メタリカの「Master of Puppets」が今年で発表から25周年を
迎えるにあたり、「私と『Master of Puppets』との出会い」を
ミュージシャンが語るという企画があったのでどうにかこうにか
訳してみました。

■アンドレス・キッサー(Sepultura)

メタル好きの女友達と一緒だったな。彼女はアルバムを
輸入してくれてたんだ。彼女がある日俺の家に
『Master of Puppets』を小脇に抱えてやってきたんだ。
それを聴いたら完璧にショック状態さ。初めての
好きな曲は「Welcome Home (Sanitarium)」だったなぁ。
1986年という年にあのアルバムを聴くという当時の
ブラジル人にとっての名誉を授かったわけさ。


■アイヴァー・ビョルンソン(Enslaved)

俺たちのバンドのシンガー、Grutleの家で
ヤツが開いたパーティーをしていた。
たしか12か13歳の頃でソーダを飲んでいたな。
メタリカのアルバムを聴いたのはそれが初めて
じゃなかったよ。ちょっと言い訳っぽいけど。
8歳のときには『Master of Puppets』がリリース
されていたんだけどね。

■クリス・バーンズ(Six Feet Under)

初めて『Master of Puppets』を聴いたのは俺が高校生の
頃だった。ニューヨーク州バッファロー郊外で初めての
自分のオリジナルバンド、Leviathanで歌ったり、
曲を書いたりしていた。

その前の年にバッファローのソルティー・ドッグってとこで
メタリカの「Ride the Lightning」ツアーを見るという
名誉を得たんだ。ムチャクチャ猛吹雪のなか
命を賭けてそのコンサートをものにした50人もの
狂ったファンと一緒にね。俺はショーのあいだずっと
クリフ・バートンの正面5フィートのところで立っていたんだ。
決して忘れない。


■ミレ・ペトロッツア(Kreator)

家で、実家でだったな。自分のためにする買い物を
初めてした日だった。いまでも好きだよ。
『Kill 'Em All』『And Justice For All』を
別にすればメタリカのアルバムのお気に入りさ。


■ドン・ジャミーソン(That Metal Showの司会者)

昨日のように覚えているよ。友人がメタル・ラジオ・ショーを
大学でやっていたんだ。彼のシフトの間中ずっとそいつと
たむろしていたよ。ビールを飲んだり、頭振ったりね。
あのアルバムを聴いてたら、車をひっくり返しに
行きたくなっちゃってさ。たしか本当にやってみたん
じゃなかったっけな!


■マイク・ヒル(Tombs)

レコードを聴いたときは1980年代で、
俺は友達のケンの部屋にたむろしてた。
その日は俺にとってお初尽くしの日だったな。
『Master of Puppets』、アグノスティック・フロントの
『Cause for Alarm』、モーターヘッドの『Ace of Spades』、
それを全部同じ日に初めて聴いたんだ。


■トレヴァー・フィップス(Unearth)

このアルバムが出た時は3年生か4年生だったと思う。
兄貴のいる友達がいつも家からメタルのテープや
レコードを持ってきて放課後聴いてたよ。
リビングでビデオゲームをやりながら、
聴いていたアルバムのひとつだった。

『Master of Puppets』とアイアン・メイデンの
『Number of the Beast』を初めて聴いたときは
俺にとって本当に鮮明によみがえる思い出だよ。
これらのアルバムを初めて聴いたときはどこに
座っていたかまでハッキリと思い出すことができる。
『Master of Puppets』は俺の人生を変えたと
言っても過言ではないね。


■マイク・ヴァン・ダイク(Arsis)

このアルバムを初めて聴いたのは1992年だった。
「Welcome Home (Sanitarium)」がZ-Rockで流れて
ぶっ飛んだ。それからすぐにカセットを買ってハマったよ。
「Damage, Inc.」は今でも好きな曲だ。
何から何まで攻撃的でスラッシーなのに、同時に
キャッチーでメロディアスなんだよ。
ホントスゲェ!


