前回の記事に引き続き、ラーズ・ウルリッヒお気に入りのヘヴィメタル/ハードロックのアルバム15選。今回は残りのアルバム5枚についてラーズのコメントともにご紹介。

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MOTORHEAD - "Overkill" (1979)

モーターヘッドは1979年春に聴き始めた。俺はデンマークのコペンハーゲンにいて、地元のレコード店に行ってね。このモーターへッドってバンドからいくつか曲を聴けるかどうか尋ねて、それからフィル・テイラーのダブル・ベース・ドラムから始まる「Overkill」から聴き始めた。あんなサウンドをしたものは聴いたことがなかったよ。ぶっ飛んだね。そのままあのエネルギーが続いていくんだ。ホントかっこよかった。レミーみたいな歌い方する人を聴いたことなかったし、パンクとロックとメタルが融合していて、クレイジーだったね。そんなエネルギーに加えて、誇張された漫画のような歌詞で完璧に度を越えていた。「Overkill」から「Stay Clean」までの一貫性−「Stay Clean」は数年間ライヴ定番曲だったんだ−ZZトップの楽譜をそのままやったような「I Won't Pay Your Price」「No Class」、(メタリカが)カヴァーをした「Damage Case」や長くてディープな「Metropolis」「Limb From Limb」って曲もある。常軌を逸してるよ。モーターヘッドはロック、プログレ、ポップス、パンク、あとわからないけど、スカとか・・・何が好きだろうが関係ないバンドだよ。モーターヘッドが最高にクールだってことに同意できるはずさ。そして俺にとって、決定的なモーターヘッドのアルバムは『Overkill』なんだ。

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RAGE AGAINST THE MACHINE - "The Battle Of Los Angeles" (1999)

レイジ・アゲインスト・マシーンに関しては、どのレコードも俺にとっては不可欠なものだ。最初の2枚のアルバムでは、若々しくて信じられないほど敵対的なエネルギーがあったけど、曲の技巧面や俺がこのバンドを支持する全てが合理化されているという観点で言えば、このレコードは全てが最大化されて最も強力なレベルで一体となったアルバムなんだ。

『The Battle of Los Angeles』はすこぶる本物のサウンドだ。フィルター無し。とても本能的で衝動的で腹の底からのものを感じる。それまでたくさんのハードロックのレコードはとても苦戦していた。俺たちのものも含めてね。たくさんの労力が詰まっている。一室で4人が音楽を奏でているように聴こえるし、世界に挑戦する準備万端って感じだ。あの一貫性はただただ素晴らしい。「Testify」「Calm Like a Bomb」も入ってて、最高にディープな曲「Sleep Now in the Fire」もあるし、さらにディープな「Voice of the Voiceless」も常軌を逸しているよ。ザック(・デ・ラ・ロチャ)が叫んでいる時、彼が目の前にいるかのように聴こえる。まるで自分に話しかけているようにね。最高なレコードって全部、自分に直接話しかけられたような、自分に向けられたものだというものを持っているよね。


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SYSTEM OF A DOWN - "Toxicity" (2001)

最初に彼らのレコードが出た時、あきらかにたくさんのアティテュードを持ち合わせていた。新しい類のサウンドで、リック(・ルービン)が手がけていた。さまざまなルーツと影響を受けた音楽だということが聴けばわかるだろう。あの時点で彼らがアルメニア人だということは知らなかったけど、これまでと違ったものを聴いているとわかる。それから2ndアルバムの『Toxicity』が出て、「Chop Suey!」を聴いたらただただ素晴らしかったね。

MTVのラジオでヒットして、それからタイトルトラックの「Toxicity」「Aerials」その他全ての収録曲がヒットした。俺はこのレコードに興味を持ち始めて聴いた。「They're trying to build a prison ... for you and me to live in/ヤツらは刑務所を立てようとしている・・・俺とおまえを住まわせるために」おぉ!これは政治的で、イカしてて、イカれてて、エネルギーに満ちてて、信じられないほど素晴らしかった。作曲の観点から見ても巧みに作られている。俺たちがやることにとっても、かなり触発されるものがあった。曲をいかに短く要領を得たものにしているかというところは本当に気に入っている。それは俺たちには恵まれていないものだった。史上最高のレコードのひとつだね。


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UFO - "Strangers In The Night" (1979)

これはハードロックのライヴアルバム決定盤みたいなものだね。70年代の多くのバンドに関して言えば、俺はライヴアルバムを通じて出会ったんだ。それから遡ってスタジオ・アルバムを探していた。レーベルはジューダス・プリースト、ブルー・オイスター・カルト、UFOのようなバンドは4、5枚アルバムを出した後のとても早い段階でライヴアルバムを出すことを奨励されていた。そういったライヴアルバムは70年代半ばから後半にかけての決定的な2枚組アルバムになっていったんだ。こういったたくさんのバンドはデビューから早い段階でライヴアルバムを出すことを奨励していた。それが勢いを維持するための方法だったんだ。

『Strangers in the Night』はUFOのライヴアルバムで、「Natural Thing」で始まって「Only You Can Rock Me」や「Doctor Doctor」といったヒット曲もいくつかある。「Love To Love」はハードロック・バラードの青写真となる曲のひとつだし、「Rock Bottom」なんかマイケル・シェンカーの7分のギターソロが聴ける。カーク・ハメットを含む多くのメタルギタリストにとって、マイケル・シェンカーは、ランディ・ローズやジミー・ペイジなんかみたいに決して外の世界にまでかなり知れ渡ったわけじゃない、賛美されていないヒーローの一人だね。でもミュージシャンや同業者にとってマイケル・シェンカーはたくさんの人たちにとって史上最高のお気に入りの一人なんだ。このアルバムにはヴァイブスがある。ライヴに来たかのようだ。もちろんこれは最高のライヴアルバムの類だよ。


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WARRIOR SOUL - "The Space Age Playboys" (1994)

ウォリアー・ソウルはゲフィン・レコードでキャリアを始めて、俺たちと同じマネジメントだった。彼らと一緒によくショーをやっていたよ。(でも)彼らはゲフィンから契約を切られて、このレコードは94年に自主制作で出したんだ。

再生すると「Rocket Engines」が熱狂のうちに始まる。ヘヴィでパンクでエネルギッシュなんだ。リードシンガーのコリー・クラークは次から次へと言葉を吐き出し、次から次へと姿勢を打ち出し、次から次へと印象的な歌詞を歌い上げるんだ。(収録時間の)1時間だろうが、どれだけ長かろうが勢いが弱まることは決してない。ただただ止まらないんだ。

初期のアルバムではもう少し政治的だった。彼はアメリカ先住民とかチャーリー・マンソンとか虐げられた人たちのことを語っていた。でもこのレコードはもはやパンクみたいなものだ。パンクと、ニューヨーク・ドールズとかザ・ストゥージズみたいな少し前のニューヨークのグラムロックの奇怪な融合だった。もしこのレコードを聴いたことがないなら、すぐにでも見つけてチェックすることをオススメするよ。


RollingStone(2017-06-22)
MOTORHEAD - Overkill


RAGE AGAINST THE MACHINE - Sleep Now in the Fire


SYSTEM OF A DOWN - Chop Suey!


UFO - Rock Bottom (Strangers In The Night)


WARRIOR SOUL - Rocket Engines


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