メタリカ情報局

メタリカを愛してやまないものの、メタリカへの愛の中途半端さ加減をダメだしされたのでこんなブログ作ってみました。

       

    カテゴリ: メタリカ語録

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    『Clash』誌のインタビューの続き。ジェイムズ・ヘットフィールドがメタリカを知らずにメタリカTシャツを着ている人についてコメントしていました。その他、ライヴでのファンとの掛け合い等について語っています。管理人拙訳にてご紹介。
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    −みんなが音楽界に入ってきて、すぐに成功の最終目標を期待する今日では、たくさんの見込みが立っているわけですが、一方でメタリカは最終目標を見たことがありません。楽しむものをやろうとすることは(バンドでの)旅の全てなんでしょうか?

    まぁ俺たちの目標ってのはうまくいかなくてね(笑)そういうことだ。それが最初の目標だった。「今の仕事はウンザリだから仕事をさせないでくれ。おまえの仕事について聞かせてくれ、そっちもクソだな。俺は工場勤め、オマエは新聞配達。働くのをやめよう。そいつはクールだ。これが俺たちのためになるんなら、最高じゃないか!」とね。利便性が標準になってきているなか、みんなが理解していない多くのチャレンジがそこにはあると思う。チャレンジがあるってわかる?それが何であれ、そういうチャレンジに直面して、それに取り組む。さっき俺が言ったように最近の子供たちはたくさんの選択肢を持っている。簡単だと思って難しくなっていたら、そこにはチャレンジがある。ハードワークすることは本当に素晴らしい人格形成だと思う。

    −過去には同志と繋がることも簡単でした。なぜなら身に着けたものが自分の夢中になっているものと伝えることができたからです。アイデンティティを示すバッヂだとか。しかし今日、メタリカのTシャツを着ている子供はあなたたちの音楽を聴いていないという可能性が大いにあります。あなたたちのアイコンのロゴがファッションのモチーフとして採用されていることに対してあなたはどうお考えですか?

    (笑)そうだね。まぁカリフォルニア州ノーウォークの小さなリハーサル室でナプキンにロゴをデザインした時、それがメイタグ(訳注:アメリカの家電メーカーのブランド)やボルボか何かみたいになるとは思ってもみなかった。とんがったロゴ、名前、ほとんどありふれたものだ。そうなるとは決して考えなかった。でも当時の俺たちの馬鹿げた考えはこうだ。「俺たちは世界を征服しようとしている。俺たちのロゴがいつか誰の身体にも入っていたらいいな。良いタトゥーだろ!」(笑)俺はグラフィックデザインが好きなんだ。もしバンドにいなかったら、おそらくそういうことをやっていただろう。Tシャツやロゴをデザインするのが大好きなんでね。母親はグラフィックデザイナーで装飾屋だったから、(自分も)同じようにアートが好きなんだろう。だから両方やることになった。商品を見ると顔に笑みがこぼれるよ。通りで両親と一緒にいる、ある子供を見たら、メタリカのシャツを着ていた。その子が俺たちの音楽を聴いているかどうかに関わらず、それはひとつの声明なんだ。だからひとつの声明として大いに気に入ってるよ。

    −『Hardwired...To Self-Destruct』の後、あなたは以前のアルバムについての考えから触発されたサウンドについて話していました。過去を振り返ったことで、あなたの次の動きに繋がっていく何か他の思い出が戻ってきたということでしょうか?

    とても面白いね。とても近くで、関わっているんだよ。みんながここから昔の曲との繋がりについてどう聴くかはわからないけどね。次のレコードの曲を書くのは俺たちだけだし、それが正しくて良いと感じるものなんだ。

    −昔のアルバムでの主観的な感情を新しいアルバムに多く反映しているのでしょうか?

    知っての通り、ここは自由社会だ。説明したいことを説明できるし、何をしたいかを説明することはできるけど、誰もが意見を持っていて、それをよく耳にする(笑)研究したかどうかは関係ない。言論の自由はとても重要だ。俺たちは何でも話半分に聞いておいて、結局良いと感じたらそうする。このレコードは良いと感じて出したものだ。俺たちは過去にやってきたものをまたやることには興味ない。過去を祝福し、やってきたことを楽しむことはあっても、それを再現しようとするのは俺たちにとって面白いことではないんだ。

    −あなた方がすでに行ったことに従来の誇りがあります。なぜそれを(またやろうと)再考しないのでしょうか?

    あぁ、いつもそこから走ったと考えるんだ。つまり常に怠け者になることや栄光に胡坐をかくとかそういうことを恐れていた。それから先は電話をかけ始める。俺たちはそんなことはやりたくないんだ。

    −新しいレコードが再びツアーをする言い訳にすぎないバンドがたくさんいます。

    うん。俺たちはいまだに自分自身に何かを証明したいと思っている(笑)それが何なのかわからないけど、次はもっと良くなるだろう。作詞家やギタリストとして、究極のリフ、究極のギターサウンド、究極の歌詞、完璧な韻とかそういったものをいまだに探しているんだ。まだ旅の途中だ。


    −良いと感じるものを思いついて、その線に沿った時、あなたは新しいプロジェクトに心動かされるのでしょうか?

    そう。アーティストとして、自分はとても不安定だとわかっている。何か良いものを書くと、それについて良いと感じるし、他の誰かがそれを気に入ってくれたら、もっと気分が良いよね。「俺に大丈夫だと言ってくれる人が必要なんだ」と怒っているところが俺にはある。わかるだろ?(笑)でも自分たちが良いとわかっている部分もあるし、正しい道を辿って正しいことをやっていることはわかっている。良い人生だし、意味があるものだとね。ツアーに出て、人々を幸せにする。音楽を通じてみんながそれぞれに楽しんでいるのを見ることになる!


