、俺たちは一緒にやろうとルーに頼んだんだ。それはとても上手くいったね。彼は俺たちといて心地よく感じたと思う。俺たちがマディソン・スクエア・ガーデンを後にしようとしたとき、彼は俺を見た。俺たちは車に乗るためにマディソン・スクエア・ガーデンの駐車場の奥へと歩いていたときだった。そして俺たちは1年半後に同じマディソン・スクエア・ガーデンでレコードを作ることになった。でも『Lulu』の突飛な体験、そしてレコードとなった全てのものはおそらく数10年間、彼の頭のなかで渦巻いていたことだったんだよ。これがこの個性的な人物と、彼女の人生のなかでまったく違った男たちとの関係を描いたお話ってとこだね。

    俺は昨日、車の中で子供のためにあのレコードを流していたんだけど、今日的な意味を帯びて、これまでになく激しく、信じられないほど強力で、とても生き生きと本能的に聴こえたよ。彼がこの驚くべき叙情詩的な物語をもたらしたんだ。俺は誰の「ベスト」とか「No.1」とかには興味がないけど、彼は過去40年間のロックンロールの世界のなかで最も洗練された詩人だった。彼は多くの時間を共に過ごしたこの物語をもたらした。でも、その反面、信じられないような本能的衝動をスタジオにもたらした。そこでは彼がすぐに何かを思い付くよう要求されたんだ。

    何も考えず、何も努力せず、何も分析せず、あるいは何も深堀りしない。ただプレイし始めて、ルーは半分はこれらの詩を朗唱し、半分は歌う。こうしてこのレコードは出来た。考えるよりもただやってみるっていうスタジオでの異なるアプローチを教わった。3週間で全楽曲をレコーディングしたんだ。3週間じゃ普段のメタリカのレコード制作なら、スタジオのどの角にドラムをセットするかさえ決まっていなかったよ。全てのことがとても衝動的だったし、そこには分析的な思考はほとんどなかった。

    ハードロック・コミュニティは、かなり辛辣になりうるから、俺はかなり鈍感になっている。ハードロック・コミュニティがあのレコード(『Lulu』)に背を向けたときも俺は驚かなかった。多くの人が言っていた。「おぉルー・リードが歌ってない」あぁわかってるよ。この40年間、彼が何をやってきたと思ってるんだ?彼がロバート・プラントみたいだとでも思っていたのか?彼はそんなことしないだろ。ハードロック・コミュニティでは、俺は特に驚かなかった。でももっと知的な作家がそれに対して辛辣だったのには驚いたよ。

    でも2年後には、多くの人が意見を変えてきた。(ラジオ・パーソナリティの)ハワード・スターンは『Lulu』について自分がどれだけ間違った認識を持っていたか、そして(収録曲である)「Junior Dad」が2年前に出されたとしても去年のお気に入り曲だったっていう全てのエピソードを話してくれた。今から25年後には、あのレコードを持っている、あるいはあれが出されたときから大好きだと主張する何百万人もの人々がいることになる。もちろんどちらも真実にはならないだろう。(それでも)俺はあのレコードは上手く歳を経るんじゃないかと思っている。あれを昨日流してみたが、ヤバいくらいイケてたよ。ある意味、みんながあれを受け入れなかったことはクールなことかもしれない。なぜならあれは(これまでよりも)俺たちのためのものだし、俺たちのプロジェクトだし、俺たちのレコードだ。これは多数のために作られたモノでは決してない。そして多数の人はそれを好きにはならなかった。そのことがあれに関わった人にとっては、あのレコードをより貴重なものとさせているんだ。

    俺は彼のもろさをいつも思い出す。彼のもろさとつながることで、それと一体感を持つのを感じた。彼はとてもオープンだった。「ラーズ愛してるぜ」と言ったり、メールでハートを打ったりするんだ。あれは本当に素晴らしかったね。彼の何もフィルターも持たないやり方は俺がこれからも最も覚えているモノになると思う。彼のもろさもね。俺が会ったことのない誰かについて彼が何を言ったとしても、彼はいつだって自分の真実を話していた。決して頭で感じるんじゃなく、いつもどこか他の場所で感じていたんだ。人が話すとき、(言葉は)脳から出てきている。彼の発する言葉がどこから出てきているのか俺にはわからない。でもどこか別の場所から出てきているんだ。感情に満ち溢れ、荒々しいその言葉は本当に俺と共鳴した。俺は彼に力を与えたかった。そしてメタリカが力を与えたと思っている。いったんガードが取り払われたら、彼という人間は本当に素晴らしかったし、無邪気だったよ。

    the guardian(2013-10-30)

