メタリカ情報局

メタリカを愛してやまないものの、メタリカへの愛の中途半端さ加減をダメだしされたのでこんなブログ作ってみました。

       

    タグ:クリフ・バートン

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    プロレスラー、ミュージシャン、俳優などマルチな活動を行っているクリス・ジェリコのPodcast「Talk Is Jericho」にてラーズ・ウルリッヒがクリフ・バートンとのエピソードを語っています。GuitarWorldさんの文字起こしを管理人拙訳にてご紹介。

    Lars_Jericho

    『Kill 'Em All』と『Ride The Lightning』の違いに耳を傾けると、明らかに大きなものがある・・・"パレット"が広げられたね。

    それまでハーモニーやメロディーを試してみたことはなかったんだ・・・「For Whom The Bell Tolls」でのメロディー、「Fade To Black」でのとてもメロディアスなアウトロ、そういったものは全部クリフが持ち込んだものなんだよ。「Fight Fire with Fire」のイントロも大体は彼のアイデアだ。全ては彼が持っていたクラシックの素養から来ているものだね。

    彼はクラシック音楽を学んでいたし、バッハやベートーベン、チャイコフスキーについてじっくり話すことができた。1981年にジェイムズ・ヘットフィールドと俺はクラシックな試みについて多くを語るなんてことはしなかった。わかるでしょ?(笑)俺たちはもうちょっと狭いモノの見方をしていた。クリフは、(音楽的な)エネルギーや攻撃性が大好きだったけど、アイアン・メイデンの大ファンではなかったと思う。覚えているのは、当初、バスでツアーを廻り始めた頃に俺はメイデンか何かの曲を流していたんだ。彼がヘドバンするために自分の席から出てくるなんてことはなかったよ(笑)。

    俺がメイデンとかダイアモンドヘッドの曲を流すと、彼は(ZZトップの)『Rio Grande Mud』とか『Deguello(皆殺しの挽歌)』とか俺が聴いたことのないイエスのアルバムとかを流していた。俺は「ん?」って感じだったよ。座ったまま、ジェスロ・タルとか流し続けたり・・・彼が大好きだったバンドのひとつがポリスだった。彼はいつもポリスの曲を流していたんだ。

    彼のネットワークは本当に広くて、メタルバンドにいたらこうあるべきみたいなものには捉われていなかった。明らかにジェイムズと俺は当時、そういうものから卒業できていなかったんだ。

    クリフが残したものって、当時一番音楽的に変化のあったものなんだよ。「クリフだったらこれをしなかった、あれをしなかった」なんて言う人もいるけど、会話のできる相手じゃないね。そんなことは俺たちだってわからないんだから。「Enter Sandman」で考えてみれば、あれは素晴らしいリフだし、(ジェイソン・)ニューステッドと一緒にたくさんのことを試して、何て言うか、ずっと8分音符で打ち鳴らしている。それがあの曲でうまくいっているんだ!クリフが「チクショー!俺はあんなことやらないぞ!」なんて言ったとは思わない。彼のやったことは、曲にとって何がベストなのかってことだったからね。


    GuitarWorld(2017-01-06)
    インタビューでのフル音声はこちらから。


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    クリフ・バートンの30回忌にあたる2016年9月27日にニューヨークのウェブスター・ホール(Webster Hall)で行われたファンクラブ限定ライブで発表したての新曲「Moth Into Flame」をライブで初披露しました。

    rs-metallica-20160927_1

    垂涎のセットリスト。
    01. Breadfan
    02. Holier Than Thou
    03. Battery
    04. Harvester of Sorrow
    05. Fade to Black
    06. Moth Into Flame
    07. Sad But True
    08. Orion
    09. One
    10. Master of Puppets
    11. For Whom the Bell Tolls
    12. Enter Sandman
    Encore
    13. Whiskey in the Jar
    14. Hardwired
    15. Seek and Destroy

    Metallica.com(2016-09-27)

    早くもYouTubeでファン撮影の動画がアップされていたのでいくつか紹介します。

    Moth Into Flame (MULTI-CAM)


    Moth Into Flame


    Holier Than Thou 〜 Battery


    Master Of Puppets


    For Whom the Bell Tolls


    20160928_054646_7549_955971


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    メタリカ、新譜『Hardwired...To Self-Destruct』から「Moth Into Flame」を公開

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    メタリカが2016年9月27日、ニューヨークのウェブスター・ホール(Webster Hall)でMetClub会員限定のライブを行うとのこと。