    −あなた方は完璧な誇るべき点を持っています。

    本当にクールだね。俺たち4人だけを見ている人もいるけど、俺はそこにいるたくさんの人たちを見ることができる。みんな違う。みんながそれぞれ違ったやり方で感じるままに音楽を楽しんでいる。「おぉ、これは今までにやったことないな」って思うような、まぁ、ダンスをしたりしているんだ。好きなように楽しんでいるみんなを見ているよ。

    −(目に留まるには)かなり圧倒的じゃないと。

    そんなことはないよ。目線を向けることはできるからね・・・どんな曲でもそういう目がある。「よし、この人からのエネルギーをあてにしよう」とか「この人は少しグッタリしているな、行って何かハンドサインをしよう」とかね(笑)みんなから反応を得るのは面白いよ。俺たちのためにそこに立っている誰かが「ファック・ユー!」ってなったらそれは良い意味か悪い意味か?俺は本当にわからない。でも投げキッスでもして何が起きるのか見るんだ(笑)何が帰ってくるかを見るよ!

    −観衆の中に間抜けを見かけたら、怒りの歌を歌うのに役立つはずですね。

    あぁいつだって楽しいよ。俺がそんな人にひと掴みのピックを投げると、そこに人が押し寄せる。でも(それに限らず)すべての類のことがあるよ。70歳のご婦人から10歳の女の子まで最前列にいるのが見えるんだ。素晴らしいよね。(そんなことが起きるとは)決して考えてこなかったことだよ。80年代にはレザージャケットを着た長髪の汗だくの男たちだったけど、今やさまざまな民族やキャリアや体型の人たちの集まりだ。何もかも、全ての境界を超越している。イランやイラクからのフラッグを見ることさえある。素晴らしいよ。政治的な立場や宗教的なこととか気にすることなく、境界がないっていうのはとてもクールだね。自分たちがどこにでも受け入れられるものを創り出しているんだと思える。

    Clash(2017-11-22)

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    『Clash』誌のインタビューの続き。ジェイムズ・ヘットフィールドがバンド内の妥協点、怒りとの向き合い方、今と昔の同志との繋がり方などについて語っています。管理人拙訳にてご紹介。

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    −メインストリームに受け入れられるように、沿わなければならない妥協があると感じていますか?

    面白いね、だって俺たちは自分たち自身のメインストリームを創り出してきたし、俺はそれを信じているからね。俺たちは自分自身に極端なほど正直だった。妥協する部分も含めてね。特にバンドに4人の男がいる時は、いつも何かしら妥協が必要なんだ。本当に物事を推し進める2人 - ラーズと俺 - がいて、俺たちが同意できない場合は妥協が必要になってくる。でも正しくないと感じている何かをやっていると、俺が思うことは数回あった。『Load』と『Reload』の時代は、俺にとっては、そのひとつだった。見た目なんか、俺は100%そこに乗り気じゃなかった。それは妥協と言えるだろう。「これはラーズとカークのビジョンで行くつもりだ。彼らはとてもこれに情熱的だし、4人が入っていけばそれはもっと良くなるだろうから、俺は飛び乗るんだ」って言っていた。


    だから俺はそこで最善を尽くした。俺が望んでいたほどうまくはいかなかったけど、これも後悔はない。その時は正しいことだと感じていたからね。だからバンドを推進するための健全性のために少しでも妥協が必要だと思ったとしても、俺はそれをやるだろう。でもメインストリームに関する限り、自分たちが欲しいものや望んでいないものについてかなり正直でオープンだったと思う。知っての通り、これは俺たちのイカしたパーティーだし(笑)あなたも招待!みんなも招待!招待と冒険を受け入れて、もし個人的なことを言い始めたり、気に入らなかったらいつでも飛び降りることができる。いつも創造したものに熱狂して楽しんでいる人になることを望んでいるし、常にそういう人のための席が用意されているからね。

    −ヘヴィロックは究極の反抗の象徴でした。あなたは子供が規範に外れた違う何かを探していると思いますか?

    もちろん。知っての通り、それはどんな音楽の形にだってあることだよ。ロックの家庭で育っているのにジャズやクラシックに行ったって反抗でしょ。(反抗が)ロックを意味するものじゃないけど、「自分は両親とは違う必要がある」ということになると、10代の若者には常に反抗的な成熟した部分がある。それは起こるべくして起こる自然なことだと思う。自分には3人のティーンエイジャーがいるけど、子供たち自身が音楽を望み、自分たちのキャリアを望み、自分たちの道を欲することに意味がある。それが起こるべくして起こることなんだ。俺のために子供たちと口論して、ヴェノムか何かを聴けってやることには何の意味もない。そうだろ?子供たちは好きなものを無理やり俺に聴かせてくるけどね!(笑)彼らが音楽を愛しているということがいいんだ。彼らは彼ら自身を持っている。キミはキミ自身を持っているはずなんだ。だから反抗って俺が思うに、人類が成長する上での素晴らしい自然な進化なんだよ。

    −あなた方の最新アルバム『Hardwired...To Self-Destruct』のリリースで、あなたはこれが怒りのアルバムだと認めていました。メタルは怒りの解放のための適切な手段だということは、あなたにとって一番大事なことだと考えていましたか?怒っている人としてあなたはメタルへと引きずり込まれたのでしょうか、あるいはメタルをプレイすることで自然と内なる怒りを引き出したのでしょうか?

    あぁ、確かに怒っている。それが最初だ。子供の俺の身に起きたことのためにね。音楽は自分の怒りを表現する方法だったんだ。自分自身でやるまでは、俺にとって他のバンド - ブラック・サバスや大好きだったいくつかのヘヴィなバンドやパンク・ロック - がやっていたことだった。彼らは怒りを表現していて、そういうところが良いと思っていたんだ。でも怒りは受け入れようとしたり、隠そうとしたり、あらゆることをしようとしてきた自分の一部でもあったんだ。だから俺はそれを祝福し、音楽で使う良いツールなんだと思うようになったね。

    −そのような捌け口を持つことができてラッキーでしたね。そうでなければ爆発してしまったかもしれないでしょう。

    本当にその通りだ。俺が言えるのはプランB(代替手段)はなかったってことだ(笑)プランAで起きるべくして起きた。ラーズと出会ったのも良いことだし、俺たちがやったことは、物事が起きて・・・つまり、俺はまだ何が起こっているのか信じられないんだ。本当に信じられない。これ以上の良い夢を見ることはできなかっただろう?(笑)54歳になって、いまだにプレイできて、音楽を創って、ツアーを楽しみ、健康と素晴らしい家庭を持って、自分たちの創造物を楽しんでいる人たちがいるんだからね。

    −近代的な政治や社会のおかげで、今の世の中で怒ったり、剥奪されたりしていると考える人たちの新しい時代になっていくでしょう。彼らの不満を払拭するのに、より多くの人たちが今、ロックに向かっているかもしれないと思いますか?

