Metallica.comのファンクラブ会員限定ページにて、7月に行われたメタリカのファンクラブ会報誌「So What!」のエディター、ステファン・チラジによるジェイムズ・ヘットフィールドへのインタビューが公開されていました。文字起こしもされていたため、管理人拙訳にてご紹介します。

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ステファン
まずヨーロッパのショーについてちょっと話をしましょうか。ステージの後ろにファンを入れるという考えはグラストンベリーからだと思うんだけど、あれはどうしてそうなったの?

ジェイムズ・ヘットフィールド
あぁ素晴らしい。活気のある背景幕だろ?あそこから得られる大きなことって、あれ以上は音楽を楽しんでいる誰かと近づけないってことだったんだ。つまり彼らは俺のギターを弾き、抱え、俺たちは一緒にそこに立ち、俺は彼らと一緒にそこにいる。そこまで近づくことはできない。特にフェスではね。

最近のフェスは、俺の考えだとテレビのショーみたいなんだよ。キミはそこにいて、観衆はずっと遠くでブラブラしていて、楽曲や映画やカメラといったすべてのものがそこにある。ストリーミングやウェブやテレビとかで中継されるからね。俺たちはもっと近くにいたいと思ったんだ。観衆のノリを味わい、エネルギーをやりとりしたいんだ。みんなが遠くにいたんではそれは難しい。通じ合うのも難しい。だから彼らが俺たちの後ろにいてもらうこと、なんていうか、生きている背景幕(笑)はクールなんだ。近くにいるんだよ。年齢も違う、熱狂度合いも違う全ての人たちがね。


ステファン
実はそこで寝てる人たちもいたんだって?

ジェイムズ
いやいや、さすがに寝てる人はいなかったよ。でも、どうすればいいのかわからないなんて人はいたかな。そういう顔をみたら、「カモン!イェー!」って思い切り楽しむだろ。彼らは「OK、私はどうすればいい?」って感じなのさ。それから全感覚でもってその瞬間を楽しみたいっていう他の人たちをみて彼らもそこに入っていくんだ。でもそういう人たちはとっても礼儀正しいし、俺も大好きだよ。

ステファン
だから誰も手を伸ばしたり、声を上げようとしたりしなかったんだ。そういうことってあったの?

ジェイムズ
いいや。あそこはディスプレイに映し出されたりする公共の場所だと思うんだ。全くこれまでの要素の範疇じゃないからちょっと堅くなっちゃったかどうかはわからない。俺たちからすれば、そういった全ての人たちの前に立つのは普通のことだ。彼らにとっては「オーマイゴッド!この感覚は一体何なんだ?」ってただでさえショックを受けていて、積極的になったり、攻撃的になったりはなかったね。ちょっと守りに入ってたかも。近づいて彼らの殻から引っ張り出すのはたやすいことだ。実際、誰かにブレーキを踏ませようとするよりは楽しいことなんだ。

ステファン
みんな話しかけてくるの?何か言ってきたりとか?何か言ってるのを聴いたりした?

ジェイムズ
おそらくね。あそこじゃ何も聴こえないけど。

ステファン
素晴らしい。それは最高だ。キッズたちは言いたいことが言えるよ。彼(ジェイムズ)はたぶん聴いてないから!

ジェイムズ
俺のことをクソッたれとでも何でも呼んでくれ。そうだろ?

ステファン
彼らの言っていることが聴こえないというのはおそらくいいことだよ。それってイヤーモニターが正常に作動してるってことだからね。そうでしょ?

ジェイムズ
その通り。何も言う必要はないってことさ。全てのジェスチャーであったり、全ての動きであったり、全ての感情だったりでいいんだ。時々、俺はギターを弾かせようと誰かの手を取る。そうすると「えっ?何?」ってなる。「弾くんだ!」「えっいいの?」ってね。彼らは礼儀正しくあれと教えられてきたんだ。あとは厚かましくなるな、欲深くなるな、とかそういったこと。彼らは実際に気づくんだ。えっOKだって、彼はOKだって言ってるぞって。だから俺たちは彼らにより接近できるようにしたんだ。

ステファン
以前よりもセットリストを大きく変えようとしているようだけど、そうだよね?

