メタリカ情報局

メタリカを愛してやまないものの、メタリカへの愛の中途半端さ加減をダメだしされたのでこんなブログ作ってみました。

       

    タグ:ゲイリー・ムーア

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    ピーター・グリーン、ゲイリー・ムーアがかつて所有していた伝説的レスポール、通称「Greeny」をカーク・ハメットが購入したのが2014年。これまで入手した経緯など詳しいことがわからなかったのですが、ミュージシャン向けサイト「MusicRadar」のインタビューで、カークがこのギターを入手した経緯などたくさんのエピソードを語ってくれています。いつも通り管理人拙訳にてご紹介。

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    −カーク・ハメットがピーター・グリーンの象徴的な1959年製レスポールを買ってからしばらく経った。5月からこのギターが使われるメタリカのニューアルバムのレコーディングが始まっていた。ギタリストたちは「Greeny」がどういうものなのかを観ていき、カークへの道を辿ってみよう。

    楽器がそれを使ってきたミュージシャンたちと同じくらい有名になるのは珍しいことだ。その点で、ピーター・グリーンのレスポールは極めて選ばれしものなのだ。もともとはジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズのステージで使われ、このギターは並外れたオーラだけでなく、素晴らしい音色を持っている。

    ミドル・ピックアップの位置で楽器の音色が相当違うのは何なのか、ある人は憶測で、またある人は知識に基づいて、多くの言葉で語られてきている。ピーター自身は、このギターを持っていた時に配線には触れなかったが、(いつも)買ったその日のように聴こえたと言っている。ネックとピックアップが単に裏返しになっているのとは対照的に、その謎の核心はポールピースが裏返しになっているのだと考えると刺激的だ。とにかくこのレスポールはブルースブレイカーズでの悪名を轟かせただけでなく、フリートウッド・マックで多くのレコーディングやライヴでも目玉となっていった。

    ピーター・グリーンが1970年代初頭に謎めかして音楽シーンを退いた後、ギターはもう一人の伝説的ギタリスト、ゲイリー・ムーアの手に渡った。ゲイリーはあるインタビューで、ある日ピーターに電話で呼ばれ、彼がこのギターを売ろうとしたが支払いを拒否したと語っている。

    結局、ゲイリーは実際に使っていたギブソンSCを売った金をピーターに払うことで妥結し、取引は完了した。長年に渡り、このギターはそれまでより多くのレコーディングやライヴに登場するようになった。だいたいはそれ以前よりもずっと大きな音量で。

    90年代半ばにはアルバム『Blues for Greeny』で元師匠にトリビュートを捧げて、ピーター・グリーンの楽曲の再録であの哀しげな「Out of Phase」をもう一度聴くことができた。ゲイリーは10年前ぐらいまでレスポールを持っていたが、このギターは売られて公衆の前から消えて行った。

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    Blues For Greeny

    物事は変わっていくものだが、メタリカのギタリストが関わった、いささか論議を呼ぶ売却となった。ヘヴィロックバンドにピーター・グリーンの貴重なギターを?その次は何なんだ!しかしそういう偏見はさておき、我々はカークが最も直近のギターのオーナーとなってものすごく興奮していると言わねばならない。我々と話した時、彼はスタジオへ向かう道すがら、興奮して積極的にくだけたことを話し、この聖遺物ギターがどのように彼の手に渡ったのか非常に熱心に詳細をシェアしたがっていた。

    「まぁ本当に奇妙だろうね。過去に他のギターのように、あれを追い求めてはいなかったから。本当に積極的に特定のギターを追い求めて、うまくいった。ある日、ロンドンのホテルの部屋にいた時に、友人にメールをしていたら、彼が『あっそうだ、キミに見せたいギターがあるんだ。』ってきたから、俺は『OK。わかった。持ってきてくれ。』って。それだけのことだったんだ。」