    まぁ自分が通じていると感じる何か、自分の中で起きていることを表現するのを助けてくれるものを見つけられることは健全だと思う。それを隠したり、怒ったり、恐れたり・・・まぁ全ては不安に基づいているものだけど(笑)そうなるよりはね。俺はすぐに怒ってしまう。それが俺にはわかりやすいからね。他の人たちは不安を隠そうと他のものに目を向ける。でも怒りは否定的なエネルギーとされてきたけど、俺にとっては今のところ大部分は肯定的なものなんだ。

    −あなたとラーズは、地元紙で似たような趣向を持つミュージシャンを探す広告をラーズが出して最初に繋がりました。インターネットが似た人たちを繋ぐ即時性のあるポータルである今日に比べて、あの当時に共通の関心を持つ同志を見つけることはとても難しかったでしょうね。

    今は何も話さなくてもだからね、本当に。繋がるのが簡単だ。あの当時は起きる必要があったから起きたんだ。つまり、もし俺たちがFacebookやInstagramをやっていたら、やっぱり同じように俺たちは繋がっていただろう。でも知っての通り、新聞はうまくいったよ。俺たちはかなり注目すべきだと考えていた。新聞に広告を投稿することができたからね。毎回「Heavy Metal」を探すために「H」から下の欄を見るんだ。「おっ同じようなヤツがいたぞ!コイツに電話したらいい」ってね(笑)

    懸命になっている時にそういう障害は(バンドを組むまでの)旅の一部だったし、今はもっと簡単になっている。今、難しいところはおそらくあまりに多くの選択肢があるってことだろうね。当時はそこにあるものが選択肢だった。ラーズがいて、それが選択肢だった。俺が住んでいた場所も、それが選択肢だった。ノルウェーにいるヤツと繋がって、バンドを組んだり、今できるようなことはできなかった。でも今はあまりに多くの選択肢があるから、より難しくなっているかもしれない。


    Clash(2017-11-22)

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    ジェイムズ・ヘットフィールドが語る自らの最高のアルバム、最高のライヴとは?

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    更新ご無沙汰です。以前、表紙になったと紹介した『Clash』誌によるメタリカへのインタビュー。ジェイムズ・ヘットフィールドがこれまで受けてきたバンドへの批判やバンドのアティテュードについて語っています。インタビュー前文とジェイムズ・ヘットフィールドのインタビューを管理人拙訳にてご紹介。
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    2004年のドキュメンタリー映画『Some Kind Of Monster(邦題:メタリカ 真実の瞬間)』を観た人は、メタリカがいまだに健在であることに驚くが、2017年においても彼らはこれまで以上に決然とした強さがある。

    この映画は残酷なほど露骨で細かくバンドの崩壊を記録している。バンドの創設メンバーのジェイムズ・ヘットフィールドとラーズ・ウルリッヒの間の権力闘争によってバンドの存在は脅かされ、バンドは口論、カウンセリング、和解をカメラの前で行うことを余儀なくされた。ヘットフィールドの人生を変えるリハビリ期間が挟み込まれ、それはグループはもちろん、視聴者が1つの作品でやり遂げるには奇跡と思えるような衝撃的な視聴体験だ。

    13年後の8月中旬『Clash』はコペンハーゲン中心部のホテルでこの活気のある前向きなユニットに出会った。この四半世紀で辛辣なビジョンにおいて最もまとまりのある最強の彼らのアルバムのひとつと考えられている2016年発表の『Hardwired...To Self-Destruct』。このアルバムをサポートするWorldWiredツアーで、ヨーロッパ日程の最初の日を彼らはこの街で迎えていた。

    その成功はメタリカが今までに販売していた1億枚のアルバムに加えて、このツアーではすでに9000万ドルの売上げを突破している。誰にとっても驚異的な数字だ。衝撃のヘヴィメタル・カルテットが進化して繁栄を築くのみならず、控えめに言っても、しばしば予測不可能なキャリア選択がこれまでに分裂を起こしていた。

    制限的なメタル・ジャンルの境界線を押し広げるために、メタリカはいつも予期せぬ結果をもたらすことになった進歩の道をあえて追求してきた。ほぼすべてのアルバムで以下のような物議を巻き起こしている。1986年の『Master Of Puppets』はあまりに古典的であるとみなされ、1988年の『...And Justice For All』はあまりにカンカン鳴りすぎ、1991年の(ブラックアルバムとして知られる)『Metallica』はあまりに大衆的だとみなされた。1996年と97年のアルバム『Load』『Reload』はスラッシュのルーツからあまりに遠くに外れていったとバカにされ、2008年の『Death Magnetic』でさえメタリカはあまりに騒がしいと非難されたのだ。どんな動きをしようとも、メタリカは勝てなかった。しかし幸運なことに彼らはそんなことはちっとも気にしなかった。

    ラーズは『Clash』にこう説明する。「俺たちが騎兵隊を率いる、でも同時にその世界の一部が俺たちにこうして欲しい望んでいるようなやり方で騎兵隊を率いちゃいないっていう二項対立がいつもある。俺たちにはいつだって何かしらの対立がある。少々の対立とそうじゃない部分。時にはそこに摩擦もあるってことだよ。」