ジェイムズ
そう。過去12年も夏にヨーロッパでやってきているからね。(夏になるたびに)戻ってきてって感じで、最高だよ。楽しいし。フェスにハマるのはたやすいし、俺たちは間違いなく恵まれているよ。(バンド結成から)35年後にフェスのヘッドライナーを依頼されるというのは、素晴らしいことだ。まだそういうことができるってことがね。だから俺たちが(ヨーロッパに)行って5、6公演やって、家に戻って、しばらく曲を書くふりをして、次の夏に戻って別の(セットリストの)6公演をやる。ヨーロッパには同じことをやりすぎることを防げるぐらいのたくさんのフェスがある。(同じことをやりすぎるのは)俺たちが一番やりたくないことだからね。長居して、ただ誰かを燃え尽きさせるとか。だから(違うことをして)俺たちはこれまでかなりの数の夏をそこで過ごすことができたんだ。

だから俺たちは何があるかって?ブラックアルバム完全再現はやらない(もちろんもうやったことだからだ)まだ新しい素材はそこまでない。だから(セットリストを)大幅にカットして、俺たちがあまりやっていないようなディープな楽曲を入れる。それがうまくハマるときもあるし、そうでもないこともある。このツアーで3曲目ぐらいに「Metal Militia」をやったんだけど、突然みんな「えっ?これ何?」みたいになってた。(前奏の)「ジャーン、ダーダーダ」を聴いたその後はモッシュピットが始まった。そこにいた少なくとも50人くらいはあの曲が好きだったみたいだね。でも他の人たちは「この曲知らない」って感じだったかな。

ステファン
あの曲を知らない人たちがいるんだろうね。

ジェイムズ
そうなんだ。あぁこりゃまいった。俺たちも歳を取ったもんだよ!つまりそれだけ長いあいだやってきたってことさ!

ステファン
そんなこと言わないで。成熟したってことだよ。

ジェイムズ
つまり世代的に若いファンがいたってことさ。若いファン、10代、20代、最前列で女性も見かけたよ。彼らは俺たちの歴史を学ぶ必要があるし、多くの人が学ぶべきはフェスやライヴというシチュエーションで誰かのファンになることだ。何やってる?どうだった?ってね。それはiPadで撮影して突っ立ってることじゃない。楽しまなきゃ。

ステファン
セットリストを変える時は彼らのために選ぶの?それとも自分たちがやりたい曲を選ぶの?

ジェイムズ
両方かな。もしあと4、5曲セットリストを埋めようとしたら、よしこっちの方がいいぞって入れ替える。「Unforgiven 2」をやったのはシビれたね。あれは俺たち全員がやるのをちょっと怖がっていた曲のなかのひとつだったんだ。俺たちがあの曲をやったのは、アメリカン・ミュージック・アワードか何かの受賞式でのショーだ。あの曲をやるために出演したわけだけど、うまくいかなかったんだ。失敗覚悟でやって失敗した。失敗することに成功したってわけだな。

ステファン
失敗覚悟でやって成功してたよ。実際よくやっていた。

ジェイムズ
その通り。

ステファン
あの時のことを祝福したいね。

ジェイムズ
ありがとう。成功だ。

ステファン
どういたしまして。

ジェイムズ
今じゃ、知っての通り、この曲について熟知しているし、実際かなりクールにできた。「Frayed Ends〜」も最後にちょっとやった。数回はやったかな。またやるかわからないけど、最高だったな。

ステファン
間違いないよ。

ジェイムズ
本当によかった。みんなあの曲を間違いなく評価してくれているね。

ステファン
(あの曲を聴いて)頭がおかしくなるくらい興奮した人もいたと思うよ。つまり、みんな聴く機会に飢えていると何年も耳にしてきた曲のひとつだからね。

ジェイムズ
あまりやっていない楽曲を引っ張り出すことが出来て楽しいね。それは挑戦だよ、フェスティバルだからね。知っての通り、ほとんどのフェスティバルではベストな選曲をやる。みんな聴きたいと思い、一緒に育ったと感じ、あるいは聴くのを楽しみたいものだからね。だからそうやってきた。でも彼らだけでなく俺たちにとってもエキサイティングにするには、セットリストの大幅変更はよかったね。

ステファン
こういった曲を少し長く引き延ばそうとすることはある?

