自ら主催するホラー・コンベンション「FearFestEviL」についてRevolverのインタビューでカーク・ハメットが饒舌に語ってくれました。最後の方では同じ趣味をもっていたクリフ・バートンがいた頃のエピソードやホラーとメタルの関係にも触れています。超ロングかつマニアックなインタビューなので時間のあるときにどうぞ。※管理人拙訳

Kirk-Hammett-Screen-Shot-2014-01-14

Revolver
「なぜFearFestEviLを開催したいと思ったんですか?」

カーク・ハメット
「基本的にはOrionフェスで俺がやった「Kirk's Crypt」の拡張版なんだ。あれは最高に楽しかった。そして驚くほど素晴らしい時間だった。だから自分自身に問いかけてみたんだ。なんでここでやめる?ここで終わるのか?ってね。これを続けるべきと思ったんだ。だからこのイベントはOrionフェスでやった「Kirk's Crypt」の拡張版なのさ。これがただ大好きでね。基本的に俺にとってはあまりに楽しすぎたからOrionフェスで行う、絶対にやめたくないものなんだ。さらにもっとクールなものにしてみたかった。Orionフェスでは特定の制約のなかでやっていたから、そこでやったものよりもっとクールなやり方でね。これは俺自身がやりたいことを全力でやってみる機会なんだ。いっちょやってみるかってね。フェスはまだ行われていない。まだ全てをまとめて、計画しているところさ。こういったことのひとつひとつが楽しいよ。本当に素晴らしいことだね。」

Revolver
「どのようにしてさらにクールなものにしていきましょう?」

カーク・ハメット
「自分のコレクションを(Orionフェスよりも)もっと多く持っていくよ。個人的なおもちゃのコレクションやポスターのコレクションもね。たくさんのオリジナルのアートがそこにはある。フランケンシュタイン、ドラキュラ、狼男の等身大フィギュアも持っていくつもりだよ。俺にとってあれは、さながら究極の逸品なんだ。たくさんのゲスト、パネル、ベンダー、音楽のゲスト満載さ。素晴らしいことになるよ。俺たちは同じゲストでのホラー・コンベンションは通常ではありえないと思えるようなユニークなものにしたい。あらゆる分野から異なるベンダーを呼ぼうとしているよ。音楽のステージもやるつもりでいる。地元のバンド(エクソダス、デス・エンジェル、オーキッド)がライヴをするために呼んでいるのも気に入っている。そこにカーカスだぜ、信じられないよ。俺はもう待ちきれないよ。素晴らしいものになるよ。このジャンルに同じくらい多大なる興味を寄せているミュージシャンも招待している。スラッシュはその目的でやってくる。これも同じくらい本当に待ち切れないね。ここ数ヶ月かそこらでこれだけクールなことが決まっていったんだ。俺はもう完全におたくモードだよ。」

Revolver
「あなたがラヴクラフト(※)のファンであることを知っていますが、彼の著作は明らかにメタリカに影響を与えていますよね?」

カーク・ハメット
「そうそう。H.P.ラヴクラフトね。もし彼が生きていたら、すぐにでもこのイベントに呼んでいたね(笑)。また別の著者か誰かを呼ぼうとしているよ。クライヴ・バーカー(※)の関係者と話していたんだ。彼が会場に現れるのはとても難しいけど、展示しようとしているたくさんのオリジナルのアートワークがあるんだ。スティーヴン・キング(※)とも話したけど、シャイで悪名高い人だから、たぶん難しいかな。と、まぁこんな風にいろいろたくさんのところをあたっているよ。遠方からのホラー・コンベンション参戦者となったら、行くところひとつで全てを行ったことになるってことを俺はわかっている。(だから)いろいろ混ぜたいんだよ、わかるでしょ?コンベンションはいっぱいあるから、音楽的な催しは俺たちにとっていい口実になる。普通のコンベンションは6時か7時に終わる。それからホテルのバーかどこかで終えることになる。このコンベンションなら、夜の間中までやってるし、素晴らしいことになるよ。最高に楽しいものになる。」

ハワード・フィリップス・ラヴクラフト(Wikipedia)
クライヴ・バーカー(Wikipedia)
スティーヴン・キング(Wikipedia)

Revolver
「カーカスが来るのは最高ですね。あなたも大ファンだと思っています。どのようにして来ることになったんですか?どういった経緯で指名したんでしょう?」