    いろんなインタビュアーが苦戦したエピソードに事欠かないルー・リードでしたが、一度壁が取り払われればこれほど純粋で無邪気な人はいないのかもしれません。ラーズのコミュ力にも敬服させられます。

    lulu


    さんざん訳しておいてなんだけど、こっちの方が日本語として通りがよいね・・・。
    http://ro69.jp/news/detail/91481

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    【訃報】ルー・リード(Lou Reed)死去

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    突然の訃報で驚きました・・・。
    メタリカと『Lulu』を共作したルー・リードが27日亡くなりました。享年71歳。

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    英紙ガーディアンがTwitter上でルー・リードの代理人チャールズ・アーサー氏に確認したとのこと。死因はまだ明らかにされていませんが、今月肝臓移植手術を受けていました。

    メタリカはこの訃報に対してまだ公式コメントを発表していませんが、関係するアーティストがTwitterなどでコメントを寄せています。

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    R.I.P. LOU REED
    ルー・リードが今日71歳で亡くなった。この訃報を知らせることは大きな悲しみだ。

    デヴィッド・ボウイは旧友に「彼は導師だった(He was a master)」と語りました。

    デヴィッド・ボウイOfficial(Facebook

    衝撃的な知らせだ・・・

    イギー・ポップ(Twitter

    安らかにルー・リード。そしてヴェルヴェッツよ、ありがとう。70年代、あなたは僕のインスピレーションだった。あなたがいなければ、この世にパンク・ロックは存在しなかっただろう!

    ビリー・アイドル(Twitter

    ルーがいなければ、デビッド・ボウイもいなかっただろう。俺? 多分数学の教師になっていたかな。

    ロイド・コール(Twitter

    ルー・リードよ、安らかに。美しく、ダークな、曲と詩をありがとう。10代から今日まで、ずっとインスピレーションだった。

    ニッキー・シックス(Twitter

    ルー・リードの訃報を聞いて悲しい。すごいショックだ。

    キム・ゴードン(Twitter

    RIP ルー・リード。安息の地へ歩んでくれ。(Walk on the Peaceful side.)

    ザ・フー(Twitter

    世界は優れたソングライター、詩人を失った…。僕は“学校の遊び仲間”を失った。

    ジョン・ケイル(Twitter

    【追記】

    偉大な友人であり、仲間であるミュージシャンに安息を。キミは世界を歌わせた。愛してるぜ、ルー!

    スティーヴン・タイラー(Twitter

    ルー、ワイルドサイドで安らかに眠れ。

    レニー・クラヴィッツ(instagram

    安らかに、ルー・リード。自分のルールでプレイしたミュージシャンであり、アーティストであり、開拓者だった。

    ポール・スタンレー(Twitter

    #RIPLouReed

    トミー・リー(Twitter

    俺はルー・リードが大好きだ。いつだって。

    フリー(Twitter

    ちきしょう!自分史上最高のヒーローかつ友人が逝ってしまった。
    安らかに、ルー!

    デイヴ・ナヴァロ(Twitter

    ルー・リードを失った現実をまだ受け止め切れていない。まだどうにかしようとしているんだ。これは事実じゃないと。

    スラッシュ(Twitter


    今日は遺作となった『Lulu』を聴こうと思います。
    lulu

    ご冥福をお祈りします。


    記事元:DDN JAPANBARKSUSA TODAY

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    伊藤政則のRockCityで放送されたメタリカ&ルー・リードのインタビュー(1)
    伊藤政則のRockCityで放送されたメタリカ&ルー・リードのインタビュー(2)

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    trujillosolo2013

    メタリカの新譜に関するロバート・トゥルージロのインタビューを中心に3つの記事を一気にご紹介(いずれも管理人拙訳にて)。まずはVH1 Radio Networkでのインタビュー。