    彼はバンドのたゆまぬ創造的好奇心についてこう語る。「そういうところに出て生きていかなくちゃならない。そうしなければ窒息してしまうよ。1度きりの人生、この地球での自分たちの時間は、自身の選択肢に意図的な限界を持つにはあまりに短すぎる。」

    ロックにおいて最も一貫して優勢な招かれざる客である彼らの揺るがない性質をさらに分析することを熱望し、『Clash』の編集長、サイモン・ハーパーは4人の頑強な巨人たち - ジェイムズ・ヘットフィールド(シンガー/ギタリスト、決然としながらもひょうきん)、ラーズ・ウルリッヒ(ドラマー、情熱的で遠慮ない物言い)、ロバート・トゥルージロ(ベーシスト、現実主義、外交家)、カーク・ハメット(ギタリスト、思いやりのある理想主義者)- の個人的な聴き手を楽しみながら、彼らのHardwiredシステムの複雑なWebのなかを進み始めることにする。

    ジェイムズ・ヘットフィールド

    −『Clash』は表紙にメタルバンドを取り上げたことが一度もありませんでした。しかしメタリカはロックンロールの文化的な接点としてメタルのジャンルを超えているように感じます。メタリカがメタルシーンを離れて、普遍的に受け入れられるという地位に昇格させたのは何だと思いますか?

    うーん、いい質問だね。俺たちはいつもあらゆる類のルールとか、何らかの形で俺たちを枠にはめようとする試みを憎んできた。境界とか限界ってのが好きじゃないんだ。それで俺が真っ先に思うのは・・・ヘヴィメタルは「世界なんてクソくらえ」とか「俺たちは俺たちだ、自分のやり方でやってやる」のようにちょっとパンクだという印象を持っている。やり方が合わないなら、それでいいんだ。知っての通り、髪は切ったり、レザージャケットを着なかったりとかね。バラードをやろう、それがすぐに俺たちを(他から)分かつことのひとつだった。サンフランシスコのファンと争いになったこともほとんど覚えている。89年、ジャスティスがちょうど出た時のことだ。俺たちは「One」という曲のビデオをやった。するとある男が「ファック・ユー、おまえらセルアウトしたバカヤローだ。MTVのビデオなんかやりやがって」とか何とか(笑)。

    俺は自分たちを守る必要があると感じたね!「なぜ自分たちのアートをおまえに正当化する必要があるんだ?」って。俺たちはガッカリしたよ。自分たちがアーティストになろう、世界に自身のことを説明したり、世界と繋がろうとやりたいことをやろうってことに対してファンが腹を立てることに失望した。


    −そして彼らはあなたを制限すると?

    とても制限するね。「セルアウト」ってどういう意味だ?ショーをやるとすぐに完売するかもしれないってか?どこまで極端になっていくのか俺にはわからないよ。だから俺たちはすぐに言った。「おまえは何を知っているんだ?俺たちは反逆者たちの反逆者だ。だから誰に対してもあまり心配しないようにしよう。人として、一緒に創造していくグループのメンバーとして、俺たちを助けようと俺たちが正直なところ思うことをやるなら、俺たちはそうしていくだろう。」

    明らかに、バンドを続けていくには存続可能な成功を収めなくちゃならない。でも、とにかくより大きい観衆に届くようにしようとしない限り、必ずしもそうなる必要はない。だからそのファンが自分のアルバムを買い続けることができるようにするには、アルバムをレコーディングできるような成功を通じて進歩していかなくちゃならない!

    まぁ俺の哲学では進化とは起こるべくして起こるものだ。変化し、成長し、人生を経験していくことになるはずなんだ。そういうことを考えず、閉じ込められたなかでとても安全だと感じる人も一定数いるんだよ・・・未知なものがない方がより安全だとね。

    何度も何度も同じアルバムを作る、そういうバンドはたくさんあるけど、俺たちはそれでは不満だ。でもそれにだって同じように欠陥はある。決して満足しないってことだ(笑)。でもそれは俺たちを邪魔することはない。最高のアルバムは何だ?次のアルバムだ。最高のライヴは何だ?次のライヴだ。それは常に少なくとも俺の頭の中にある。


    −とにかくアウトサイダーのように感じるなら、自分の意思決定を恐れることなく、「それがどうした、何が起きようが気にしない」と考えて、「違いすぎるかな?みんなは好きになってくれるかな?」といった不安はないのですか?

    そう。俺は疑いが嫌いなんだ。「疑念が戦士を殺した」って言葉がある。時おりやることに加わってくる実用的なことがあるし、時々はやらないこともある(笑)「俺たちはこれをやりたい。どのくらい金が無くなっても気にしない。これは誰もやっていないことだし、俺たちはそれをやり遂げることができる段階にあって、バンドがするしないの境界線を試し押し広げることができる。」というものだ。俺たちのそういうところが大好きだし、かなり馬鹿げていて危険な冒険をしてきた。映画『Through The Never』を作ったり、Orionフェスティバルを開いてさまざまな多岐にわたるタイプのバンドを招待したり、ルー・リードとアルバムを作ったり、南極でギグをやったりとかね。そういうアイデアを嫌う人はたくさんいたんだ。

    −南極にいた人たちはさておき?

    (笑)そう。ペンギンはそれほど気にしてなかったかな。でもまぁ馬鹿げた高くつく冒険をやったけど後悔はないね。俺たちはそれを試した。他に誰が試そうとしたんだ?