    20160924_215240_7549_2444

    チケット購入はミート&グリートと同じくエントリー制となっています。チケット料金は25ドルで当選1人につき2人分までチケット購入が可能です。なお収益は貧困者への食料提供を行っている慈善団体「City Harvest」に寄付されるとのこと。

    エントリーはこちらから。(締め切りまで時間がないのでエントリーはお早めに)
    https://metallica.com/contests

    9月27日といえばメタリカのベーシスト、故クリフ・バートンの命日で今年は30周忌となります。ライブも何かしらクリフに関することが行われるかもしれません。

    この前日となる2016年9月26日には、過激なラジオDJとして知られるハワード・スターンの人気ラジオ番組「ハワード・スターン・ショー」に出演するとのこと。
    20160923_144201_7549_2441

    インタビューの他、スタジオで何曲かライヴを行う予定。聴くためには下記ページから登録が必要なようです。(※日本から聴取可能か不明ですが・・・)

    https://streaming.siriusxm.com/?/flepz=true&campaign=hsguest30#_frmAccountLookup

    また同日にニューヨークにあるシリウスXMスタジオで選ばれたリスナーから質問を受ける「Town Hall」コーナーを収録。(Rolling Stone誌の編集で知られるジャーナリスト)デイビット・フリック司会のこのコーナーは『Hardwired...To Self-Destruct』発売2日前の2016年11月16日にMandatory Metallicaで放送予定とのこと。(※こちらも日本から聴取可能か不明ですが・・・)

    Mandatory Metallica
    http://www.siriusxm.com/servlet/Satellite?c=SXM_PageDetail_C&childpagename=SXM/SXM_PageDetail_C/DisplayEvent&cid=1283876401700&pagename=SXM/Wrapper

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    2016年9月27日でその死から30年となるメタリカのベーシスト、クリフ・バートン。来週発売の「Bass Guitar Magazine」2016年10月号の表紙を飾っています。

    bassguitarmagazine2016
    facebook(2016-09-16)

    購入はこちらからどうぞ。
    https://www.myfavouritemagazines.co.uk/music/bass-guitar-back-issues/bass-guitar-october-2016/

    cowboybluesさん、情報ありがとうございます。

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    これまでも何回か紹介している、『Master Of Puppets』制作とその後のツアーが描かれたフォトブック『Metallica: Back to the Front』ですが、ここにきて新たな紹介動画がアップされています。

    ひとつは故クリフ・バートンの父親、レイ・バートンによるもの、もうひとつは各メンバーによる感想などをまとめたものです。




    さらにMetallica.comやFacebookページでこれまで未公開だった本の中身の画像が公開されていました。

    backthefront_06

    backthefront_07

    過去記事でも紹介済みですが、Amazonでもこれ以外の画像がいくつか公開されています。

    002
    Metallica: Back to the Front


    発売日は通常版は9月13日、デラックス版は8月30日です。

    8月20日のミネアポリス公演からオフモードだったメタリカも動き出します。そろそろ新譜発売の報も聞こえてきそうな気もしますが果たして。

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    ヘヴィメタルやパンクロックのサブカルチャーをバックボーンとし、音楽、アート、ファッション、映画などを通じたダークサイドな世界観を提供するオンラインマガジン「CVLT Nation(カルト・ネーション)」。その自社製品を取り扱っている「CVLT Nation Bizarre」から、新たにクリフ・バートンのTシャツが発売されたとのこと。

    デザインはこちら。
    cliff_t01
    cliff_t02

    同時にニルヴァーナのTシャツも出ています。
    nirvana_t01
    nirvana_t02

    いずれもユニセックスデザインで、サイズはクリフTシャツはSとMのみ、ニルヴァーナTシャツはS、M、L、XL。
    ※海外表記なのでやや大きめかもしれません。

    お買い求めはこちらから。
    http://www.cvltnationbizarre.com/cvlt-nation

    隼さん情報ありがとうございます。

    【追記】
    さっそくMサイズを購入しました。気になるサイズですが、手採寸ではありますがMサイズはこんな感じでした。
    着丈72/身幅52/肩幅49/袖丈19

