メタリカ情報局

メタリカを愛してやまないものの、メタリカへの愛の中途半端さ加減をダメだしされたのでこんなブログ作ってみました。

       

    タグ:ピーボディ・エセックス博物館

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    既報通り(関連記事参照)、カーク・ハメット所有の映画ポスターコレクション展「It's Alive」が2017年8月12日から開催されます。これに伴い、ボストンの地元FM運営のwburによる同展覧会のプレビュー記事を管理人拙訳にてご紹介。

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    1931年の傑作映画でのフランケンシュタイン博士の有名な喜びの叫びは、今、セイラムのピーボディ・エセックス博物館(以下、PEM)での新しい展覧会にぴったりのタイトルになった。
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    「It's Alive」はメタリカのリードギタリストであり、熟練のコレクターでもあるカーク・ハメットが数十年に渡って情熱をかけて集めてきた珍しいヴィンテージのホラー映画やSF映画のポスターを展示している。

    54歳になるミュージシャンは、気味悪くも素晴らしいポスターコレクションの種は早くにまかれたと語る。「5歳の時からホラー映画というジャンルに夢中になってきた」彼はそう振り返る。それは興味の入り口となった1962年公開の地球外の植物のような生き物が乗っ取りにかかる、背筋を凍らす白黒映画『The Day of the Triffids(邦題:トリフィド時代)』と出会った時のことだった。「あの瞬間から俺は夢中になったんだ」ハメットはそう語った。

    生涯に渡るファンとなった彼は1921年の『The Cabinet of Dr. Caligari(邦題:カリガリ博士)』から1979年の『Alien(邦題:エイリアン)』まで全てを網羅するオリジナルのホラー映画やSF映画のポスターを追いかけ、買い集め、保存することに取りつかれるようになっていった。

    100以上の新品同様の掘り出し物がPEMで展示される。こういった作品はほとんど現存していないため、(その価値を)証明するのだと語る。

    「これは俺の目標なんだ。過去25年くらいはこういった多くのポスター、特に1920年代と30年代のポスターには、どれだけ美しいデザインやグラフィックがあるかを認識を高めるものだった。」彼はそう語る。
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    『Dracula(邦題:魔人ドラキュラ)』『The Mummy(邦題:ミイラ再生)』『Frankenstein(邦題:フランケンシュタイン)』は1931年から1932年の1年半のあいだに公開された。彼らはモンスターの妻子というスピンオフ作品を生み出した。40年代には『The Wolfman(邦題:狼男)』があり、「50年代には『It Conquered The World(邦題:金星人地球を征服)』みたいな不気味なSF映画が全て登場したんだ」とハメットは私に語った。

    彼のリストはまだ続く。

    ハメットは、スタイル、感情、そしてマーケティング手腕に精通しており、ヴィンテージのポスターにそれを詰め込んだ。もしこれらの作品の表現と共に時間を過ごせば、そういったものも発見することになるだろう。

    彼はこれらの作品がロマンス映画が興行収入を支配していた時代に作られたがために意味があり、ただ良質な恐怖以上のロマンチシズムと優雅さを伝えると信じている。ポスターはビジュアルを伝えるタイムカプセルのようなものだ。これらは今日我々がシネコンで観るようなものは一切ない。

    HAM-085博物館のギャラリーに入ると、まず『Frankenstein』と対面することになる。彼の巨大な赤い色の顔は6フィート(約180センチ)ものフレームという境界から半開きの眼で目線を送る。

    PEMのキュレーター、ダン・フィナモアは「It's Alive」をこう説明する。「このポスターは唯一現存するものの一例です」20世紀のハリウッド映画のためにたくさんのポスターが作られたが、ほとんどは破棄されてしまったと彼は語る。

    「これら多くのポスターはユニークなんです。その多くは非常に希少なもので、他のものには利用できないため、ほとんどの人が観たとは思えない代物なのです。」

    この1931年の『Frankenstein』のプロモーション広告は、映写室に封印されたためにたまたま生き延びた。フィナモアが語るところによると、70年代に発見されたのは、労働者たちが壁を突き壊した時だという。キュレーターによると、他のオリジナルの『Frankenstein』のポスターはこれまで発見されていない。

    海洋アートギャラリーで通常働いているフィナモアは、異世界がテーマの展覧会のための面白いキュレーターのリーダーとなっている。

    フィナモアはPEMが情熱的なエネルギーで斬新な展覧会を創り出そうとしていると説明した後、海洋コレクターがフィナモアとハメットを繋いだと言う。「(海洋コレクターの)彼が笑い始めて『あんたが会うべき人を知っているよ』と言ったんです」フィナモアはそう振り返る。

    今、フィナモアは自身が作っている展示に自身を駆り立てている。『Frankenstein』のポスターの横に立ち、モンスターの消すことのできないイメージに驚いている。

    数歩離れると、緑色でしわくちゃの、防腐処理によって乾燥しひび割れた顔の1932年公開『The Mummy』の驚愕のポスターに魅了される。「非常に抽象化された色彩が重ねられています。リトグラフの黄色・オレンジ・赤のクレヨンの色彩が彼の後ろに広がっているけれども、彼は実際には静かにしているように見えるのです。」フィナモアはそう評価する。