    Clash(2017-11-22)


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    英雑誌『Clash』にてメタリカ特集
    ラーズ・ウルリッヒ、メタリカの成功の要因について語る

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    ニューヨークで行われたラーズ・ウルリッヒとウェブマガジン編集長等で活躍するマイク・ホーガンとの対談でお金について語っていました。UltimateGuitar.comの文字起こしを管理人拙訳にてご紹介。

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    −バンドにとってのお金の意味を問われて

    俺たちにとって、お金儲けじゃなかった。バンドを始めてまだ間もない頃にお金について話したのは、お金は単にバンドを続けていくための資源としてだ。俺たちが作ってきたもの全てがバンドの存在とバンドのメンバーたちを支え続けるために投入されたんだ。

    まぁ間違いなくバンドが成長するにつれて、周りにいる人たちとかの面倒をみなければならない。でも全てはバンドの存在を支えることなんだ。

    ナップスターのことで、みんなはメタリカを強欲だとか言っている・・・目の前にいる皆さんの目を見て言えるのは、俺たちはお金について気にしていないってことだ。

    お金に関する一番重要なことは、俺たちが新しいステージや演出で数百万ドル費やし、自分たちのレコード会社を経営し、独立した存在になるってことなんだ。独立していることで自分を(誰も口出しできない)完璧なクリエイティブ・コントロール下に置くことができる。

    お金があれば、自分のレコードにお金を出すこともできるし、自分の映画にもお金を出すことができる。それが良いのか悪いのか(笑)自分のビデオにもお金を出すことができるし、自分が望むどんなものであれ、それにお金を出すことができる。誰のお金も借りずにね。

    午前4時から電話を受けなくていい。これは(マネージャーの)クリフ(・バーンスタイン)が最初に俺に言ったことのひとつでね。「私は午前4時に電話をつないでおかなくていい。なぜなら誰も電話してこようとしないからだ。私が答えなくてはならないヤツは誰もいないからだ。」ってね。人生の教訓のひとつだったよ。創造的な自立性だけじゃなく、経済的・財政的な自立性や独立性で完璧な点に到達すると、不自由ない暮らしができるってわけだ。

    電話して尋ねてくる人たちに関して、電話をつなぐ必要はない。もし親なら子供が無事か確認するために電話をつないでおかなきゃならないけど、自分たちが作ったレコードやビデオ、インタビューとかギグについて電話で何か言ってくるのを待つ必要なんてないんだ。なぜなら完全に自由だからね。

    だから一番クールなことは、この2017年にメタリカでいられるってことだ。

    UltimateGuitar(2017-11-09)

    対談の全編はこちらからどうぞ。


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    11月5日にニューヨークで行われたインタビューでラーズ・ウルリッヒが90年代のグランジ・ブームやマスター音源を自分たちの手に取り戻したことについて語っていました。管理人拙訳にてご紹介。

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    −90年代のグランジのブームが与えたメタリカへの影響について、ストレスに感じたことはあるのか

    いいや、何よりも刺激的だったよ。メタリカで良いところって、いつも完璧に自立していると感じるところなんだ。俺たちが何かに属していると感じたことはない。だからその良いところっていうのは、何にも属していると感じたことがないってことで、他で何が起きようとも、まだ自分たちの世界のなかでちょっと何かが終わったと感じるだけ。それでそういう(周りで起きていた)ものが霧散したとき、俺たちはその一部になることはなかった。俺たちは今こうして自分たちのことをやっている。

    アリス・イン・チェインズが大好きで、最初の2枚のレコードは91年から92年のあいだ、俺のCDプレイヤーから離れることはなかったね。1992年に俺が聴いていたのはアルバム『Dirt』だけだったと思うよ。ニルヴァーナも大好きだし、サウンドガーデンの最初の数枚のアルバムは触発させるものがあった。だからそういうものに対して脅威とは
    全く感じていなかったよ。

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    Dirt


    −自立的というテーマからマスターテープの所有権についての重要性を語るラーズ

    (メタリカのマネージャー)クリフ(・バーンスタイン)とピーター(・メンチ)は最初の20年のキャリアの終わりにおいて主な報酬がマスター音源だと予見するには十分なほど賢かった。つまりマスター音源、レコーディング・テープ、レコードだ。

    自分たちのレコードの所有権を得るってことが、みんなにはちょっと奇妙に聞こえるのもわかるよ。「じゃあ前は誰が所有してたんだ?」ってね。それはレコード会社のものなんだ。レコード会社は基本的に・・・レコードを制作するためのお金を支払ってレコードの権利を所有し、そこから永遠に所有し続ける。だからピーターとクリフは言ったんだ。「よし、マスター音源を自分たちの手に取り戻そう」当時は(マスター音源を持っているアーティストは)本当に誰もいなかったんだ。(ブルース・)スプリングスティーンとか、プリンスとか、そのレベルのアーティストぐらいなものだ。でもそれが俺たちが求めようとしたものだった。

    いや驚いたことに、俺たちはマスター音源を取り戻すことができた。だからメタリカが5年だか7年前に自分たちのレコード会社となったとき、突然俺たちのビジネスモデル全体が変わったんだ。今、全てを自分たちで実行しなければならないからね。

    だから俺たちは北カリフォルニアに拠点を置いて、そこでこれまで以上に管理してくれるたくさんの人たちがいて、HQと呼んでいる傘下に素晴らしい人たちが住んでいる。それが俺たちのレコード会社であり、ツアーやマネジメントのスタッフがいる。俺たちのマネージャーのQプライムはここニューヨークに大きなオフィスを持っている。LAにもスタッフがいるよ。

    ビジネスの観点から、全てのやり方で貫かれているものがある。それはつまり「自立性」ってこと。俺たちは自由で自立的であろうとしている。メタリカにとって、そして自分たちの進む道にとって、何が正しいかってこと以外のことで意思決定をするなんてないんだ。

    BLABBERMOUTH.NET(2017-11-14)
    UltimateGuitar(2017-11-17)

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    11月5日にニューヨークで行われたインタビューでラーズ・ウルリッヒがメタリカの5年後の未来について語っていました。管理人拙訳にてご紹介。

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    −今から5年後にバンドは何をしているでしょうか?