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    前回の続き。「Metal Hammer」2016年6月号のインタビューを管理人拙訳にてご紹介。

    metallica_earlydays

    ■No Remorse

    ラーズ
    「No Remorse」はかなり飾りつけされた曲なんだ。俺たちが最初にこの曲や「Phantom Lord」「Four Horsemen」「Seek & Destroy」を書いた時からね。でもあの曲は他の曲の制作と劇的な違いはないよ。明確なヴィジョンがあった。いったん何かがうまくいけば、うまくいった。「やべぇ、俺たちスゴイな。もう何も変える必要はない」とはいかなかったけどね。でも何かがうまくいけば、うまくいったんだ。

    全てが本能的で直情的で瞬間的なものだった。今、腰を据えてレコードを制作していて、一日とかひと月とか自分のレーダーでもって全てのものを見ていくと、別物の選択肢が重なり合ったものなんだ。過重な負担がかかって、どうしたらいいかと腰を据えて考えているとこうさ。「クソッ、カリフォルニアのエルセリートでジェイムズとデイヴ・ムステインといた時は全てが簡単に事が運んだのに。俺たちは30分のレコードを作るのに、午後の半日でやべぇ曲を書いてたじゃないか」とかいった戯言だよ。本当はそう容易くはなかった。でもそうやって曲を練っているよ。


    ■Seek & Destroy

    ラーズ
    あのメインのリフはヘットフィールドの定番のリフだね。デモ・ヴァージョンだと、「Seek & Destroy」は2つのコード、2つのヴァージョンで中間部もちょっとだった。メタリカの受けた影響について語る時に欠くことのできないバンドのひとつがマーシフル・フェイトだ。彼らには全く違う雰囲気とダイナミズム、光と影を持った長い曲があった。彼らには俺たちの曲を長くした責任があるよ。マーシフル・フェイトを聴きだして半年もする頃には、俺たちは追加の節、追加のコーラスを加えて、アレンジをもっと長くし始めた。もっと良くしようとしていたんだよ。そう思う。

    −35年後もまだその曲を演奏しているという意識はありましたか?

    ラーズ
    (笑)意識していなかった、一切ない。全くないね。俺が俺がと打ち鳴らすことなく、いつも等しく楽曲を扱っていた。「Seek & Destroy」以前の曲に俺たちはそう感じていた。あの曲以後、良い曲として扱った。俺たちがやらなかったひとつは、たくさんの曲から選ぶということだった。『Kill 'Em All』は1983年に俺たちにあったベスト10曲なんじゃない。1983年時点であった10曲なんだ。他のバンドのインタビューを読んだらこうさ。「あぁ、俺たちは20曲を書いて、レコードのために10曲を選んだ」それは俺たちのやり方じゃなかった。レコードに収録するのに十分良い曲が書けなかったらどうするんだ?『Ride The Lightning』のために残しておいた7曲なんてものはなかった。全てのシングル曲は俺たちが書いて聴けているものなんだ。

    ■Metal Militia

    ラーズ
    間違いなく「Metal Militia」みたいな曲はその後数年に渡って思い浮かべてきたものとは違った歌詞の雰囲気を持っていたね(笑)。「レザーとメタルが俺たちのユニフォーム(Leather and metal are our uniforms)」だぜ?35年後には冗談みたいなことになってるぞって教えてやりたいね。でも1980年代初頭のカリフォルニア南部でそんな皮肉は多くはなかったよ。すごいマジになりすぎた例のひとつだね。18歳でなんとかしようともがき、理解しようと努めていたんだ。HR/HMで別世界の詩的なものを書くヤツはそう多くはなかった。歌詞の主題はほとんど音楽の次の話だ。歌詞は楽曲が続くようにそこにあったってだけだったよ。

    −かなり早い段階でバンドはそういった歌詞から離れて行ったと言ってもいいでしょうか?

    ラーズ
    それが正確だと言っていいだろうね。自分たちがやっていることを理解し始めて、意図的にヘヴィメタルの決まり文句からは離れて行ったよ。剣とか魔術のイメージ、革と鋲とかそういったもの全てからね。次の一連の曲を書く時までに、恐怖とか操作とか逃れることのできない状況に陥れられたというアイデアとかいったことを取り上げ始めたんだ。

    カーク
    俺たちは曲を録り終えて、グレイハウンドのバスに乗って急いでサンフランシスコに戻ったんだ。素晴らしい気分だったね。ついにアルバムを作って、ビニール盤になって、実際にそれをつかんで、アルバムジャケットを見て、どれだけ興奮しているか帰途に着く間ずっとクリフと話したのを覚えているよ。ふと彼はこう言っていたよ。「2ndアルバムはどうなるんだろうな?3rdアルバムはどうなるんだろうな?」ってね。

    −『Ride The Lightning』が『Kill 'Em All』の1年と2日後に出されました。最近ではあのペースは恋しいですか?

