前々回記事の「Metal Forces」のラーズ・ウルリッヒのロングインタビューの続きから。管理人拙訳にて。

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−近年の音楽業界の伝統的なビジネスモデルの変化のなかで、メタリカのようなバンドの身丈ではすべての音源の所有権を獲得し、自分たち自身のレコードレーベルを立ち上げることは避けられなかった。

「レコードをリリースするっていう音楽の世界の実用性は、知っての通り、昨今ではターゲットが狂ったように変わるんだ。俺たちが今日何が起こっているのかを理解できる前に、明日はまた変わってしまう。だからこの10年とか15年のどこかの時点で俺たちは楽曲にとって、レコードにとって、ファンにとって、そしてメタリカをもっと良くするために何がベストなのか評価した事実に自分たちを変えてきた。1つ特定のやり方を(変えずに)持って、2年後かそこらには全てが変わるって時に立ちすくまなきゃならなくなるって感じるくらいならね。」

「俺は音楽の世界は今、開拓時代みたいだと考えている。腰を据えて自分たちが行けるところにはどこだって行こうとする試みにオープンじゃないとって考えているんだ。そこにはもはや正解も間違いもない。だから俺たちにとって自分たちのコントロールを取り戻すこと、そして自分自身の運命を自分でコントロールする側になることは時間の問題だったんだ。間違いなく自分たちのやり方でやることが一番の目的だ。でも現実的にならなくちゃならない。とりわけヨーロッパ、アジア、そしてラテンアメリカでさまざまな国、さまざまな通貨、さまざまなインフラ、さまざまなその国独特のやり方がある。アメリカでは良くて、セルビアやポルトガルでも良いっていう全体的な戦略や理念なんてものは持つことはできないんだ。」


「目的はできるだけ多くの人たちに音楽を届けようとする、自分たちができるだけアクセスできるようになるってことだ。多くの国では、それをするのに違うやり方がある。ユニバーサルの長年の友人は、世界中の多くの国で助けてくれている。アメリカとカナダで、俺たちは恐れることなく、主に自分たちでそういうことをやってきた。でもいまだにレコード店で俺たちのレコードを買う会社と販売契約をしている。メタリカのファンクラブ会員たちがレコード店でCDのボックスセットを持ってウロウロするわけじゃないのにね(笑)」

「今俺たちが明らかにしていることの1つは、全ての地域の全ての四半期において財政的に独立しているってことだ。そのことで、俺たちがやることに経済的利害関係がある人たちからの上からのコントロールに対して自由でいられるんで大いに助かっているよ。」


−若い世代のバンドにとって、テクノロジーの助けを借りて世界中で観られるようになったことは間違いないが、それがバンドの成功を容易くしているわけではない。実際、今の方が難しいと示唆する多くの要因がある。

「俺にはわからないね。俺には3人の子供がいる。17歳の息子は数年前まで父親の後ろについていたイカれたドラマーで、明らかに大したもんじゃなかったんだ!この2、3年はバンドに出たり入ったりしている。彼はフーファイターズをやってた時期もあるし、アークティック・モンキーズ時代もあれば、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ時代もあった。今はウェザー・リポートやジャズ/フュージョン、ヘヴィなR&Bとかをやっている。彼がいつも私に言うのは、バンドを始めるのはいかに難しいかってことじゃない。彼から聴いたのは、つまり、「チキショー、音楽がもっとイカしてた70年代、80年代に生きていたらなぁ」ってことさ。彼は2016年に音楽の質がどれだけあっても過去に比べたら興味深いものじゃないものじゃないとよく話している。それが持つべき公正な議論や討議なんだと思う。」

「確かにそこにはたくさんの素晴らしいバンドがいると思うけど、俺が育った60年代後半から70年代にかけてのものを見ると、俺たちみたいになったりしている。NWOBHMによってね。80年代に全てが起こった。つまり活力があって、創造的エネルギーがあって、いまだに興奮するし、新しいフロンティアと未開の領域があって、そういうもの全てが起きていた。でもジャズみたいなものは、純粋な人たちはオーネット・コールマンが現れてからの60年代半ばから後半までジャズには本当に何も起きちゃいないって言うのもいる。それが本当なのかどうかについて知的な会話をすることもできるけど、そんなことを言う人はいる。」

「ハードロックで俺が言えることは、壁にぶち当たってないか?ってことだ。情熱的にやっているバンドは確かにいるけど、未踏の領域は残っていないか?2016年に新しくてエキサイティングなことを本当にやっているのはいないのか?俺は知らない。ソード(The Sword)が数年前に出てきた時、俺は確かに夢中になった。でもそれだって7年か8年前だ。ここ数年、ハードロックで俺の心を吹き飛ばすような誰かがいるかどうか俺にはわからない。新しいバンドとかを悪く言っているんじゃない。俺は17歳から聴いたことを言ってるだけさ。」


Metal Forces(2016-06)

ここ数年、ジェイムズはバロネス(Baroness)に夢中のようですが、ラーズのレーダーにひっかかるバンドは今後現れるのでしょうか。

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