    俺たちは突き進んでいるし、人生の時を過ごしている。(メタリカの最新アルバム)『Hardwired...To Self-Destruct』が一年前に出た。ツアーは最高だ。俺たちが自分たちのために設定したモデル(訳注:ツアー日程を連続した日付で行わない、2週間ごとに休暇を取るなどのやり方)は、俺たちが仕事をするためのモデルになっている。それを他の人やバンドとかに説明しようとすると、彼らはしばしば俺をなんというか・・・俺たちが全てのことをごくたまにしかやらないのかって目で見るんだ。2日前に(欧州ツアーの)ベルギー公演を終えた。俺たちは各地でハードに公演をこなしながら、2週間半の休暇を過ごしている。そして今、バッテリーを再充電するために数ヵ月を要するってわけ。

    これまでのツアーでも今回のツアーと同じくらいの量のギグを続けてきているけど、もっと長い期間をかけてやっているんだ。だから今から5年後、まぁ願うことなら、このレコードの残されたツアーを数年やって、それからアルバム制作を続けていくことに戻っていきたいね。

    身体に抱えた病気以外にこういうことを減速させる理由は全くない。肩、首、膝、喉、そういったもの全部が健康でいられるなら、(頭を指さして)ここだってこれまで通り精神的にも問題ない。肉体的に健康を保つことができれば、今後20年間こういうことをやり遂げることができるはずだ。だから今から5年後には次のアルバム制作に没頭できていればいいなと思っているよ。


    BLABBERMOUTH.NET(2017-11-16)

    残されたツアーにはもちろん日本も入ってくることでしょう。

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    ニッキー・シックスがMCを務めるラジオ番組「Sixx Sense」にジェイムズ・ヘットフィールドが出演。

    話題はニッキーがモトリー・クルーとしてメタリカと共に出演したRock in Rioでのエピソード、加齢と共に必要な心身のケア、『Hardwired...To Self-Destruct』、『Master Of Puppets』30周年記念フォトブック『Metallica: Back to the Front』、SNS、スーパーボウルのハーフタイムショー等、多岐に及んでいます。そのなかでUltimate-Guitar.comで文字起こしされていた【曲のタイトルのつけ方】について管理人拙訳にてご紹介。

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    −曲のタイトルはどう思いつくのか

    特別な方法じゃないよ。何か自分の心を捉えたものだったり、何かを読んでいて急にいくつかの単語が合わさったら「こりゃあすごいクールだな。曲にぴったりハマるかもしれないぞ。」って思ったり。他の曲なんかは、ペットのような感じかな。「どうしてあなたのペットの名前はスクラッチー(scratchy)って言うの?」「どういうわけか、いろんなところ引っ掻く(scratch)からさ!」って具合にね。曲のキャラクターがあって、そこから名前を付ける。そのなかからベストなものを選ぼうとするんだ。

    バンドは俺にそういうことを進んで俺にやらせてくれている。俺は歌詞を書いたり、曲の名前を付けたりしたいんだ。でも俺は「どう?これはどう思う?この曲には3つタイトル候補があるんだけど、どうかな?」って感じだね。

    曲のタイトルというのは、人が見た時にそれについてもっと知りたいと思ってくれるとクールだね。「何?これはどういう意味?」って感じで。解釈が限定されていないものはいつも魅力的だと気付いたんだ。


    Ultimate-Guitar.com(2017-07-25)
    インタビューのフル音声はこちらから。


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    Newsweekのインタビューでラーズ・ウルリッヒが「Worldwired Tour」の演出やレディー・ガガ、自らのルーツからテニスまで語っていました。長編インタビューを管理人拙訳にてご紹介。

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    −長年に渡ってメタリカは、グレイトフル・デッドと変わらないくらい頻繁にツアーを行うバンドとして評判を得ていますね。

    アルバムを出して多くのツアーをするだけじゃなく、アルバムを出していない時でもツアーをやっている。ツアーは俺たちにとって間違いなく大切なものだ。ロックンロール・サーカスから抜け出すためにね。ますます今、インフラや演出に関しては世界の片隅まで広がってきている。だからさらにライヴができる場所、訪問できる国は増えてきている。

    自分たちのショー、フェスティバルも行うことができる。俺たちは悪くない方法というのを見つけ出した。2週間単位でツアーを行うことで、決して2週間以上家を離れるようなことはしないし、誰も自制心を失ったりしない。漆黒の深淵に堕ちていくリスクを最小限に抑えるんだ。俺たちは何とか機能し、バランスの取れたダイナミクスを得た。俺たちにとって効果的なんだ。俺にとってはツアーに出て、一日のなかでステージ上での2時間が一番安全だと思う。俺を邪魔するヤツは誰もいないからね。自分の船の船長でいられて、世界で一番最高なのがステージ上の2時間なんだ。


    −メタリカは2013年に南極大陸で公演を行いました。あのショーについて特にクールだったことは何ですか?

    冒険の感覚っていうのはいつもメタリカの奥底に流れている。俺が言ってきたように、ここ数年で多くの素晴らしい場所でライヴをしてきた。ついには中国、マレーシア、インドネシアまで行った。エクアドル、コスタリカ、パナマ、アブダビといった中南米の新しいフロンティアでもやった。数年前に誰かが俺たちに電話をかけて、南極にあるチリの研究基地で公演することをまとめているって言うんだ。彼らはあるコンテストの勝者のためにバンドに来てほしかったのさ。それで俺たちは「OK。俺たちはそこに行こう、日時を指定したら飛んでいくよ」と答えたんだ。

    素晴らしい3日間だったよ。俺たちはみんな研究に使っていると思われる大きな砕氷船に乗った。聴衆となる人たちと一緒に過ごしたんだ。美しい港に陸付けされたこの砕氷船から、俺たちは上陸してテントを設置した。そこにはずっと群衆が集まっていた。音響増幅装置がヘッドホンのみのサイレント・ディスコ・スタイルで俺たちは南極公演をやったんだ。だから絶滅危惧種に対する騒音問題は無し。ハッピーな400人のコンテスト当選者とハッピーなバンドがいたってわけだな。

    全てが一緒になった瞬間のひとつだった。あのテントでの素晴らしい感覚は世界の何物も変えられないよ。

    −WorldWiredツアーであなた方は大量のパイロを使っていますね。

    あれを動かしている人たちは間違いなく高度に訓練された人間だ。素晴らしいよ、本当に。

    −ショーの終わりの巨大花火を含むパイロの演出は間違いなく大きなスタジアムのショーで効果的でした。でもメタリカは小さいアットホームなクラブでのショーを行うことでも知られています。各々に対してどうお考えですか?

