前回の続き。「Metal Hammer」2016年6月号のインタビューを管理人拙訳にてご紹介。

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■Jump In The Fire

ラーズ
あの曲は「Mechanix」みたいに元々はセックスを暗示していたんだ。でもそれはデイヴ・ムステインのものだった。彼はクールで自信家だったし、クールな髪型をしていた。俺たちが連れ立って彼のアパートに行くと、そこには女の子たちがいた。ジェイムズと俺が風変わりでちょっと不器用で剥奪されたティーンエイジャーだった頃、彼は世界の男の中の男だったんだ。

−あなた方は曲について議論したりしましたか?

ラーズ
俺の記憶ではないかな。それは新たなメタリカのレコードを制作している今、俺たちが苦労しているところだ。俺たちに議論は必要ないけど、さらに良くするためにたくさんの意見があるからね。ジェイムズがリフを弾いている時にはいつも、もっと速く弾くこともできるし、ゆっくり弾くこともできる。半分の時間でも弾けるし、スラッシュメタルのスタイルでも弾ける。俺たちはそこで言うんだ。「こうしてみよう、ああしてみよう・・・ドロップDで弾いてみよう・・・俺はそこでスラッシュビートで叩いてみよう」とかね。そこで腰を据えて、こういう全ての意見を頭の中にグルグル巡らせるんだ。始めのうちはこういう選択肢を持つなんてことは覚えていないな。俺たちはただこなしたってだけだった。

■(Anesthesia) Pulling Teeth

ラーズ
Anesthesiaは、ただ「Bass Solo」と呼ばれる代わりに1曲に見せかけたベースソロだった。ギーザー・バトラーがブラック・サバスでやっていたようにね。彼は気の利いたクールなタイトルをつけたんだ。

カーク
彼が何者とも離れてベースソロをレコーディングしていたのを覚えているよ。彼は何もない上の階の空き部屋に行って、たった独りで、彼とアンプだけで立っていたんだ。みんながすぐ下のコントロールルームで彼の音を捉えていた一方、俺は彼を観ていた。15分か20分後、彼は音を正しくチューニングしてから俺を見てこう言ったんだ。「出て行ってくれ、これから演ろうとしているから」それから彼は一服してハイになって、かがんでビールを飲んでいた。俺は急いでそこから立ち去ったよ。

−クリフのバンドへの音楽的な影響は何だったと思いますか?

ラーズ
クリフは別の音楽的背景をもっていた。彼はダイアモンド・ヘッドが誰なのか知らなかったし、タイガース・オブ・パンタンも知らなかった(訳注:いずれもメタリカに影響を及ぼしたNWOBHMのバンド)。彼は腰を据えてレーナード・スキナードやイーグルスやイエスやサイモン&ガーファンクルを聴いていた。俺はサイモン&ガーファンクルは知っていたけど、聴いたことはなかった。聴いたことがあっても、それとわかる前にスイッチを切っていただろうね。『Kill 'Em All』で彼は作曲を担ってはいなかった。彼が加入した時にはもう全ての曲は基本的にどうするか形になっていたからね。でも彼の影響と貢献は、『Ride The Lightning』の楽曲でかなり重大になっていくんだ。

カーク
クリフは音楽を勉強していた。彼は俺なんかより音楽的なレベルが違った。俺が理解できなかった概念があると、彼はそれを知っていて俺に説明してくれたんだ。関係調とかその他もろもろをね。

■Whiplash

ラーズ
Whiplashで俺たちはできる限り速く、理に適うように努めた。俺たちが聴いていて、「Whiplash」に影響を及ぼしたのはヴェノムだった。最初のレコード(『Welcome To Hell』(1981年))の「Angel Dust」「Live Like An Angel (Die Like A Devil)」は、大きなインスピレーションになった。彼らはモーターヘッドがやっていたようなエネルギーとスピードでもって、よりヘヴィメタルにしたんだ。モーターヘッドはもう少しパンク寄りのアティテュードだったからね。メタリカの草創期の話をする時、ヴェノムはもっとその名前を持ち出す必要があるね。

−バンドの誰がメタリカを最高速度まで押し上げたのですか?

ラーズ
俺たちみんなで一緒にやったことだよ。ただ腰を据えて「俺がこうやった、アイツがああやった」っていうものじゃない。俺たちは同じビールを飲み、同じ酷い食べ物を食べ、同じ音楽を聴いた。18、19歳の頃みたいにね。俺はこれについて誰か1人が他の誰かよりも重要な位置を占めたとは思わない。俺たちはただもっとヘヴィでもっとファストで度を越したものにしようとしていただけなんだ。

■Phantom Lord

ラーズ
あきらかに俺たちがやったことは全てイギリスのサウンドを使って、2つのギターっていうイギリスで行われていたようなやり方だった。アメリカではもともと全部、1つのギターでもうちょっとルーズだった。(俺たちには)誘導灯があった。ダイアモンド・ヘッドの『Lightning To The Nations』、モーターヘッドの『Overkill』『Ace Of Spades』『No Sleep 'Til Hammersmith』・・・アイアン・メイデンの1stレコード、ジューダス・プリーストの『British Steel』、サクソンの『Wheels Of Steel』、タイガース・オブ・パンタンの『Wild Cat』・・・これらは俺たちがやってきたものに流れ込んだ青写真なんだ。

Metal Hammer 2016年6月号より

続きはまた後日。

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