    「そして彼が俺に見せたいギターを持っていると言った時、十中八九、ヴィンテージのギターでレスポール・スタンダードだろうなと思った。そいつはそういうタイプのギターを持っていることで良く知られていたからね。そしたら彼は他の人を連れてやって来た。彼らはヴィンテージのマーシャル・コンボも持ってきたんだ。彼がギターケースを持ってきて開けるとすぐにそれが何かわかったよ。ピックアップのネジが逆さまになっていたからね。」

    greeny-front

    「俺はもう『おいおいおいおいちょっと待ってくれよ。ちょっと待て。このギターのために200万ドルも持ってないぜ』ってなったよ。そしたら友人は『バカ言わないでくれよ。俺はこれの由来なんて知らないんだ。10年か12年前にはそれが元々の値段だったかもしれないけど、それから(値段は)まともになっているよ。』」

    「俺は『素晴らしい』って言うと、それをヴィンテージのマーシャル・アンプにつないで弾いてみた。30秒ぐらいして俺はこう思った。『おぉこれはただのレスポールじゃないぞ・・・』そしてミドルポジションに移行した。それが(このギターが)崇拝されてきた音だからね。弾き始めたら『なんだこりゃ、こいつは全部メチャクチャだ。』って思ったね。」

    「ブリッジポジションやネックポジションでは信じられないほど素晴らしいレスポールのサウンドだったけど、ミドルポジションになると100ワットのマーシャルを通したストラトみたいに聴こえるんだ!」

    「なるほどなるほどと。俺は「Greeny」が何なのか完璧に理解したよ。歴史の側面を知れば、これら全てのアルバム、全ての素晴らしい音楽に使われていたという事実がある。でもそういうことを差しおいても、ありのままの事実として、これは素晴らしいサウンドのギターだということだ。ぶっ飛ばされたし、全てがうなづけるものだった。」

    −ギターを所有することになってどんなお祝いをしましたか?

    「最初に俺がやりたかったのは、その夜にステージで使うこと、そして「Whiskey In The Jar」を弾くことだった。「Whiskey In The Jar」を弾いた時のあのギターの可能性は莫大なものだったからね。だから初めてステージで弾いた時、必要とされ望まれた場所に俺が持ち帰ってきたように感じたんだ。あれ以来、正直言って俺が「Greeny」を買ったよりも高い値段で売られている他のギター、他のレスポールの話を聞いてきた。ある程度、俺は適切なタイミングに適切な場所にいたってわけさ。所有者が現金を早く必要としていたし、俺にはそれが出来たし、あのギターを確実に手に入れることができたわけだからね。それから俺たちは他の全ての問題についても丸く収めたんだ。」

    「でもこれは前に言ったかと思うんだけど、俺があのギターを実際に買ったというニュースが流れ始めると、聞いたこともない人たちや「Greeny」の体験についてそれまで話したこともない人たちからいろんなEメールが来たよ。」

    「あのギターは独自の世界、独立した迫真性を持っているし、完璧に自分を際立たせてくれるから、まったくもって完全に驚異的だ。俺は独自の個性を持ったギターを持ったことがなかった。完璧な独自性だ。その事実を同じように愛しているよ。」

    greeny-rear

    −そのギターをどのように弾くのが好きですか?

    「レスポールにしてはかなり軽い。俺は断然重いレスポールを持っているけど、驚くべきことはネックがかなりの厚みだということだ。薄いネックも厚いネックもV字ネックもプレイできるけど・・・どんなネックをよこそうともプレイできるから、俺にとっては問題にはならなかった。」

    「「Greeny」で(フリートウッド・マックの曲)「Oh Well」や「Albatross」を弾くと、レコーディングしたみたいに聴こえる。驚きだね。「Oh Well」をアンプラグドで弾くと、アコースティックのようだし、まさしく「Greeny」のサウンドなんだ。一番驚いたことだ。反響音もとんでもないものだ。かなりラウドだし、音の塊がたくさんあって、アンプ無しでも音色が響き渡る。」

    「あのギターを手に入れてすぐに、ジョン・マーシャルに手渡した。彼は俺の永遠のギターテクで、短い期間、実際にメタリカとプレイしていた。彼に『「Oh Well」を弾いてみろよ』って言って、彼は弾き始めると『おぉ!まさしくこれだ!』となった。『だろう!?信じられるか?』ってね。それを持ってるんだぜ。本当に息をのむほど驚くよ。」

    −あなたはピーター・グリーンの大ファンだったのですか?