    サッカースタジアムみたいな大きなところでライヴをする時、穏やかな高揚感を与えられる。(逆に)親密な雰囲気を創り出すのは難しいから、いくつか舞台装置を加えてみるんだ。大勢になればなるほど、舞台装置は良くなっていく。ライヴ会場が小さいほど、より音楽に頼ることができる。でも舞台装置が重要なのは、7万5000人を前に演奏している時なんだよ。自分たちの近くにいない人たちでも誰もが注視するものを提供できるからね。できるだけたくさん親密な雰囲気を創り出そうとしている。時には爆発するものだとか、炎だとか、そういうものはいつだって効果的だ。

    −「Master Of Puppets」の時にショーがさらに創造的になりますよね、マリオネットを操る糸があなたやドラムキットに伸びているのを観られて最高でした!

    俺たちはショーの制作を手助けしてくれるヤツらととても緊密に仕事をしている。曲のテーマ、アルバムのテーマを表現できるようにするんだ。できる限り一番クールなものを考え出すってことだね。どんなスタジアムの上層部でも超越するだけじゃなく、創造的価値のある要素を加えることの役に立つ。他のバンドがやっているのと同じショーはやりたくないから、他の仲間がやってることに目を離したくない。自分自身のものを考え出したいと思ってる。

    −スタジアムでのビデオスクリーンによる表現は壮大ですね。

    正しいバランスを見つけようとしているんだ。間違いなく大きなスクリーンによって、遠くにいる人たちにも親密感を持ってもらえることは素晴らしい。でも同時にそれに頼ろうとはしていない。明らかにテクノロジーはより新しい創造的なものが可能な領域にまで進んでいる。それはエキサイティングなことだ。創造的な過程というのは曲やアルバムを作ることだけで終わるわけじゃない。どうやってアルバムを売るか、どうやってアルバムを共有するか、どうやってショーをするかまで含んでいる。そして創造的な体験を増やしてきているんだ。


    −80年代初頭、メタリカはニュージャージーのオールド・ブリッジを拠点にしていたメガフォース・レコードで2枚のアルバムをレコーディングしました。あなた方はメガフォースのオーナーと一緒に住んでいました。5月に行ったメットライフ・スタジアムで、メタリカはオールド・ブリッジのルーツに感謝して「Seek & Destroy」を観衆の中で演奏できるよう舞台を設置(訳注:スネイクピットの先端にドラムを用意して4人で演奏)しましたね。

    まぁ35年、俺たちがやろうとしている主なことと言えば、どんな状況にあっても聴衆とつながるってことなんだ。屋内で演奏する時、過去25年間で、真ん中とか「円」の中でやってきた(訳注:スネイク・ピット、観衆をステージ後ろに入れた試みやラウンドステージ)。スタジアムでライヴをする時、(通常は)真ん中じゃなくて片側で演奏することになる。だから(観衆を周りに置くステージセットによって)できるだけ近くに多くのファンの顔が見えるようにする試みだったんだ。

    −あなたのドラムについて少しお話ししましょう。振り返ってみて、あなたに影響を与えたドラマーは誰ですか?

    70年代初頭をデンマークのコペンハーゲンで育ったから、影響を受けて触発されたバンドのほとんどはディープ・パープルやブラック・サバス、ユーライア・ヒープ、ステイタス・クォーといったイギリスのバンドだった。もう少し後になると、アイアン。メイデン、モーターヘッド、ジューダス・プリーストのような、よりハードなロックやヘヴィメタルのバンドに夢中になっていった。こういったバンドたちで育ったようなもんだね。俺にとってはドラムに関するインスピレーションは主にディープ・パープルのイアン・ペイス、AC/DCのフィル・ラッドの2人だった。イアン・ペイスのテクニックと狂気のエネルギーが大好きなんだ。それからフィル・ラッドの勢いとグルーヴとシンプルさ、最小限のアプローチでクレイジーにスウィングする様が大好きなんだよね。

    −『Hardwired...To Self-Destruct』は他のメタリカのアルバムとどう違うと思いますか?

    俺にとってここで知的で詳細な説明をするのは難しいことだね。その前の『Death Magnetic』では、収録曲は特定の領域ではかなり長くとても内省的だった。今回のアルバムはもう少し簡潔でタイトで絞ったものになっている。ところどころでシンプルだし、雰囲気とかグルーヴとか活気みたいなものに頼っているところがあると思う。グレッグ・フィデルマンが俺たちと一緒にこのアルバムをプロデュースした。彼は過去10年間でレコーディングに関する全てについて主たる頼りになる人物になっていた。彼が最終的にこのニューアルバムの音質や全体的にどう聴こえるかに関してまとめたと思う。このアルバムは驚くほど良く受け取られている。みんな温かく包み込むような形で受け取ってくれた。ちょっと驚いたし、圧倒されたよ。だから今はメタリカでいるには素晴らしい時期だね。

    −もうひとつの重要なメタリカのアルバムは“ブラックアルバム”です。このツアーでは「Wherever I May Roam」のような大きくうねるようなリフと劇的なトーンを含む多くの曲が、大きなスタジアムのライヴに良く合っていると気付きました。

    一般的に、ここで白黒つけすぎることなく言えば、よりシンプルな曲は大きな場所でより良く演奏される傾向にある。だからよりブログレッシヴなものとか、内省的なものが7万5000人を前にしたスタジアムでプレイする時には失われてしまう。だから俺たちはセットリストではもうちょっと冒険的な傾向にある。もっと小さいところでやる時にはレアな曲とかやったりするけどね。スタジアムでライヴをする時には、慎重に言葉を選ぶと、いわゆるヒット曲とか足でリズムを取りたくなるような曲の方に広げたいと思うものなんだ。


    −「Moth Into Flame」はヒット曲のひとつです。今年のグラミー賞ではマイクの問題でジェイムズのボーカルが邪魔されてしまいましたが、それでもレディー・ガガと共演したメタリカのパフォーマンスは素晴らしかったと思います。

    ありがとう。そう、彼女はすごいね。ロックの精神、ロックのDNAを持っている。すんなりとうまくいったよ。彼女はとても気力に満ちていて、とても熱心で、本当の創造的要素をこのプロジェクトにもたらしてくれた。彼女は素晴らしい5人目のメンバーだったし、彼女の声とジェイムズの声はよく合っていたし、調和していたと思う。本当にクールだったよ。

    −あなたとベーシストのロバート・トゥルージロがリズムセクションを務めています。彼の演奏について特筆すべきことは何ですか?