ジェイムズ
(グレイトフル・デッドの20分超の曲)「Dark Star」みたいなってこと?

ステファン
まぁそんなような。

ジェイムズ
グレイトフル・デッドの2時間のジャム?さぁわからないね。俺たちは2時間ライヴをしている。それは知っての通り、俺の喉、俺たちの身体、みんなにとって、2時間というのがぴったりと思えるからだ。だから可能な限り、その2時間にたくさんの音楽を入れ込もうとしている。10分間のジャムの真っ最中に「Disposable Heroes」を演ることがみんなが聴きたいものなのか、あるいは俺がやりたいことなのかはわからない。俺はジャムをやるようなヤツじゃない。シンガロングの曲とか、俺たちが以前にやったような拡張版「My Friend Misery」の中盤でみんなで歌ったのはパワフルで、とても感動させられたよ。「Enter Sandman」なんかでやるようなコール&レスポンスをある楽曲で試したけど、それほどうまくいかないこともあった。ほらまただ、失敗覚悟だ。何かを試して、これはうまくいった、これはうまくいった、これはうまくいかなかった。それがほとんどのライヴで起きることなんだ。それからハッピーなミスもある。「おっと、曲の入りを忘れてた。おい、みんなそのパートを歌い始めているぞ。じゃあ俺たちはそこに合わせなきゃ。」とかね。ハッピーなミスはいつだって大歓迎さ。

ステファン
(ライヴ中に)休憩を取るために何かした時間ってこれまであるの?

ジェイムズ
わからないね。そういうことは実際やったことないな。同じようなことと言えるのは、パリの3公演(訳注:2003年6月11日)で『St. Anger』のためにそういうことがあったかもと思い出そうとしているけど、どうだろ?

ステファン
あぁ『St. Anger』か。

ジェイムズ
あれはブルータルだからね。アップしたかと思えばダウンしてまたアップしてダウンしてっていう具合で。あれはタフだよ。実際、フランスの半分がストライキ中でも何の助けにもならなかった。

ステファン
それと100度の熱だね。

ジェイムズ
あぁそれもだ。だからとにかく、それが(ライヴ中の休憩に)匹敵する唯一のことかな。でもちょっとしたギターソロやベースソロは違うか。あれは俺の休憩時間だね!ロブが出ていってベースソロを披露している時、俺は実際、何か飲んだり、一息ついたり、そういったことをしているね。

ステファン
なるほどね。この席上以外では始まってもいない噂は寝かせておきましょう。

ジェイムズ
そっちが休憩の噂を始めたんだろ!

ステファン
でも休憩付きのライヴはないでしょう。

ジェイムズ
そうだね。わからないし、見当もつかないことだよ。今はこれまで以上にね。ルールなんてなかったバンド活動初期の頃を思い出すよ。ルールっていうのは、知っての通り。俺がやりたいのはライヴしてレッツゴーってだけだ。ここでプレイしたいって?じゃあやろうぜってね。ある意味、音楽ビジネスで新しい時点を迎えている俺たちにとって、それだけ大きなことを築いてきたんだ。どうやって音楽を聴いてもらうのか?ツアーはどうすべきか?これまでやってきたような伝統的なサイクルはナシだ。何をやりたい?どうやってやる?だからまたフレッシュでいられるんだ。

Metallica.com(2015-07-30)

メタリカといえどもライヴの反応をよく見て試行錯誤しているのがよくわかるインタビューでした。

中盤の観客の反応がシビれる「My Friend of Misery」。


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