    カーク
    もしやるとなったら、どうなるかわからないな。あのペースは今じゃ相当早いよ。他にもやることはたくさんあるからね。一日24時間しかないんだ。メタリカに6時間を充てて、14時間を他のことに充てる。18歳の頃より52歳になった今では他にもやらなきゃならないことがたくさんあるんだよ。

    Metal Hammer 2016年6月号より

    まだまだカークには語られていないクリフとのエピソードがありそうです。昨年、「Metal Militia」がセットリストに組まれることが増えたのは、もしかしたらリマスター盤の制作段階で改めて演ってみたいとラーズが思ったのかもしれませんね。

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    英HR/HM雑誌「METAL HAMMER」でメタリカの『Kill 'Em All』特集
    ラーズ・ウルリッヒ、『Kill 'Em All』『Ride The Lightning』の制作秘話を語る

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    前回の続き。ラーズ・ウルリッヒ、カーク・ハメット、そしてプロデューサーのフレミング・ラスムッセンがクリフ・バートンとの思い出や、30年経った今『Master Of Puppets』がどういう位置づけにあるのか語ってくれました。管理人拙訳にてどうぞ。

    メタリカは 友人であるデンマークのオカルト・メタル・グループ、マーシフル・フェイトとパーティーを開くことによって、(アルバム制作の)セッションのあいだ、くつろいでいた。「俺たちはバーに出かけては飲んでいたよ。」ハメットは語る。「ライアーズ・ダイスのビッグゲームに夢中になったのを覚えているよ。終いには俺たちとマーシフル・フェイトで酔っ払いレスリング・マッチになったんだ。まったくバカ騒ぎだったね。俺たちはバーのなかでレスリングを始めて、どういうわけか通りまで出ていた。俺たちはずっと笑って、ただ飲んだくれて互いに傷つけることはなかった。それが俺たちが抱いていたモヤモヤやフラストレーションや先々の不安なんかを吹き飛ばす方法だったんだ。」ハメットはそう続けた。

    どんなにメタリカに不安感があっても、彼らはレコードでそれを表すことはなかった。『Master Of Puppets』の楽曲のなかで最も大胆なものの一つが8分半のインスト曲「Orion」だ。生々しい感傷的なベース音で幕を開け、軍隊のようなリズムギターのラインでフェイドアウトする前に、グルーヴを効かせたジャムに移行し、陰鬱と希望のあいだを行ったり来たりするソロもある。「クリフが本当に良いこのメロディー・パートを思いついたんだ。メロディーがとても強力だから、そこにボーカルは必要なかったんだよ。」ラスムッセンはそう語る。

    「俺にとって「Orion」はクリフ・バートンの白鳥の歌(訳注:普段鳴かない白鳥が死を前に美しい歓喜の歌を歌うという伝説がある)なんだ。あれは本当に素晴らしい楽曲だ。彼は全ミドル・セクションを書いていた。彼はどんな方向に向かっていくのか俺たちに視点を与えてくれた。もし彼が俺たちと共に(この世に)留まっていたら、彼はさらに先に行っていると思う。俺たちのサウンドは彼がまだここにいたら、違っていただろうね。」ハメットはそう語る。「彼は他のメンバーとは違った感覚とアプローチを持っていた。大歓迎だったよ。」彼はそう続けた。

    セッションを終えると、ラスムッセンはバンドのシビック・オーディトリウムのショーのために、ベイエリアに戻ることになったウルリッヒのドラムのフライトケースにテープを詰める手助けをした。そのショーで彼らは「Master Of Puppets」「Disposable Heroes」をアメリカで初披露した。次にバンドがショーを行った時には、『Master Of Puppets』がリリースされて数週間が経ち、その後のツアーがバンドを永遠に変えたのである。

    1986年3月から8月まで、メタリカはオジー・オズボーンの前座として「Damage Inc.」ツアーにそのほとんどを費やした。オズボーンは2009年に「彼らは常にとても良いバンドだった。俺たちは1つのツアーを一緒にやった。思い出すよ…俺は新世代にトーチを手渡せることができて光栄に思うよ。」と回想している。