    彼がバンドにもたらしているものだよ。彼はバンド内でも信じられないほど素晴らしい魂を持ち合わせている。周りで感じる雰囲気、エネルギーはとても安定しているし、いつも落ち着いていて自信に満ちているんだ。才能あるミュージシャンの先を行っているけど、周りには心地よく飄々とした雰囲気がある。いつも気力が溢れていて素晴らしいと思う。今や彼はこのバンドに14年間いるんだ。ただただすごいね。

    −このツアーでは「Anesthesia (Pulling Teeth)」の演奏の際、クリフ・バートンの姿をスクリーンに映してトリビュートを捧げていますね。

    クリフはいつだってバンドの一員だし、彼の魂はいつも俺たちと共にある。このバンドを構成する不可欠な部分なんだ。だから俺は彼の向いていた方向に感謝を捧げるのは価値があることだと思うし、彼が認めてくれることが俺たちにとって大切なことなんだ。ファンは俺たちの送った考えを認めてくれると思う。もう俺たちと一緒にはいられないブラザーに感謝を捧げて欲しくないとは思わないだろ。

    −WorldWiredツアーでは、「Disposable Heroes」「Battery」「One」などの曲に付随するビジュアルの一部に戦争に関連するものがスクリーンに表示されますが、あれらの曲にはもっと多くの含みがあるのでしょうか?

    俺は戦争を扱っているとは言わない。もっと個人的なものだ。

    −個人的な葛藤?

    そう。不安、恐怖、戦争のような状況にある背景が設定だ。だから無力感とか死の要素、自分の力と潜在的な死の問題とか、自信と葛藤を扱っている。曲の多くはある特定の心の状態について書かれているわけ。

    −このツアーのあなた方のショーでは「The Ecstasy of Gold」をバックに『The Good, the Bad and the Ugly(続・夕陽のガンマン)』の映像から始まります。メタリカは80年代初めからそうしてきていますね。

    そう。俺たちはこれを35年間続けてきた。俺たちの昔のマネージャー、ジョニー・ザズーラまで戻らないと。彼がエンニオ・モリコーネの作品が壮大でピッタリだと思ったんだ。そうして俺たちと共に代名詞となったんだよ。

    −メタリカは2011年の『Lulu』でルー・リードと共作しました。彼からは何を学びましたか?

    ルーはいろんなことを吸収したいと思わせる信じられないほどすごいキャラクターのひとりだった。俺は彼の周りにいてスポンジになりたいと思ったね。素晴らしいアーティストだったし、瞬間を捉えること、衝動性、自分を信じること、たった今やったことが十分良いものだと信じることについて多くのことを俺たちに教えてくれた。やったことそれ自身が全てのクオリティーを持っているんだってことだね。もっと良くしようと改善しようとするんじゃなく、(同じものを)繰り返すことは二度とできないということだ。完璧というものはないんだと。その世界観にほとんど一年中いたことで魅了された。彼を喪って本当に寂しいよ。彼と共に創造的にアルバムを制作し、TV番組にも出られたことは信じられないほど素晴らしい経験だった。

    −もうひとつメタリカの物語のなかで面白い章として挙げられるのは、1999年にサンフランシスコ交響楽団と共演し、その結果が『S&M』となりました。あのショーはどうだったと思いますか?

    オリジナルでクリエイティブな挑戦とか未知の創造的な領域みたいな仕事をするチャンスを得るっていうのは、いつだって超エキサイティングだね。(指揮者の)マイケル・ケイメンがやってきて、俺たちが交響楽団と演奏することやその他もろもろを提案してくれた。彼がこのプロジェクトを推し進めていたんだ。マイケルは人に伝わるほどの素晴らしい熱意を持っていたし、このプロジェクトの陣頭指揮を見事に果たしてくれた。俺たちはヨーロッパ、ニューヨーク、サンフランシスコとそれぞれ異なる交響楽団と6回だか8回のコンサートをやったんだ。

    −お気に入りのメタリカのアルバムはありますか?

    最新アルバムを選ぶね。だから今は『Hardwired...To Self-Destruct』だと言うことに何の疑いもないよ。


    −長くかかった2枚組アルバムでしたね。

    みんながそういう風に見ているかさえわからないんだ。俺たちは3か月ごとにアルバムを作るわけじゃない。みんなにとって、より長い時間没頭するに十分なものがあるとすればクールなことだよ。曲があって、素材があって、それが良いものだと感じて、そこからやってみようと決めたわけだから。

    −メタリカ結成前、あなたは優れたテニスプレイヤーでした。テニスはまだやっているんですか?

    それほどテニスはやっていないんだ。訊いてくれてありがとう。時々はするけど、ひどいもんだよ。たまに友だち数人とちょっとやるくらいだね。


    −WorldWiredのショーについてもうひとつ質問です。(終演後)観客がコンサートから帰る時、あなた方はコンサート前の観衆からランダムなシーンを切り出して面白い動画として(スクリーンに)写していますね。

    そう。その日の俺たちからの感謝みたいなもんだね。どんな街にいても、俺たちには動画というかファンへの感謝としてまとめるクルーがいるんだ。基本的にはエンディング、エンド・クレジットとして「来てくれてありがとう、大きな画面であなたが見えるよ」って具合にね。

    Newsweek(2017-06-29)

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