カーク・ハメット
「彼らは来れるってことだったし、クソすばらしいアルバム(訳注:『Surgical Steel』)をちょうど出したところだったからね。(12月にFearFestEviLサイトで先行公開した)新しいミュージック・ビデオを見たら、なんてこった、完璧になすすべなしって感じだったね。でも彼らは来れるってことだったし、彼らのレコード・レーベル、Nucluear Blastと俺はつながりがあった。少しばかり取引をして、実現したんだ。俺にとってカーカスを呼べたのは、それが実現できるってだけでも待ちきれないし、コンベンションを違うレベルにまで持っていくんだ。そりゃあすごいクールだよ。」

Revolver
「これまで会ったことのないゲストはいますか?」

カーク・ハメット
「以前に会ったことなくて、ゲストとしてやってくる予定の人は相当いるよ。でも今はそれについて本当は話せないんだ(笑)。そういう人たちのなかには来てもらえるかどうか、確定するのを待っている人もいるからね。ブルース・キャンベル(※)を呼ぼうとしていて、呼べると思っている。俺は会ったことないんだけど、ずっと来て欲しいと思っているよ。『Re-Animator(訳注:H.P.ラヴクラフトの原作を元にした1985年公開の映画)が好きで、その出演者にこのコンベンションに来て欲しいんだ。ジェフリー・コムズ(※)、バーバラ・クランプトン(※)も呼ぼうとしているよ。まだ交渉段階だから、うまくいけば実現できるね。『ウォーキング・デッド(※)の製作総指揮者、グレゴリー・ニコテロも呼んでいる。実際には、俺は彼のことを25年かそこらぐらい前からずっと知ってるんだ。」

ブルース・キャンベル(Wikipedia)
ジェフリー・コムズ(Wikipedia)
バーバラ・クラプトン(Wikipedia英語版)
ウォーキング・デッド(Wikipedia)
グレゴリー・ニコテロ(Wikipedia)

Revolver
「彼とはどのようにして出会ったのですか?」

カーク・ハメット
「俺たちは1987年かそこらのホラー・コンベンションに入り浸って、彼はギターも演奏していたんだ。「…And Justice for All 」ツアーにもやってきた。俺たちはギターを弾いてはスティーヴィー・レイ・ヴォーンを聴いて、おたくモードになってたよ。彼は『Day of the Dead(邦題:死霊のえじき)』『Dawn of the Dead(邦題:ゾンビ)』というこれら素晴らしい80年代のトム・サヴィーニ(※)の映画に関わっていたんだ。それからLAの特殊効果の会社に行った。彼は長いことそこに留まっていて、今もまだそこにいる。そして『ウォーキング・デッド』のシリーズ製作総指揮者となった。彼はすごいクールで、ホラーの大ファンなんだ。昔はよく一緒にブラついていたし、いまだにそうだね。『ウォーキング・デッド』が大好きだから、彼が来るのが本当に待ちきれないね。あれは今まで作られたなかでも最高のTV番組のひとつだよ。」

トム・サヴィーニ(Wikipedia)

Revolver
「あなたはトム・サヴィーニも呼んでいますよね。彼との対話はどうでしたか?」

カーク・ハメット
「彼は本当に素晴らしい人だよ。ホラー映画に関していえば、何から何までね。彼は30年代、40年代といった昔のホラーものが大好きなんだ。本当にそういうものが大好きで、本当にとんでもない情熱をもっている素晴らしい人だ。」


Revolver
「初めて公開される、または初めて人に見せるエキサイトさせる何かがあったりしますか?」

カーク・ハメット
「『Bride of Frankenstein(邦題:フランケンシュタインの花嫁(※))』のジオラマを再現しようとしているよ。今までやったことないけど、実際にシーンを再現するためにね。俺は再現映画で研究員の役を実際にやるつもりなんだ。俺の本(Too Much Horror Business)が出た後で本に載っていない特定の映画の小道具が手に入ったから本当に興奮しているよ。」

フランケンシュタインの花嫁(Wikipedia)

Revolver
「その映画はあなたのお気に入り映画のひとつだという記事を読みました。」

カーク・ハメット
「あぁ、素晴らしい映画さ。あれは実際はコメディーなんだ。皆があの映画について話す時、普通はホラー映画としてというよりコメディー映画として話すんだ。たくさんコミカルな場面があるし。」

Revolver
「また別の本も制作し始めているというのを目にしました。どういうものを出すんでしょう?」

カーク・ハメット
「まだ始めてもいないよ。間違いなくもう1冊、本を出したいとは思っている。60年代のポップ・カルチャーのおもちゃやTV番組のキャラクターについて多くを割くことになりそうかな。たぶん俺たちがアルバム制作を終えた後でいつか取り組みことになると思う(笑)まずアルバムを作らないと。アルバムと本に同時に取り組むなんて俺には出来ると思ってないからね。俺たちはメタリカのアルバムを作らないといけない。それが出来たら、もう1冊の本に俺の焦点を振り向けることができる。」