    −新譜制作プロセスについて

    ロバート・トゥルージロ
    基本的にはジャムっているわけだけど、もう長い期間に渡ってそうしてきている。ツアーに行くときはセッション部屋を設けているし、スタジオでもって、どんな些細なリフやアイデアやコードのパターン、進行、ドラムやベースラインでも、俺たちが持っているあらゆるものが録音され、保管されている。それから俺たちは取捨選択のプロセスに入っているんだ。

    −新譜制作中のリフについて

    ロバート・トゥルージロ
    ジェイムズ・ヘットフィールドは、1000ものリフを持っていて、どれも素晴らしい。彼が生み出す最悪のリフが他のバンドのベストのリフってくらいにね。だから俺たちは恵まれているよ・・・。この恩恵は元凶でもある。何を捨てるべきか決めるのが難しいってくらい、たくさんのクールなアイデアがあるからね。少なくとも俺にとって、俺の立場からするとね。俺が毎回のように「おぉ、それはいいリフだな!」って言うと、ジェイムズが「いや、俺は好きじゃないな」って感じなんだ。分かる?でもそれからまた2週間くらい経ったら、彼はそのリフを好きになっているかもしれない。でもある種の取捨選択のプロセスなんだ。それが俺たちがやってきていることだよ。

    −取捨選択のプロセスについて

    ロバート・トゥルージロ
    それに伴うのは、アイデアを聴くことだったり、スタジオやセッション部屋に入ってそのアイデアを試してみることだったりする。そのアイデアを試すのに1分かかるかもしれないし、もっとかかるかもしれない。時おり、フルアレンジまでたどり着いてから、それを脇に置いて、8ヶ月後ぐらいにどれだけ(アイデアとして長い時間)持ちこたえているか知るために再検討するんだ。それから基本的には15曲かもうちょっとくらいのベストなアイデアになるまで絞り込んでいくんだ。

    BLABBERMOUTH.NET(2013-05-31)

    ジェイムズの手持ちのリフが1000を超えてました(笑)そして鶴次郎さん、ジェイムズの生み出すリフにベタぼれ状態の模様です(笑)

    続いては、新譜のプロデューサーについて語った南アフリカの「Muse」誌のインタビューから抜粋。

    Muse
    南アフリカで南アフリカ出身のプロデューサーとレコーディングをすることに興味をもったことはないですか?

    ロバート・トゥルージロ
    それは(ブラック・クロウズ、アイアン・メイデン、ドリーム・シアターとの仕事で知られる)ケビン・シャーレーのことかな?(ニヤリ)

    Muse
    ひょっとしたらと。(AC/DC、デフ・レパード、ブライアン・アダムス、マイケル・ボルトン、シャナイア・トゥエインなどと手広くプロデュースを行った)マット・ラングはすぐには空かないでしょうから(笑)

    ロバート・トゥルージロ
    Death_Magnetic(空くまでレコーディングを)続けられると思うよ・・・たぶん(笑)今は素晴らしいリフ、潜在的な曲やアイデアに集中している段階なんだ。そういったもの全てから一休みして南アフリカに来れたことは素晴らしいよ。8月にはアジア(サマソニでの来日とソウル公演)に行く予定なんだ。エキサイティングだね。10月には南米(リオ公演)に行く予定だよ・・・。重要なことから順番に、(まず)曲のための青写真を描き始めなければならない。そしてそれが出来る限り最高のものだと確信しないとね。それから、どのプロデューサーが起用可能か理解しないと。前回、リック・ルービンと素晴らしいアルバム(『Death Magnetic』)を制作した。依然として(リック・ルービンを起用する)可能性が高い。もちろん、そうなる保証は今は何もない。でも、メタリカに何かをもたらす素晴らしいプロデューサーがいれば、その人を調査することになるだろうね。

    Muse(2013-05-30)

    インタビューでも8月の予定を触れるようになって日本での公演が近づいてきたことを感じさせてくれますね。新譜のプロデューサーは前回と同じリック・ルービンでいくものだと思っていましたが、可能性は高いにしても今の段階では白紙状態のようです。

