前回記事の「Metal Forces」のラーズ・ウルリッヒのロングインタビューの続きから。管理人拙訳にて。

20150520_metallica

−今日の音楽界の状況でメタリカを始めていたらという質問に対して

みんな俺にそんな質問をしてくる。俺は本当に何を答えたらいいんだ?わからないんだ。もしジェイムズと俺が2014年に出会っていたら、今年がメタリカ2年目だってか?もちろん(今のメタリカとは)違っていただろうけど、どうなってるだろうね?俺は「もし○○だったら?」って質問はあまり得意じゃないんだ。もしクリフが事故でいなくならなかったら?ボブ・ロックをプロデューサーに選んでいなかったら?あの日に左ではなく右に曲がっていたら?そんなこと誰が知るかってんだ?

これが現実さ。知っての通り、これがマスタープランだとか、インタビューでたくさん語るジェイムズみたいな人もいる。俺はそれを完全に尊重しているけど、俺はもっと実務的なんだ。「今日の俺たちがあるのは、これまでに37,228の決定を下したことによるものだ」ってわけ(笑)。それがやってきたことだし、そんな仮定について本当にできることはあまりない。俺はある意味やってきたことを受け入れている。35年のそこそこ良い乗り心地を受け入れるようにしたいと思ってるんだ。

間違いなく俺たちが望んだようにできなかったこともいくつかある。でも全体的に俺たちは胸を張れるものじゃないかと言えるだろう。俺たちは良かれ悪かれ純粋さを保って、真っ当に自分たちのクレイジーな創造的ビジョンに沿いながらかなりいい仕事をしてきた。


−完成に近づいている新譜のリリース日については慎重なラーズ

「今日はその日まで昨日より近い」とは言えるね。2つのプロセスがあると考えていて、俺たちは今、楽曲の創造的プロセスの最終段階に向かっている。先を見越して、どうやってレコードを世界に届けようかという段階が始まっているんだ。グレッグ・フィデルマンはこのレコードに去年の夏から不眠不休で取り組んでいる。彼はメチャクチャ素晴らしい仕事をしているし、全身全霊をかけて取り組んでくれているし、このレコードのプロデュースと制作において彼のあらゆる経験が俺たちの助けとなっているよ。

−「Lords Of Summer」は新譜に収録されるのか

詮索好きだね、キミは(笑)。正直なところ、胸に手をあてて(考えてみて)もわからない。これは他の誰にも言っていないけど、バーナード・ドウ(訳注:Metal Forcesの創設者であり、今回のインタビュー相手)には特ダネをあげてもいいかな。6月は基本的に俺たちが腰を据えて、全てにおいて何をすべきか何に電話すべきかどうなるべきかを把握する時なんだ。現時点で俺は答えを持っていないけど、時期が来れば全てそろうだろう。もし今年レコードが出なければ、仕上がってないから出ないんだろう。来年まで出さない方が賢明だっていう宇宙の法則があるとかね。でもレコードはこの夏には仕上がるよ。

−『Kill 'Em All』『Ride The Lightning』のリマスターは新譜制作に影響したのか

それは素晴らしい質問だ。俺たちはリックと最後のレコード(『Death Magnetic』)でそのラインを超えた。リックは俺たちに自分たちの過去から触発されることを許すようとても勇気づけてくれた。くつろいで初期の楽曲やレコードでやってきたことはどうだったのか、当時の物の見方はどうだったのか、実用的な要素は何だったのか、その他もろもろを考えた。俺たちはそれまで過去にやったものやレコードに触発されるような機会を否定してきたと思うんだけど、リックは俺たちにそれはOKだと感じるようにしてくれたし、実際そうするように勇気づけてくれたんだ。

だからこうした新曲を作るにあたってそういう考えはちょっとあった。以前の楽曲で火花が再燃してもOKだと感じる点でね。でも次のレコードのうち、4曲は直接『Kill 'Em All』の曲から触発されたものだなんてことは言えない。まだそんなレベルのものはないんだ。少なくとも俺にとっては。でも過去というものは常にそこから逃げるようなものじゃないんだと自分たちを許せるようになったんだと思う。


−新譜はストリーミング・サービスや曲ごとに選択できるダウンロード形式など今日のフォーマットに関連付けて出すのか

あのね、まさに俺たちはどうしようか決めようとしている!(笑)わからないよ。誰に関連付けるってんだ?ファンに?批評家に?レコード会社に?言えることは彼らは確かにまだ俺に関係している。去年、新曲を書き、レコーディングするのを大いに楽しんだ。新曲をプレイするのを外で遊ぶ小さな子供みたいに興奮しているということは言えるよ。

別の日に誰かと話していたんだけど、彼らはこう言っていた。「アイアン・メイデンを観に行ったんだけど、新譜から8曲もやったんだ。彼らは一体何を考えてんだ?」すると俺はこうさ。「彼らが考えていることがわからないのか?彼らは新譜にメチャクチャ興奮していて、みんなの前でその曲をやりたかったんだよ。「Running Free」を23万回やる代わりに。」それは全く自分のことのように感じるよ。俺たちは新曲をやるのを興奮しているし、セットリストに入れる新しい曲を持っていて、この新曲たちは全て、新しい環境でもとてもうまくいくと思っている。俺はワクワクしているんだけど、このファッキンなレコードが2016年にどんな意味を持つのかなんてことは伝えることができない。明らかに全体的に意味合いは薄くなってきていることは隠すまでもないことだ。でもそうなったらやりたいことをすべきじゃないってことじゃないだろ。俺たちはレコード制作も曲を書くのもいまだに好きなんだ。だから続けている。


−ライヴを行う場合、これまでの曲とのバランスはどう考えているのか

もちろん俺たちがスタジアムでライヴをする時に、ほとんどの人たちが新譜の7曲目は聴いていないけど、ブラックアルバムの曲は聴いていることだろう。でも適当なバランスを見つけようとしている。全てはバランスだよ。そういうバランスを抑えて、俺たちのニーズと他の人たちのニーズが把握できればなぁ。明らかに(2016年4月16日のレコードストアデイで)俺たちが最近やったみたいにラスプーチンで200人を前にプレイするとなると、ミネアポリスの新しいスタジアムで5万3000人を前にプレイするのとは違うダイナミクスがある。マジでセットリストに新曲を入れようとしていた。でもみんなのニーズ、そして俺たち自身のニーズを排除しないで、賢明なバランスにこだわって実行しようとしたんだ。


Metal Forces(2016-06)

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