Revolver
「アルバムであなたが取り組んでいることについて何か話せることはありますか?」

カーク・ハメット
「まったくない。俺たちがジャムったものが少しあるだけで、まだ曲になってない。それが今現在の状況だね。」

Revolver
「メタリカの他の誰かであなたと同じくらいホラーのファンは誰ですか?」

カーク・ハメット
「ロブは自分の子供をこういうコンベンションにたくさん連れて行っているよ。ロブは子供の時にコミック本と過ごしてきたからね。彼は実際に本当に素晴らしいイラストレーターであり、アーティストなんだ。彼はアニメも本当に大好きだし。彼は少しばかりこういうものへの憧れは持っていると思う。クリフ・バートンは間違いなくそうだね。クリフ史上一番お気に入りの映画は『Dawn of the Dead』だったから。」

Revolver
「昔の映画については、彼があなたに関心を持たせたのでしょうか?」

カーク・ハメット
「いや。俺はこういうものを子供の頃からハマっていたからね。だから彼がこういうものが好きだと知って逆に驚いたんだ。」

Revolver
「もしかしたらあなたが彼をこういうものに関心を持たせたのかもしれませんね。」

カーク・ハメット
「もしかしたらね。彼とはよく一緒にいたから。83年の夏に俺たち4人全員でニュージャージーのドライヴインで『Evil Dead(邦題:死霊のはらわた)(※)』を観に行った時のことは忘れられないよ。少なくとも俺にとっては特別な時間だったよ。俺はバンドに加わったばかりで、どデカい半ガロンのジョッキいっぱいに入ったウォッカを持っていた。俺たちは『Evil Dead』を観るのはこのときが初めてだったんだ。俺は本当にクールだと思った。みんな夢中になっていたからね。あの映画は俺にとっては最高のもてなしだったし、彼らもこういったものが好きだと知った。少なくとも通りがかりでね。」

死霊のはらわた(Wikipedia)

Revolver
「グレゴリー・ニコテロは『Evil Deal』も手がけていますよね。」

カーク・ハメット
「実際に彼はやったんだ。彼は地下室で女の悪魔だった。彼があれを演じたんだ。あのコスチュームを着てね。」

Revolver
「Orionフェスに行って、あなたのものを全て観ましたが、あれを家のどこに置いておくんですか?」

カーク・ハメット
「その多くは倉庫にあるよ。多くはキャビネットのなかや密閉された状態になっている。ほとんど誰も行き着くことの出来ない安全な場所にあるんだ。」

Revolver
「なぜこんなことをきいたかと言うと、あなたは子供がいて、もしああいったもので怖がったりしないかと思ったんですよ。」

カーク・ハメット
「でも俺は子供たちにああいったものを植えつけようとしている。子供たちはあれに夢中になっているし、俺に言わせればより大きなパワーとなっているよ。もしあれで嫌な思いをしなかったのなら、それは俺の子供たちだ。」

Revolver
「Cryptや今回のことでこれをまとめていた時に、持っていたことを忘れていたもので何か発見したものはありますか?」

カーク・ハメット
「持っていたことを忘れたものは数点あった。もう何年も見なかったものだね。俺が行ったところにそういうものが少しあって、わぉ、すっかりこれを持っていたことを忘れてた!なんてクールなんだ!ってね。数回はそういうことがあったね。察しのとおり、俺にとって、持っているものをまたチェックして、本当にクールなものを全て味わう素晴らしい機会になった。もう一度楽しめたよ。それは俺にとって自分のコレクションを再度違った視点から見るやり方なんだ。」

Revolver
「あなたはホラーとメタルのあいだに何か関係性があると思いますか?」

カーク・ハメット
「あぁ。同じ構成要素でできている。それは人生のダークサイドなのさ。ヘヴィメタルは、知ってのとおり、もし飛んでいる象のことを歌っていたら、うまくいかない。ムードに合う主題を持たなきゃならない。これは以前にも言ったんだけど『いいホラー映画はいい曲のようであり、いい曲はいいホラー映画のようだ』ってこと。それが俺の見方だよ。」

Revolver(2014-01-15)

前半は知らないことが多すぎて、これほど訳に手間のかかるインタビューはありませんでしたが(苦笑)、FearFestEviL予習用にはかなりタメになるインタビューではなかったかと思います。再現映画は他ではやってくれるんでしょうか(笑)

そしてインタビューで言及されている映画、『Re-Animator』に関しては映画のポスターと同じ写真を自分で撮っているぐらいだからよっぽど好きなんでしょう(笑)
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しかし、こういうことになるとカーク先生もよくおしゃべりになるようで(笑)

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