    最後は、デトロイトでのOrionフェスが近づいてきたということで「Detroit Free Press」でのインタビューから抜粋。

    −メタリカはファンの信頼を持ちえているか

    ロバート・トゥルージロ
    luluYesでありNoでもある。間違いなく、ルー・リードとの体験(『Lulu』)に対するレビューは賛否が混在していた。あれは驚くべき芸術的な声明だと考えている人もいた。多くのメタリカファンはあれをクソだと思った(笑)チャンスだったんだよ、流れに身を委ねるね。俺たちはただ素晴らしい時間を過ごそうとするだけなんだ。それが一番重要なことなんだ。「創造的であれ」ってね。うまくいくときもあれば、そうでないときもある。

    それこそがこのバンドを特別なものにしているんだ。メタリカがオーケストラに参加して一緒に演奏して、ルー・リードのような人物とコラボして、実際に未知の領域でちょっと即興をやったという事実がね。

    今、現役として活躍し続けるのにそれが重要なことなんだ。特に俺たちにとってはね。俺たちはたくさんのものから影響を受けている。俺たちは挑戦するのが好きなんだ。お金のために必要な仕事もあるけど・・・。

    俺たちは音楽によって感じた情熱を届けるためにいるんだ。ギターを手にしたら、また子供に戻る。それが他の多くのバンドと違うところだね。歳を取れば取るほど、こんな風に音楽とつながっていられる。俺たちはたくさんのリフを考え出した。問題は、1曲で全部を採用しようとすることだね(笑)まぁ嬉しい悲鳴ってところさ。

    今は新譜制作になかなか集中できないでいるんだ。他にもやることがわんさかあるからね。


    Detroit Free Press(2013-06-02)

    自分たちが出したものへの酷評に対して笑い飛ばせる度量のでかさは見習いたい。。加入から10年。鶴次郎単体でのメディア露出の増え方はメンバーとの信頼度と比例しているということなのかな。

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    ジェイムズ・ヘットフィールド、新譜用に700以上のリフを作る。

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    メタリカやU2の撮影でも知られる写真家、アントン・コービンの密着ドキュメンタリー映画『Anton Corbijn Inside Out』が現在海外で公開中とのこと。

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    監督のKlaartje Quirijnsは、「ロックファンは色んなロックスターがスペクタクルのようにしてどんどん登場することに目が奪われるだろうけど、私はただアントンにフォーカスをあてたかっただけ」と語る。実際撮影中、コービンをカメラに収めるためボノに"少し退く"ように指示したこともあったとのことなのでメタリカの出演も控えめなものになりそうです。。

    メタリカの出演シーンは、アントン・コービンがブックレットの写真撮影を行ったルー・リードとの共作『Lulu』制作中の頃。今のところ、日本公開は未定です。映画についての詳しい話は記事ネタ元のリンクにて。

    AOL Musicより(2012-09-19)

    YouTubeに映画の予告編やメタリカ出演シーンもアップされていたのでこちらもご紹介しておきます。

    予告編


    メタリカ出演シーン


    メタリカ出演で日本未公開の映画、たまってきたような。。
    ちなみにアントン・コービンは過去にメタリカの「Hero of the Day」「Mama Said」のPVも手がけています。

    Hero of The Day


    Mama Said


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    久しぶりの更新ですんません。
    今日はまたラーズ・ウルリッヒのインタビュー記事を拙訳にてご紹介。
    SPIN誌、かなりエグイ(と言うより怒らそうとしている?)質問をラーズにバンバン投げかけてます。

    120501-lars-ulrich

    SPIN
    「Orion」フェスのラインナップは多種多様だと、こうして我々は話していますが、Best Coastは参加バンド中唯一の女性フロントマンのバンドです。なぜでしょう?

    ラーズ
    俺たちは何も「フェスのタイムスケジュールに女の子がフロントマンのバンドを入れないと。あとミシガン州のカラマズーから誰か呼ばないと。ベーシストが双子のバンドを見つけないとな。」なんてやってるわけじゃない。俺たちには統計学上の要件なんてないんだよ。(Best Coastは)信じられないぐらいよくできた曲を書くんだ。

    SPIN
    あなたにとって「Orion」フェスのチケットに150ドル(2日間の通しチケット代)要りますか?

    ラーズ
    俺たちは「Orion」を弾くためにそのお金を支払ってもらうわけじゃない。全部まとめるのに1000万ドル近くかかっている。「メタリカが小切手を切りそうだ」とならないように他のどこかからその額にしないと。

    SPIN
    無料の音楽がこれだけ広がったことを考えると、ファイル共有ソフトと戦ったのは負け戦だったんでしょうか?

