ジェイムズ・ヘットフィールドが家族と一緒にプライベートで来日していたネタを華麗にスルーしていますが、これまで何回かに分けて紹介してきた「Metal Forces」によるラーズ・ウルリッヒのインタビューの続きをどうぞ。

metallica_live

−メタリカは、未踏の地でライヴを行うこととなると、いつでももうひと踏ん張りする準備がある。2013年12月に南極公演を行ったのが典型例だ

残っている場所はそう多くはない。何回かドバイでライヴをしたのは信じられないほど素晴らしかったよ。イラン、イラク、サウジアラビア、レバノン、シリア、クウェートのような場所からファンが駆けつけて、世界のそういう場所から3万、4万の人たちが2時間のメタリカの体験を共有する、文字通り鳥肌もんだった。会場の外ではみんな違うってことを置いといて、音楽という言葉を介して、一斉にいろんな国旗が振られているのを見るのはヤバかったよ。だからもしメタリカの公演が開催できるインフラがあって行ったことのない世界のどこかがあれば、ナノ秒でそこに行きたいね。それほどたくさんは残っていないけど、俺たちは石や岩をひっくり返して(探し回って)、行けるところがあれば、俄然乗り気で行くつもりさ。知っての通りいつでもね。


−ミート&グリートを高額チケットで行うバンドがたくさんいるが、手っ取り早く金を稼ぐ機会にすることなく、ファンに会うことが感謝の意を示す機会としてただただ幸せだった時代を知っている世代にとっては眉をひそめることになっている。これまでのところ、メタリカはミート&グリートを無料のくじ引きシステムにしているが

やり方というのは変わっていくものだからね。前に何度も言ってきたように、全く新しい未開の分野なんだ。今はさらにさまざまな段階があるし、さまざまなレベルのものがある。それが何十年も続いてきている。飛行機の後ろに乗りたいか、真ん中に乗りたいか、それとも前に乗りたいか?みたいなものさ。遊園地に行ったときに列に並ぶ必要のない「ファストパス」が欲しいか?全部同じことさ。今や明らかに音楽にもそういうのが浸透しているんだ。

俺たちはしばらく新しいツアーをやっていないから、その手のこと全てを検討しているわけじゃない。そういうことは『Death Magnetic』の頃から見られるようになった。みんなが俺たちに会いたがっているなかで、全ての選択肢を検討して、俺たちはいつもメタリカとしてできるだけのことをするし、できる限り誠実でリーズナブルなものを試すだろうね。どうしていくかはわからないけど、その選択肢をちょっと見る限りは基本的にみんながやっている、もしみんながやっているというならば、明らかにそこに需要があるからだと思っている。だからといって俺がいつもやっているようにホテルや空港やその他の場所でできうる限り全ての子供、全てのレコードにサインを(今後は)しないつもりってことじゃない。でも同時に、もし最前列で座りたい、その椅子を持って帰りたい、特別なTシャツが欲しいなんて人がたくさんいるなら、俺たちはそれをできるようにすべきじゃないのか?まずは考えてみるよ。俺たちが何かにサインするには500ドルかかるなんてことをおっぱじめようって俺は言ってるんじゃないんだ。

俺たちが正しい答えを持っているとは言っていない。でも俺たちがやることは、俺たちのためになると思う。聴いてくれ、正直なところ、35年やってきてるけど、俺たちは他のみんなのようにそういう全てをいまだに理解しようとしているんだ。レコードジャケットにサインすることに俺たちの生活がかかっているわけじゃない幸運に恵まれているという事実を祝おうじゃないか。そんなことをやる必要はないんだ。でもこのままでいて、他の人がやることを叩こうなんてするつもりはない。俺はジャッジしない。そのためにクソみたいな台座に座って何かあげようとするつもりはない。俺は俺たちのためになることしか言わないよ。

−成功を収めた多くのバンドが経験する批判や嘲笑にも関わらず、2016年においてバンドの人気はますます力を増しているようだが

俺たちのホームタウンは最強の都市のひとつじゃなかった。でも2月にここでスタジアムショーをやって(AT&TパークでのNHLスーパーボウル前夜祭「The Night Before」)、12秒ほどでチケットが完売した。8月にはミネアポリスで新しいフットボールスタジアム(U.S.バンク・スタジアム)のこけら落としでスタジアムショーをやることになっているけど、50,000のチケットがまた12秒ほどで完売だ。俺たちに何かしら特別な理由があるから、俺たちが行ったことのある場所よりも人気があるとまでは言わないけど、そのくらい人気があるようだ。だから(人気があるのはなぜかの問いに対する)答えが新しいレコードをしばらく出していないからかどうかもわからない(笑)。そんなものの答えはわからないけど、メタリカがかなりたくさんの人たちの人生においていまだにある種の関連性と重要な役割を持っている。でも俺はそういうことをあまり疑問に思ったり、あまり考えすぎたりしない方がいいんだと感じているよ。考えすぎちゃうとやるべき方向を変えたり、どうかするとコトを軽視したり、やってることに害を及ぼしたりするのが怖いからね。キミも含めて、そういうこと考えられる人間はマスコミに十分いるんじゃないの。

でも、聴いてくれ、ここまで話してきたようなリイシューやニューアルバムやスタジアムでのコンサートを秒単位で完売したことやみんながまだメタリカに興味を持ってくれているなんて35年前に誰が考えていた?かなりクールなことだよね。俺たちがしてきたことをメチャクチャ誇りに思っているし、これから先もエキサイティングで面白い年がまだあると思っているよ。

Metal Forces(2016-06)

インタビュアーが旧知の仲なのか、いろんなことをぶっちゃけてくれたインタビュー。ミーグリの今のシステムは変えてほしくないな...

ブログランキングに参加しています。
応援クリックをヨロシクお願いします。

関連記事
ラーズ・ウルリッヒ「アイアン・メイデンは「Running Free」を演る代わりに新譜から演りたかったんでしょ。俺も自分たちの新曲に興奮しているよ。」
ラーズ・ウルリッヒ「息子は音楽がもっとイカしてた70年代、80年代に生きていたらって言ってる」
ラーズ・ウルリッヒ「俺がメタリカをクビになりそうだったなんて知らなかった」
ラーズ・ウルリッヒ「ジャスティス・アルバムをリミックスしろって言われるけど真剣に考えたことはない」