■マーカス・ズィーペン(Blind Guardian)

リリースされた日にすぐに買ったよ。2枚組(vinyl)の
限定盤があったんでそいつを入手した。
俺は昔在籍してたバンドのリハーサルに行く途中でそれを
買ったんだ。当時、リハーサルルームにレコードプレーヤー
があったからね。問題はレコード・プレーヤーしか
もってなかったってこと。ハイファイのアンプどころか
ハイファイのスピーカーもない。だから俺は昔の
マーシャルでこのアルバムを聴いたんだ。
後で家で聴きなおした時、このときはちゃんとした
ハイファイ装置で聴いたから、一層よく聴こえたね。
いまだに初っ端から俺をぶっ飛ばしてくれるね。


■アレックス・スコルニック(Testament)

バークレーにあったラスプーチンズ(レコード店)で
カセットで買ったのを覚えているよ。それから誰かの車で
聴いたんだ。俺たちはそれがリリースされるのをずっと
待ってたんだよ。そしてタイトルについてどう考えたら
いいのかわからなかったんだ。「Puppets?何で操り人形?」
でもリリースされたらすぐにそんな不安は吹っ飛んだよ。
これはメタルの最高傑作だったんだ。


■トラヴィス・ライアン(Cattle Decapitation)

俺はどこにいたかハッキリ覚えているよ。
リリース直後に友達がカセットを入手したんだ。
そして、そいつがセーブオンで盗んできた
「Virginia Slims」を吸うために馬厩舎に行ったんだ。
すぐに俺を虜にしたせっかくのEコードが太った
手のひらでかき消されてしまったのを覚えているよ。
その時点で俺が聴いた1番ヘヴィなもんだったから、
そのとき以来、次の1番ヘヴィなものを俺は探し始めたんだ。

そんなシンプルな方法がこの世の残りの音楽人生を
決定付けたんだ。『Master of Puppets』から
彼らの出した音源をどうにかさかのぼって、
『And Justice For All』が出るのを辛抱強く待ったんだよ。


■ウィル・キャロル(Death Angel)

兄貴の寝室にいたなぁ。カリフォルニア州デイリーシティの
セラモンテ・ショッピング・モールにあったミュージックランド
で買ってたんだ。兄貴は俺のよりいいステレオを持ってたんでね。
俺の最初のリアクションはちょっとガッカリだったんだ。
ギターの音色が『Ride the Lightning』よりも激しくは
なかったからね。まぁすぐそんなことは忘れちまったけどね。
でも俺は今もまだ『Ride the Lightning』男なんだよ。


■ブレイク・リチャードソン(Between the Buried and Me)

俺が初めて聴いたのは、たしか地元のレコード店から
親の車で帰宅途中だったと思う。新しいCDを買ったときは
いつもパッケージを引きちぎってディスクマンに
放り込んでたよ。家に帰るまで待ってらんなかったんだ。

あと、新しいCDを買ったときは最初の曲を飛ばす
クセがあったんだ。たぶん長いあいだカセットテープを
使ってて次の曲に行くためには曲をずっと早送りしなくちゃ
ならなかったから、CDのテクノロジーに驚いてたんだろう。
でもよ、このタイトルトラックを最初に聴いちまった
からこそ、この曲とアルバムは俺にとって忘れがたい
ものになったんだ。


■ティム・ランベシス(As I Lay Dying)

俺がこのアルバムは寝室で、想像しうる最低のステレオで
初めて聴いたんだけど、未だにスゲーよ!


■ワクロウ・“ヴォッグ”・キエルティカ(Decapitated)

俺が従兄弟の家にいたときだった。従兄弟は俺より
年上だったんだけど、ヘヴィ・メタルとは何たるかを
俺にみせてくれたんだよ!


NOISECREEP(2011-03-31)


かくいう自分はリアルタイムで『Master of Puppets』を
聴いたわけじゃないですが、初めて聴いたときに
どこに座っていたかはよく覚えています(笑)