    「あぁもちろん。ジョン・メイオールのアルバムだけじゃなく、フリートウッド・マックのアルバムでの彼のプレイが本当に大好きなんだ。俺は本当にもう「The Supernatural」って曲が大好きでね。彼が音を奏でる時、全てを物語っているから大好きだよ。」

    「時々、「Greeny」を取り出しては、「Black Magic Woman」とか「Coming Home」とかを弾くんだ。そこにはフィーリングがある。まさしくね。ただただ信じられないよ。俺にとって本当に驚いたもう一つは、あのギターが俺の好きなシン・リジィのアルバムのひとつ『Black Rose』でも使われているってことだね。」

    blackrose
    Black Rose


    「ピーター・グリーンが大好きだし、彼の演奏も大好きだ。もしピーター・グリーンがいなかったら、カルロス・サンタナもいなかったかもしれない。俺はそこに直接的な関係を見るんだ。直接的な影響がある。」

    −あなたはこのギターを使用し続け、個人的なコレクションとしてしまい込むことはしないつもりですか?

    「もちろん。俺はギターをただじっと観るためにむやみに欲しがって買うようなヤツじゃない。それはヴィンテージ・ギターの死だよ。ギターは演奏するために出来てるんだから。演奏すればするほど、サウンドが良くなる。演奏すればするほど、ギターの反応が良くなる。俺は「Greeny」を買った。期待に胸を膨らませて、文字通り、次のショーまでに4、5万人の前にしたステージに上がったんだ。」

    「ちょうど今、スタジオに向かっているんだ。ギターテクに『「Greeny」をチューニングしておいて。今日、使うから。』ってメールしてたよ。俺は試してみて、あのギターが持っている3つの主要なサウンドを全て使うつもりなんだ。」

    −そのような崇拝する楽器を持つことがどういうことなのか、まとめることはできますか?

    「もう本当に狂気じみてると思うのは、ミュージシャンがやってくると、彼らは俺が「Greeny」を持っていることを知っていて、いつもあのギターと一緒に写真を撮ってくれとお願いされるんだ。もし俺のカミさんが有名な映画女優か何かだったらこんな感じなのかなと思ったら笑えてくるよ。いつも誰かがやってきては俺に『私とあなたの奥さんで写真を撮っていいですか?』なんてね。」

    「俺はいつも脇へ退いてカメラマン役だよ。それが「Greeny」を持つってことだね。これまでに俺が持っている他のギターよりも、たくさんあのギターとみんなとの写真を撮ってきた。」

    「「Greeny」自体が独自のファン層を持っているんだね。驚いちゃうよ。たくさんの人があのギターを演奏してきた。ジミ・ヘンドリックスもあのギターを演奏してきたし、ロリー・ギャラガーもジェフ・ベックもジョージ・ハリスンも・・・演奏した人リストは延々と続くんだ。」

    「あのギターを観たその日の夕方、友人を介してジミー・ペイジにメッセージを送ったんだ。『ジミー、このギターについてどう思う?』そしたらジミーの反応はこうだった。『そのギターなら覚えているよ。絶対に買うべきだ。』俺はジミー・ペイジの承認ありでレコードであれを使うべきだと思ったんだ。ジミーが『そうだ。それを買うべきだ、カーク』と言ってくれた、あれ以上のものはそうはないよ!」

    MusicRadar(2016-08-08)

    ちなみにGuitarWorldの記事によると、ゲイリー・ムーアがピーター・グリーンからこのギターを買った時の値段は、ピーター・グリーンが買った時と同じ、たったの300ドル。ゲイリー・ムーアが2006年に手離した時に売られた値段が75万ドルから120万ドルだったと言われているとのこと。

    新曲「Hardwired」のギターソロで使っているのがメイキング映像で確認できますが、新作『Hardwired...To Self-Destruct』発表後のインタビューでどの曲でどのように使っているのか語ってほしいところです。
    https://metallica.com/videos/30975/riff-charge-the-making-of-hardwired

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    昨年、カーク・ハメットが購入した伝説のレスポール。再現モデルを出していたギブソンが、このギターについての記事を掲載していたので管理人拙訳にてご紹介。