    ヘットフィールドがスケートボードで腕を怪我するまでは、ツアーは順調に進んでいた。ローディーでメタル・チャーチのメンバー、ジョン・マーシャルがリズムギターを弾いて、メタリカはツアーを続行した。オジーのツアーが終わると、彼らは1か月のオフを取ってから、2週間に渡ってヨーロッパまでツアーの足を伸ばした。9月26日のストックホルムでのギグがフロントマンの腕が治り、この数ヵ月で初めて彼がリズムギターを弾いたライヴだった。そしてクリフ・バートン最後のコンサートにもなってしまった。

    ウルリッヒは言う。「『Master Of Puppets』から30年ってことは、今年はクリフの死から30年なんだな。クレイジーだね。30年だって?ファックだ。」

    ストックホルムのショーの後、メタリカのメンバーとクルーたちはツアーバスで次のコンサートのためにコペンハーゲンに向かっていた。朝6:30頃、車は道路の外へとスリップした。ハメットは寝台から投げ出されて黒目を損傷し、ウルリッヒはつま先を怪我した。バートンは車の窓から投げ出され、車両が彼の上に転倒し下敷きとなった。彼は24歳だった。

    運転手は過失致死罪で起訴されたが、有罪判決にはならなかった。事故は道路に張っていた薄氷のせいとされた。『Metallica Unbound』によると、ヘットフィールドとハメットは運転手に向かって叫んだという。クレーンでベーシストからバスを持ち上げるのを彼らが待っているあいだ、ヘットフィールドはスリップさせたものを探しに道を駆け出して行った。ヘットフィールドはその夜、2つのホテルの窓をぶち壊した。ハメットは事故でとても動揺していたため、電気をつけたまま眠りについた。Guitar Worldはベーシストの葬儀が10日後にベイエリアで行われ、葬儀のあいだ「Orion」が流されていたことを報じた。

    「クリフは本当にユニークだった。彼は猛烈に自分自身というものを保持していたんだ。カメラマンは「クリフはそんなダブダブのベルボトムを履くべきじゃない」とか何とか言ったかもしれないが、彼は自分自身というものを守り続けたんだよ。」ウルリッヒはそう語る。



    「彼はこう言うだろうね。「まぁ、とにかくまたファッション界が(ベルボトムに)戻ってくるまで俺は履くよ。それに俺、これが好きだし。」ってね。彼は私が会ったなかで最高に素晴らしい人物のひとりだ。紳士な偉人さ。でも(他に)誰が80年代にベルボトムを着ていたんだい?」ラスムッセンはそう語る。

    ウルリッヒは言う。「彼はユニークであり、自律的だってことを表に出していた。それが明らかにメタリカの大きなメッセージのひとつになっていた。あんなヤツ、他にいないよ。」

    ドラマーは最近、バートンについてたくさんのことを考えるようになった。彼は『Kill 'Em All』と『Ride The Lightning』のデラックス・リイシューと共に(『Master Of Puppets』制作当時について書かれた)書籍『Back To The Front』に取り組み、昔の写真をじっくり見るようになった。「実際、別の日に俺たちが昔の写真を漁っている時、カミさんに言ったよ。「彼はピッタリした照明を当てればとてもイケメンだったんだ」ってね(笑)」ウルリッヒはそう言って笑う。「あの当時を振り返ると、俺たちはみんな野暮ったくて、何か剥奪されていた。「イケメン」がかつてメタリカにいたかは俺にはわからないけど、彼がとてもハンサムでイケメンな写真がいくつかあるんだ。彼は惹きつけるものを持っていたし、彼が望んだようにとても魅力的な性格をしていたよ。」

    バートンの死からまもなく、メタリカは活動続行を決めて新しいベーシストを探し始めた。彼らは数十もの見込みある四弦を使う人物をオーディションしたが、最終的には、それ以前はフロットサム・アンド・ジェットサムでプレイをしていた23歳のアリゾナ州フェニックスのミュージシャン、ジェイソン・ニューステッドに決めた。

    1986年11月の最初の週に『Master Of Puppets』はメタリカのレコードで初のゴールド・ディスクとなった。それ以降、アメリカだけで600万枚以上を売り上げることとなった。その同じ週、1986年11月8日にメタリカは「Damage Inc.」ツアーを再開した。それはニューステッドにとって初めての公式のショーとなった。「クリフは芸術的なアプローチを持っていた一方、ジェイソンはとてもテクニカルだった。彼は完璧に演奏していたよ。クリフはもっと音楽的だった。」ラスムッセンはそう語る。