    ラーズ
    (メタリカのナップスターとの争いから)12年経って、俺の時間を消耗したりしないよ。何千回と聞いたよ。「ラーズ・ウルリッヒはどんだけがめついのか?」ってね。俺はもう充分な金はある。これは選択についての話だ。キミなら自分の音楽を手離したいと思うかい?お菓子のオマケで売るかい?それはキミの選択であるべきなんだ。

    SPIN
    違法にメタリカの音楽をダウンロードした人たちの名前を要求することはあまりに遠回りな一歩ではありませんか?

    ラーズ
    俺たちは名前は求めていない。みんなが俺たちにこう言った。「誰がこれをダウンロードしたかわかりません」ってね。そこで俺たちは「そんなことは信じられない」となって、30分でその名前を俺たちに提供した、そういう会社を雇ったんだ。でも(ナップスターは)広告が上手かったね。俺たちはいつも善人だったのに、突然、がめついテクノロジー嫌いの集まりになったのさ。全てが奇怪だったね。

    SPIN
    奇怪と言えば、『Lulu』への反応はあなたを驚かせたのではないですか?

    lulu_cover_lg


    ラーズ
    覚悟していたよりもかなり悪意あるものだったよ。特にルー(・リード)に対してはね。彼は優しい人間だからね。でもメタリカが衝動に任せてリフを弾き、ルー・リードが150年前のドイツのボヘミアンについての抽象的な詞を吟唱するとなると、受け入れるのが難しい場合もあるだろうね。

    SPIN
    そんな優しいルーが「俺は一番鋭いカッターを飲み込む / さながら有色人種のイチモツのような」(『Lulu』収録曲「Pumping Blood」の一節)といった歌詞を携えてやってきたときに考え直すことは全くなかったのですか?

    ラーズ
    ミズーリ州ケープジラードの13歳の少年だったら、そういったことで少し畏縮するに値したかもない。でも1960年代後半にコペンハーゲンのアート・コミュニティで育った誰かさん(ラーズ自身のこと)にとっては想定内さ。

    SPIN
    ルーが「何が気に入らないんだ」といったようなことをあなたにみせたことは一度もないんですか?

    ラーズ
    一度、外の世界でどう物事が働くかについて何か指し示さなければならなかった。彼は熱くなって気にしていたよ。彼は俺にストリート・ファイトを挑んだ。かなり恐ろしい提案だったね。何しろ彼は格闘技の専門家で、剣と大差ないからね。俺にとって良かったのは、おおかたの48歳のミュージシャンよりは、俺の方が速く100メートルダッシュができるってとこかな。

    SPIN
    メタリカのこれまでの経歴のなかで一番当惑したのはどの瞬間ですか?

    ラーズ
    それには簡単な決まり文句があるよ。「あなたたちが自分の髪を切った『Load』アルバム」みたいなね。そういったことも、そうあることは誇らしいと俺は思っている。俺はインタビューで口に出来るような「自分がこう変わりたい5つのこと」なんてリストを持ち歩かない。

    SPIN
    ひとつ挙げるとすると、どうですか?

    ラーズ
    忘れもしないのは99年の夏のことかな。ヨーロッパツアーから帰ってきて、ラジオで「Nookie」って言ってた曲を聴いたんだ。リンプ・ビズキットがこの曲を出していた頃、俺たちはオーケストラとレコーディングしていた。俺たちはまわりを忘れて自分の世界に没頭していたんだ。でも当惑したとは言えないかな。



    SPIN
    世界のなかでメタリカが占める位置が脅かされないことは、あなたたちが制作する音楽に影響しますか?

    ラーズ
    俺たちは『Ride the Lightning』をカルフォルニア州エルセリトのガレージとニュージャージ州のどこかの地下室で書いた。ブラックアルバムが無数に売れたときよりも、良いアートのために役立ったか?そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

    SPIN
    『Death Magnetic』のカバージャケットが毛深い女性器に見えるって知ってます?