    素晴らしいビンテージ・ギターを演奏せずに金庫にしまい込もうとする考えは、多くのミュージシャンにとって冒涜だ。昨年、メタリカのカーク・ハメットはゲイリー・ムーア、ピーター・グリーンが所有していたレスポールを購入したことで、このとりわけ魅惑的なギターを奏で続けることを請け負った。

    この週末、カークは自身の主催するホラーフェス@FearFestEviLのツイッターアカウントにて、なぜこの伝説的な1959年製レスポールを購入したのかをファンに説明した。「最高のトリビュートは、投資のためにだけ買う人々によってギターが放置される代わりに、再び演奏されるってことなんだ。」

    カークはすでにステージでこのギターを使っている。とりわけシン・リジィによって1970年代初頭にロックアレンジされたことで世に広まった伝統的なアイルランド民謡「Whiskey in the Jar」を演奏するときに。

    ギブソンはこのギターを「Collector's Choice™ #1 1959 Les Paul Standard」として再現。カーク自身のギブソン・フライングVの再現モデルもギブソン・カスタムで発売中。

    Gibson(2015-01-05)

    kirk_lespaul

    リンクをたどって件のレスポールの販売ページにいってみると、こうして取り上げているにも関わらず、すでに「out of production(生産中止)」になっていました(^^;

    このギターについては下記サイトにそれぞれ詳しく書かれていたので勝手ながらご紹介しておきます。

    ピーターグリーンのレスポール
    http://blogs.yahoo.co.jp/masa72z1/18332885.html

    伝説のレスポール Peter Green's 1959 Les Paul
    http://ameblo.jp/super55/entry-11592118904.html

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    カーク・ハメットが先日2月6日に急逝したゲイリー・ムーアに
    どれだけ影響を受けたかを語っています。

    【メタリカのカーク・ハメット、“メタル・マスター”の
    ギター・ソロはゲイリー・ムーアへのオマージュと明らかにする】


    2月6日におそらく睡眠中の心臓発作で亡くなった
    ゲイリー・ムーアだが、メタリカのギターの
    カーク・ハメットはゲイリーの熱狂的なファンだった
    ことでも知られ、自分に影響を与えた5大ギタリスト
    のひとりだったと語っている。

    ちなみに、ほかの4ギタリストはジミ・ヘンドリックス、
    エディ・ヴァン・ヘイレン、スティーヴ・レイ・ヴォーン、
    マイケル・シェンカーだとか。

    カークはメタリカでの自身の演奏でもゲイリーからの影響を
    反映させていて、メタリカの代表作ともいわれる1986年の
    『メタル・マスター』のタイトル曲“メタル・マスター”
    のオープニングのギター・ソロのフレーズも実はゲイリーが
    得意していたギター・フレーズを借用してきたものだと
    カークはローリング・ストーン誌に語っている。

    特にゲイリーのブルース・アルバムを初めて聴いた時には
    ゲイリーのギターのスタイルだけでなく、ギターの音色
    そのものに「ぶっ飛んだ」とカークは語っていて、カーク自身、
    ゲイリーのサウンドとフィーリングだけをベースにしたリフも
    いくつか書いていて、そのリフを使った曲が1991年の
    『メタリカ』収録の“ジ・アンフォーギヴン”なのだとも
    明かしている。

    そんな自身にとってのヒーローといってもいいゲイリーに
    カークが実際に初めて会ったのは意外にもわずか1年半前の
    ことだったとか。

    「ドイツのホテルに泊まってて、ホテルのジムに行こう
    としてたんだよ。5階でエレべーターに乗ったら、
    4階で止まって、そこにゲイリー・ムーアがいきなり
    乗り込んできたんだ。もう信じられなかったね!」

    「すぐに自己紹介してさ、どれだけ影響を受けたかっていう
    話をさせてもらう機会にありついたというわけなんだ。
    実は一時期ゲイリーは最近のギタリストで自分をパクっている
    やつに非常に腹を立てていたっていう話を聞いていたから、
    俺もちょっとビクビクもんだったんだけどさ、あれ以上に
    優しく接してもらうことは考えられないっていうくらいに
    対応してもらってね、今振り返ってみて、本当にああやって
    会える機会に恵まれてよかったと思うよ」

    ro69.jp(2011-02-10)

    改めてその影響を受けたという2曲を。

    Master of Puppets


    The Unforgiven



    R.I.P.

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