    2016-metallica

    ニューステッドは2001年までバンドに在籍した。彼の在籍中、バンドは1988年の『...And Justice For All』の「To Live Is To Die」に未使用だったバートンのリフを組み込んだ。2003年、元スイサイダル・テンデンシーズ、オジー・オズボーンのベーシスト、ロバート・トゥルージロが加入。しかし誰がバンドに入ろうとも、ウルリッヒはバートンと過ごした時間を大切にしている。

    ドラマーは言う。「彼についてはたくさんのことを考えるよ。あの編成のサウンドという点であの3枚のレコードで俺たちがやってきたことはとてもユニークなことだった。ジェイソン・ニューステッドに神のご加護を、ロバート・トゥルージロに神のご加護を。彼ら自身とクリフの死からメタリカにもたらしてくれたものに。でもクリフは本当に彼自身がキャラクターだった。それは1ミリも変えられない。ますますそのことは明らかになっているよ。」

    10年前、メタリカは『Master Of Puppets』を創り上げた時のやり方を評価し始めた。メタリカが彼らの最新アルバムである2008年の『Death Magnetic』の曲作りを始めた時、プロデューサーのリック・ルービンが『Master Of Puppets』を制作した頃に聴いていたレコードについて考えるよう求めたのだ。「それを再作成しようとせずとも何か触発されたり影響を受けたりすることができる。」ウルリッヒによると彼はそう言った。(このプロデューサーは先月「彼らと一緒に仕事をする上で主な目標は、彼らにメタリカを再び受け入れさせるということだった」とRollingStoneで語っている。)明らかに触発されたバンドは2006年のヨーロッパツアーで『Master Of Puppets』の完全再現をやることを決めた。それはバンドにとってのターニング・ポイントとなった。

    ウルリッヒはこう語る。「大いに楽しませてもらったよ。俺たちはノスタルジアなことにはちょっと慎重だったんだ。でもやってみたら本当にクールだった。自分たち自身をバックミラーで見ることを許し、過去にやったことについて気分良く感じるのは初めてのことだった。俺たちはいつも繰り返しになることを恐れていたし、ほとんど過去を否定していたと言ってもいい。でもあれは良いと感じたんだ。」

    ハメットが発見したのは、『Master Of Puppets』の伝説がユニークな方法で成長を続けているということだった。「最も驚かされたことは、俺がラジオであのアルバム収録曲の何かを聴いた時に起きた。それ以前、それ以後に生まれたその他全ての音楽の中心に、いまだにあのサウンドがある、どれだけ現代的でモダンなんだって驚いたね。あれには感謝しているよ。あんなことはいつも起きるわけじゃない。」彼はそう言う。

    1988年のLP『...And Justice For All』の共同プロデューサーとしてメタリカと組んだラスムッセンは、『Master Of Puppets』を強奪されて聴くこともままならなかった。文字通りに。「まさか自分で『Master Of Puppets』のCDを持つことになろうとは思わなかったよ。子供たちが私の『Master Of Puppets』を盗んでしまうんだ。ウンザリしたけど、彼らがあれを聴きたいと思うのは気分がいいね。」

    ウルリッヒは今秋に予定されている『Back To The Front』の発売をただただ熱望している。「あれは本当にヤバいよ。著者のマット・テイラーは映画『ジョーズ』についての本を出したんだ。こいつはそのステロイド入り強化版ってわけだ。」

    それどころか、彼はその本、そしてメタリカの他のアーカイヴ・プロジェクトに取り組む体験に感謝している。その時代の写真を再び見て、メタリカがどのようにして今の姿になったのか考える理由ができたからだ。「俺たちはただのガキだった。そして音楽シーンやムーブメントの一部になった。その時、俺たちはその可能性について気づいちゃいなかった。俺はいつもニューヨークやLAのミュージシャンってのは“うまいことやる”ためにバンドに入りたがって、“ロックスター”になって、ビバリーヒルズのでっかい豪邸を買って、女の子をゲットするもんだと思っていた(笑)」彼はそう言って笑う。「俺はそんな戯言を考えていたなんて覚えちゃいない。ただ音楽をやって、ビールを飲んでいたのさ。」

    RollingStone(2016-03-02)

    序盤でカークが語っていた「ライアーズ・ダイス」についてはこちらから。
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%95_%28%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%29

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