    Death_Magnetic

    ラーズ
    もっとたくさん別な風に見えることだってありうる。でも、もちろんそのことには気付いているよ。

    SPIN(2012-05-02)

    さすがに幾多のインタビューをこなしてきただけあります。
    挑発的な質問にも落ち着いて答えてます。

    しっかしこんな武勇伝をお持ちのルー・リードとケンカとかしたくないわなぁ。。
    http://ro69.jp/news/detail/57450

    コメントへの返信はまた後ほど。

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    ルー・リード、メタリカとコラボでファンから脅迫

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    ワシントンDCのラジオ局「DC101」でラーズ・ウルリッヒが厳しい批評を受けた『Lulu』について反論をしました。ラーズ節全開です。訳していたら、多少べらんめぇ調になってしまったのはご容赦ください。

    (ファンからの『Lulu』に対するリアクションを訊かれて)

    ラーズ「ほんのわずかな食い違いで全て失ってしまうなんてことは、これまでに学んだろ。この2012年はインターネットでみんなが自分の意見を発信できる素晴らしい時代さ。そしてインターネットはコミュニケートし、世界をより密接にする驚くべき媒体だ。でもアーティストや何か創っている人としては、そこでみんなが話していることにどれだけ深く入り込むべきか気をつけなきゃ。気持ちをもてあそばれるからね。まぁ俺はいつも鈍感だから、そんなにイラつかせることはなかったよ。

    ただルー・リードにとっては厳しかった。なぜなら彼は自ら全て受け止めてしまったからね。驚いただろうね。俺たちは彼にずっとこう言っていたよ。「聞いてくれ。超超超ハードコアなメタルファンのなかには、こんなちっちゃな特定の包装済みの箱の中にいるような奴らがいるんだ。そして、ちょっと方向を箱の外側に向けた途端、そいつらはヘルニアになっちまうんだ。」とね。(この表現は)最高だろ、我ながら。みんな理解すべきなんだ。そう、俺はこんなことをこの30年の大半ずっと言ってきたんだ(笑)これの違う言い方はないか、いまだに考えようとしているよ。でも、もう同じ表現で煮詰まってる。

    【メタリカ】においては、俺たち自身のために自分を揺るがし続ける必要があるし、別のことや別の体験を試み続ける必要があるってこと。それこそが創造的に生き残るのに必要なことの一部なんだ。だからルー・リードのような生ける伝説、アイコンが電話をしてきて「俺とレコードを作りに来ないか?」となれば、「OK。あなたとレコードを作りに行くよ。」と、こうなるのさ。それから冒険に飛び出して、そこから受け取ったものがわかる。あのね、それこそが【メタリカ】でいることの素晴らしさなんだよ。俺たちはそういったことができるし、誰にも本当に応える必要もないし、誰からも金を得ようとどうにかするとかそんなこたぁ必要ないんだ。そいつは贅沢ってもんだよ。(こんなことを言うと)不快に思う人がいるというのもわかる。なぜなら、そいつらは【メタリカ】にして欲しいと思うことだけを【メタリカ】はやってくれと思っているからね。でも俺はそんな風には生きられない(笑)

    このレコードを作った体験というのは本当にマジで楽しかった。このレコードに対するリアクションは確かにちょっと厳しかった。衝動的で美しいもの、そして為すがままのものを作ったと感じていただけにね。でも面白いことに、数週間前、2〜3日おきにハワード・スターン(※訳注:際どいネタをしばしば言う人気ラジオ・パーソナリティ)が「Junior Dad」をラジオでかけて、最初にこのレコードを聴いたとき、いかに自分が誤った見方をしていたか、そしていかに「Junior Dad」が信じがたい美しい曲であるかを話し始めたんだ。彼は1週間まるまる聴いて、みんなに同じように聴きまくることを薦めたんだよ。それから俺はLAウィークリーか何かでちょうど記事を見かけたんだ。誰かが俺に送ってくれてね。『Lulu』がいかに2011年に実在する「本物」のアルバムかっていうことが書いてあった。でもこれから先20年間、誰もそれを認めようとはしないよ。まぁ1人ずつ(良さに気づいたショックで)粉々に崩れていっている(笑)今から約900年後には互いに包み隠さず面と向かって『Lulu』のことを話すことができるんじゃない。その日が来るのを楽しみにしているよ(笑)」


    BLABBERMOUTH.NET(2012-02-22)

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