    キュレーターにとって、これらの展示されたアートワークは、個人的な反応を呼び起こす力を秘めており、それこそが博物館の目標だ。

    「いくつかのイメージでは、展覧会を歩いてコレクションを見ていくと、以前に観たことがあると気が付きました。しばらく自分の脳に留まっていたんです。何年か前にこれを観た時には自分の記憶には残っていなかったのに。まだ脳の中にあったんですよ。それが魅力的なものだと分かりました。間違いなく効果的な広告ではありますが、大きな影響力のあるアートでもあるのです。」フィナモアはそう語る。
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    Original_Book_Images_-413フィナモアは、展覧会の説明をつけるため、何千ものハメット所有のポスターをくまなく調べ勉強したと語る。彼はホラーやSFファンを超えて、オリジナルの『The Mummy』や『Creature from the Black Lagoon(邦題:大アマゾンの半魚人)』や『The Crawling Eye(邦題:巨大目玉の怪獣/トロレンバーグの恐怖)』を観たことのない人たちにも伝わればと期待している。

    展示は、創造的なマーケティングツールとしてのポスターの進化を追っている。また冷戦時代のあいだにうつ病の不死身のモンスターから宇宙からの侵略者まで、社会的な恐怖がそれぞれの時代の映画のスクリーン上でどう繰り広げられていたのかを探っている。

    1951年の映画『The Day the Earth Stood Still(邦題:地球の静止する日)』で出てくる空飛ぶ円盤の音がギャラリーのある箇所でループ再生されている。ハメット所有の映画小道具や衣装のサンプルが遠くの惑星や汚れた沼地へと観覧者を誘う。また壁には映画のシーンが投影される仕掛けだ。

    しかし、フィナモアはこの展示はあくまでポスターが主役だと語る。メジャーのスタジオはアーティストが描いた作品に署名をすることを許さなかったため、これらのポスターに才能を注いだ彼らはほとんど知られていない。

    キュレーターは博物館のなかで一流のデザイン、油絵、リトグラフ技術に光が差すと考えている。

    「これらの作品たちは、適切に展示され、照明を当てられている。これはポスターが元々展示されていた状況とはまったく異なります。(そのままの展示では)あまりに多くのポスターがあるので、歩いていると人々は当たり前のように受け取っていたと思う。(こういう展示の仕方をすれば)これらの作品に反応して惹き込まれずにはいられないでしょう。」

    訪問者の反応に特に興味を持っているのは、最近PEMで働き出した神経科学者のスタッフ、テディ・アッシャーだ。興味深い?彼女は博物館が脳の研究とアートの共通点について意図的に関与する方法を探るために雇われた。

    「(作品を観て)『彼らの手は汗をかくのか?吐き気を催すか?』vs『実際に怖がっているか?』2つの反応を演技システムの反映として認識している」と彼女は示唆する。「それが私の好奇心の向かうところなんです」

    ハメットは自分のコレクションに反応する独自のやり方がある。

    「映画ポスターは音楽的なインスピレーションの絶え間ない源となっている。俺のギタープレイの多くはとてもダークなんだけど、これらの映画ポスターによってその滋養をもらっているんだ。」
    とメタルギタリストは語る。

    ハメットには『The Mummy』『Frankenstein』のポスターイメージが描かれたカスタムギターのコレクションもある。それらも展覧会で展示されている。しかし、これらがミュージシャンの家にある時、ハメットは弾きながらそれらの魅惑的な顔を眺めるのが好きなのだ。
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    「It's Alive」はPEMにて8月12日から開催される。8月19日にはハメットが出席して、サイン会とパフォーマンスイベントを行う予定だ。

    wbur(2017-08-11)

    PEMと姉妹館提携をしている大田区立郷土博物館によると、常設展には日本美術展示室もある模様。
    http://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/manabu/hakubutsukan/kyoudohakubutsukan_pem.html

    今回の展示図録はネット販売されていますが、北米(アメリカ、カナダ)のみ対応とのこと。
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    https://pemshop.com/products/its-alive-classic-horror-and-sci-fi-movie-posters-from-the-kirk-hammett-collection

    【追記】
    会期中、同博物館にて、カークの出したコレクション本「Too Much Horror Business」のサイン付き特別帯添付版や限定のモンスターピンが発売されるとのこと。
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    2017年8月、ピーボディ・エセックス博物館にてカーク・ハメット所蔵の映画ポスター展開催

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    アメリカ北東部マサチューセッツ州にあるピーボディ・エセックス博物館(以下、PEM)にて、カーク・ハメット所蔵のSF映画やホラー映画のポスター展が開催されるとのこと。開催期間は2017年8月12日から同年11月27日まで。PEMの公式発表を管理人拙訳にてご紹介します。

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    最高のロックバンド、メタリカの有名なギタリストとして知られるカーク・ハメットは、古いホラー映画やSF映画ポスターの熱心なコレクターでもあります。視覚的に目を引く、これらのポスターは急成長を遂げたハリウッド黄金時代の有力な歴史的事物であり、ポスターデザイン自体が芸術そのものだった頃の時代を思い起こさせます。

    展覧会では90点の作品を通じて、ハメットの収集遍歴と共に彼がこのコレクションから自身のゴシックな創造性をどのように触発されたのかを追いかけます。ポスターおよび収集価値のあるエレキギター、モンスターのマスク、彫像といったその他の記念品は、該当する映画のクリップや、ホラー映画・SF映画の進化への洞察力と呼応するものとなっています。

    PEM(2016-09-16)

    以前にサンフランシスコ国際空港で行われたコレクション展よりも規模が大きなものになりそうです。(関連記事参照)

    ちなみにこの博物館、かつて日本の大森貝塚を発見したモース博士が館長を務めていたそうで、その縁で大田区立郷土博物館が姉妹館提携されているとのこと。

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